たまに食べたくなるお茶漬け。お好みの具材をのせて、お茶や出汁をかけるだけなので、とっても簡単な時短料理のひとつです。ちょっと食欲がないときにも重宝するこのお茶漬けは、実はおいしさを追求すれば切りがないのです。

梅干しのお茶漬け
五ツ星マイスター・金子真人さんに聞く、お茶漬けに合うお米

今回は、お茶漬けに合うお米を追求する視点から、お米の専門家である、五ツ星マイスターで、金子商店3代目の金子真人さんにご協力いただきました。

お茶と出汁のお茶漬けそれぞれに合うお米の種類や味わいの違いは必見です!

お茶漬けの魅力を再確認!

まずはお茶漬けの魅力を再確認しておきましょう。金子さんは次のように話します。

「お茶漬けの魅力は、まずお椀ひとつで手軽につくることができて、喉ごしよくサラサラ食べられる上に腹持ちがよい点にあると思います。また時間がないときや食欲がないとき、お酒を飲んだ後など、いつでもおいしく食べられて、栄養補給ができる点も魅力です」

お茶漬けは、時短が求められる今の時代にぴったり合っている貴重な料理ですね!

最高においしいお茶漬けを決める条件とは?

では、このお茶漬け、最高においしくつくる条件にはどのようなものがあるのでしょうか?

「お茶漬けは、ご飯、具材、汁の調和と共に、最後に飲み込むときの一体感がおいしさを決めます。そのため、お米はお茶、もしくは出汁や具材に合った硬さ・粘り・食感であることが条件です」

だし汁をかけた鯛茶漬け
最高においしいお茶漬けを決める条件とは?

水加減でお米の硬さを調整するよりも、炊飯器の目盛り通りで炊飯したほうがおいしく炊けます。ポイントは、お茶漬けに相性の良いお米の品種を選ぶことだと思います。お米は品種によって、硬さ・粘り具合が異なってきます」

「お茶のお茶漬け」と「出汁のお茶漬け」それぞれに合うお米は?

ところで、お茶と出汁、それぞれどのような違いが出るのでしょうか?

「お茶をかけると、しゃっきりとした食感のお米であれば、サラサラと食べられます。茶葉の香りや渋みがご飯の甘みを引き出し、優しく爽やかな味わいになります。出汁をかけた場合、出汁のコクとご飯の旨みの相乗効果で、後味の豊かな味わいになります」

では、お茶のお茶漬けと出汁のお茶漬け、それぞれに合うお米の種類を教えていただきましょう。

「お茶のお茶漬け」に合うお米

選ぶポイント:あっさり/しっかり食感
粒が大きく、歯ごたえがあり、あっさりとした食感でお茶碗からするりと食べられる、のど越しの良いお米。
富山産花キラリのキャラクター
例)富山産 花キラリ(あっさり・しっかり食感)

「花キラリは、しっかり食感で炊き上がりのツヤが美しい、素材の味を引き立てるお米です。大粒で歯ごたえもあり表面が滑らか、あっさりした味わいで、お茶とともにさらりと食べられます。出汁だと、サラサラ食べることができますが、もの足りなさを感じてしまうかもしれません」

「出汁のお茶漬け」に合うお米

選ぶポイント:もっちり/しっかり食感
粒が大きく、適度な粘りと歯ごたえがあって、噛むほどに旨みが感じられるお米。
新潟産のお米「新之助」
例)新潟産 新之助(もっちり・しっかり食感)

「新之助は、大粒でしっかりとした粒感があり、ほぐれやすく、甘み・コクに満ちたお米です。粒が大きく程よい粘りでだしが絡みやすく、深い甘みと共に後から旨みが感じられます。お茶ですとお米の風味が強く、存在感が出過ぎてしまうでしょう」

お茶と出汁の食感や味わい、どちらがお好みですか? ぜひ合うお米を選んでみましょう。

プロが認める、最高においしいお茶漬けとは?

究極においしいお茶漬けとは?
究極においしいお茶漬けとは?

ところで、五ツ星マイスターにとって、究極においしいお茶漬けといえばどのようなお茶漬けなのでしょうか? 金子さんにふたつピックアップしていただきました。

鯛茶漬け

「お茶漬けの贅沢な具材といえば鯛。刺身用の鯛を買ってきて、お茶(出汁)をかけると鯛がふやけるのもまた切ないですね。醤油やみりんで下味をつけた鯛に合うのは、『もっちり・しっかり食感のお米+出汁』です。口に入れると、鯛の旨みとだしの旨み、ご飯の甘みが三位一体となり、噛み進めて飲み込んだ後にご飯の旨みが余韻として感じられます。鯛は歯ごたえがあり、より高級感を味わえると思います」

宮崎の郷土料理「冷や汁」

「冷や汁は、夏のエネルギー補給にぴったりな『ご飯+味噌』のコンビ。宮崎の郷土料理で、出汁と味噌で味付けをします。ご飯は約65%は水分で、ここに味噌のタンパク質や塩分が含まれることでバランスも良くなり、熱中症対策にもおすすめです。水分補給だけでなく、“しっかり食べて”水分補給を」

お茶漬けは、お茶と出汁とで食感や味わいが変わり、お米によっても変わることがわかりました。自分好みの組み合わせを追求してみたいですね。

金子真人氏
金子真人さん
五ツ星お米マイスター
(かねこ まさと)昭和11年創業の金子商店3代目。全国各地から厳選した50種類以上の玄米を販売。米の食味審査員、産地へのブランディング、企業向けキャンペーン米の提供をはじめ、産地での講演、小学校の出前授業、大学スポーツ部のセミナー、メディア出演で、お米の普及活動に取り組む。農林水産大臣賞受賞店。

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WRITING :
石原亜香利