連載「Tomorrow Will Be Precious!」明日への希望をアクションに変えるPrecious People

明日への希望をアクションに変える方たちの活動に注目し、紹介する「Precious」の連載【Tomorrow Will Be Precious!】では今回、 銀座で古典的な江戸前鮨の系譜を継ぐ「鮨竹」を営む大将の三好史恵さんにインタビュー!

28歳で江戸前鮨の名店「新ばし しみづ」に弟子入りし、8年間の修行を経て2014年に独立。銀座7丁目に「鮨竹」を開業され、今では江戸前鮨の正統派「新ばし しみづ」の師匠である「鶴八」の系譜を継ぐ味わいと評される三好さんに、修行時代のエピソードなどをうかがいました。

三好史恵さん
「鮨竹」大将
(みよし・ふみえ)愛知県生まれ。東京のインテリア専門学校を卒業後、設計事務所に就職。1年間ほどイギリスで過ごし、帰国後に和食居酒屋で働いたのち、「新ばし しみづ」に弟子入り。8年間の修業を経て独立し、銀座7丁目に「鮨竹」を開業する。江戸前鮨の正統派「新ばし しみづ」、その師匠である「鶴八」の系譜を継ぐ味わいと評されている。

【Tokyo】銀座で早12年。古典的な江戸前鮨の系譜を継ぐ、鮨職人の現在地

キャリア_1,インタビュー_1,東京_1
「鮨竹」大将、三好史恵さん

「職人の手から生まれる一貫一貫を目指して人が集まる、それが鮨。その人にしかつくれなくて、その人に客が集まるから、替えがきかない。それはほかの食ジャンルにはないもので、これがやりたい、これを極めたいと、親方の姿を見て惚れ込んでしまったんです」 

28歳で江戸前鮨の名店「新ばし しみづ」に弟子入りし、8年間の修業を経て、’14年に独立。「鮨竹」を開業してから12年が経った今、三好さんは当時をこう振り返る。

「完全なる男社会で、その流儀がわからずやらかしまくる私は、親方の怒りスイッチを押すのがすごく上手でした(笑)。不甲斐なくて悔しくて、店内の皿を全部割って逃げようと思ったこともあったけど、『やっぱり辞めたね、女だからね』と言われるだけ。根性だけは人一倍あったから、『こんちくしょう』という思いで続けてこられたのだと思います」 

独立時に決めたのは「最初の1年は365日営業する」ということ。ただ運転資金は限りなくゼロに近かった。すると「金がないだろうから、1年間はツケでいい」というマグロの仲卸、「今、余裕があるからキャッシュを貸す」という銀座のバーテンダー、「続ければいいことがあるから、とにかく辞めるな」と背中を押す兄弟子たちなど、折に触れて情に厚いバイプレイヤーが登場。そのおかげで、無事今日という日を迎えられていると語る。

「筋のいいお客様に支えられているのも大きいですね。SNSの登場で食のシーンの品格が揺らいでいると感じる今、クラシックな鮨文化を守っていきたい。私はすごく保守的で、未来や進化というより、過去や伝統に興味があり、常に基本に立ち返りたいと考える人間です。そのためにすべきなのは、握る技術をもっともっと深めて真摯に鮨と向き合うこと。そして今日来てくださるひと組ひと組に120%満足して帰ってもらうこと。『一貫一貫、心を込めて握ることができたか』。そう自分に問うことを続けていこうと思います」

◇三好史恵さんに質問

Q 朝起きていちばんにやることは? 
ご先祖様に手を合わせる。

Q 人から言われてうれしいほめ言葉は? 
「心からくつろいだ」「気持ちがほぐれた」。味はもちろん、居心地のよさについてほめられるとすごくうれしいのです。

Q 急にお休みがとれたらどう過ごす? 
離島巡りが好きなので、島旅に出ます。好きな時間に起きて、好きなだけ海を眺めて、好きな本を読んで、好きなお酒を飲む。

Q 仕事以外で新しく始めたいことは? 
強さに憧れがあるので、武術。

Q 10年後の自分は何をやっている? 
仕事の幅を広げるのではなく、粛々と技を深めている。やりきったと思うまで、鮨を握り続けていると思います。

Q 自分を動物に例えると? 
猪突猛心なところがあるので、イノシシかな。

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PHOTO :
望月みちか
EDIT :
喜多容子 ・木村 晶(Precious)
取材・文 :
本庄真穂