「サザビーズジュエリーオークション」と聞いて、どんなイメージを持つでしょうか。世界中のセレブリティーが、歴史あるハイジュエリーを競り落とす。それは億単位の逸品ばかりで、とても自分には手の届かない世界…。そう考えているのであれば、真実は半分のみです。

日本ではまだ馴染みが薄いものの、厳正なる審査を通れば、出品も落札も参加が可能。今回は、実際に香港ジュエリーオークションを利用されている、40代(自営業)の顧客の方に、出品までの流れ、当日の様子、そしてオークションという文化から得たものについて、語っていただきました。

出品者が語る、サザビーズジュエリーオークションの魅力

サザビーズジュエリーオークションの様子
Q. サザビーズジュエリーオークションに参加したきっかけは、どんなことでしたか?
A. 2016年から利用しているのですが、最初は、ダイヤモンドのリングを出品したいと考えたことがきっかけでしたでした。ずっと手元にあったけれど、サイズが合わなくなり、デザインも今の気分とは違うと感じるように。でも思い出や愛着はたっぷりある。価値も相当なものだと記憶している。それを質屋や買取ショップに持ち込むという選択もあるけれど、それではあまりにも味気ないですよね。私のところから次の方へバトンタッチされる様子をこの目で見守りたい。そう思ったときに、オークションという方法がベストだと考えたのです。
Q. オークションの中でも、サザビーズジュエリーオークションを選んだのはなぜですか?
A. 「サザビーズ」というオークションハウスに歴史と実績があることはもちろんですが、ご担当いただいた植村亜希子さんのジュエリーに対する経験と考え方に共感したからです。前職でダイヤモンドを十分に勉強なさり、豊富な知識を備えていたこと。英語が堪能なこと。仕事が丁寧で的確で早いこと。それらのプロフェッショナルな仕事ぶりに感動し、全幅の信頼を置いてお願いすることにしました。
Q. 出品に至るまでのステップを教えてください。
A. まず、自分のダイヤモンドリングがサザビーズジュエリーオークションの出品に値するものかどうか、サザビーズのスペシャリストに査定してもらいます。サザビーズの鑑定士たちは世界中を巡っていますので、彼ら彼女らが日本に来たタイミングで、私の商品の査定を行うことになります。
サザビーズのスペシャリストによる査定風景

カラー、カラット、クラリティ……すべてにおいて、彼らには過去の膨大なデータがあり、それを元に査定を行います。そしてはじき出されるのが、いわゆる落札予想価格でいくらからいくらまでと、ある程度のレンジが提示されることになります。そこで納得すれば、商品はいざ香港へ。檜舞台へと上がるためのカタログ撮影が行われるというわけです。

一点一点、丁寧に撮影されたカタログ
Q. オークション当日の熱気や興奮などをお聞かせいただけますでしょうか。
A. オークション数日前、現地の香港で下見会が行われます。今回のオークションに参加する商品が一同に会する場で、数々のハイジュエリーの中に自分のリングが並んでいることに誇りを感じるとともに、類似する商品をチェックしたり、そのライバルとどう比較されているのかを見たりなども。静かな興奮が自分の中に訪れるのがわかります。
下見会の様子

当日は気合を入れて、ドレスアップして会場へ。テレビや映画でご覧になる、あの売買が目の前で行われるわけで、売る方も買う方もスリリング。現場で札を上げる方もいれば、代理人に電話で指示をする方、今ではネットで入札する方もいらっしゃいます。そして自分の商品が登場すると、テンションはマックスに。手に汗握りながら、まずサザビーズと合意した最低落札希望価格をクリアした時点で、胸を撫で下ろします。さらに「あとひと声!」と心の中で願いながら、予想以上の価格まで上がったときは飛び上がるような思いです。最終的には、落札された方の元で可愛がってもらえますように、と我が子を嫁に出したような気持ちになるわけです。

オークション当日の様子

オークションならではのエピソードとなると、昨年の春、世界最高と言われるピンクダイヤモンドが出品されたときに会場に居合わせたのですが、ビッド(入札)されるごとにものすごいスピードで上がっていき、最後には約80億円もの価値をつけたときには本当に興奮しました。非日常の現場に身を置くことの貴重さと喜びを感じたのを覚えています。

Q. サザビーズジュエリーオークションという経験を通して、得たものを教えてください。
A. 「本物の価値を知る」という経験を味わえることでしょうか。ダイヤモンドは特に、ブランド力が評価されるのではなく、そのもの自体の価値が評価されます。ブランドネームを外したところにある本物の価値。物の真髄を見つめる目が鍛えられていく、とも言えるかもしれません。40代、50代の女性なら、「いいもの」はたくさん持っていることでしょう。でも、それを「本物」にシフトしていってほしい。『「いいもの」をたくさん持つなら、「本物」をひとつ』とお伝えしたいのです。
現在は年2回香港を訪ねていますが、この先はN.Y.やスイスでのオークションにも参加してみたい。将来的には、最高クラスのダイヤモンドのイヤリングを落札し、愛用した後はひとつずつリングにし、ふたりの娘それぞれに譲るのが夢。人間には寿命があるけれど、ダイヤモンドにはありません。歴史を刻んできたダイヤモンドを一時期でも慈しみ、それを代々引き継いでまた歴史をつくっていく。サザビーズジュエリーオークションに携わるとはそういうことだと考えています。

「いいものから本物へ」。人生を重ねてきた女性の心に響くメッセージです。単に物をやりとりするのではなく、価値観を磨き、歴史を共有するのがオークションという文化。もし興味があれば、ぜひ問い合わせてみてはいかがでしょうか。

この記事の執筆者
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WRITING :
本庄真穂
EDIT :
石原あや乃