ひとつでも当てはまる人は、海外投資に向いています

本記事では、手持ち資金を増やす手段として「海外投資」に関心がある方に向けて、失敗しない外国株の選び方のコツをお伝えします。海外投資に向いているのは下記のような方です。

海外投資に向いてる?向いていない?チェックリスト

  1. 特定の国の情報に興味があったり、日常的に触れる環境にある
  2. 住宅ローンの完遂メドが立っている
  3. 教育費など家族にかかるお金が減少している
  4. 定年前退職など、早めのリタイアや第二の人生を具体的に考えている
  5. 仕事をやめるまでに、ある程度の時間的余裕がある(10年程度あると理想)
  6. 当面の生活に支障の出ない余裕資金がある
  7. 海外移住や海外での長期滞在など用に、「外貨」での貯金を考えている

以上、7つのチェックリストのほとんどに当てはまる人は、海外投資をするのに向いています。また、(5)は最も大切な大原則なため、ここを満たしていない場合は、投資には向いていません。

それでは実際に、海外投資をするためにはどうすれば?を、ケーススタディをもとに見ていきましょう。


海外投資をするためには、まず「証券口座」を開く

海外投資をするためには、まず証券口座を開きましょう

【ケーススタディ】今年6月、銀婚式を迎えたイクミさん(49歳)とユウイチさん(50歳)。長女のマイカさん(23歳)、長男のダイキくん(20歳)も立派に成長し、教育費や住宅ローンの目途もたっていることもあり、夫婦ふたりのこれからの暮らしについて、話し合うようになりました。

ユウイチさんが勤める大手重工メーカーは、雇用延長制度をとっており、60歳以降も会社に残ることは可能です。ただし、給与はそれまでの半分程度、仕事内容も補助的なものになります。

ならば、潔く60歳で退職して、グアムで暮らしたいというのがユウイチさんの希望です。海好きなイクミさん夫婦は、毎年のようにグアムに行っており、現地には懇意にしている日本人コーディネーターもいます。寒いのが苦手なイクミさんは、ユウイチさんの話を聞いて、「完全移住は難しくても、1年の半分くらいはグアムで暮らすのもいいかも」と心動かされています。

問題は、グアムで暮らすための生活費。イクミさん夫婦が年金をもらえるのは65歳から。ユウイチさんの退職金、手持ちの預貯金だけでは、海外での暮らしを含めた老後の生活費は心もとないため、検討しているのが海外投資による老後資金づくりです。

【前編:老後のために「外国で証券口座を開く」方法】

海外に目を向ければ、メッセンジャーアプリの「「WeChatPay(ウィーチャットペイ)」を提供している、中国の「テンセント・ホールディング」スのように、大きな成長を期待できる企業がまだまだあります。その成長に乗れれば、自分の資産を大きく増やせる可能性もあるのです。

そこで、前編ではファイナンシャル・プランナーの大山弘子さんのアドバイスのもと、海外投資を始めるための証券口座の開設方法などを確認しました。

アドバイスの通り、ユウイチさんは国内のネット証券のひとつに口座を開設し、外国株式を購入するための準備を開始。口座に投資資金も入金して、取引の準備は万端です。

ただし、投資は大きなリターンも狙えますが、リスクもつきものです。とくに外国株式を購入すると、株価の変動リスクに加えて、為替リスクもあります。

そこで、この後編では、外国株式の銘柄を選ぶ際の情報収集の方法、優良株式の見分け方などを、引き続き大山さんにアドバイスしてもらいます。

自分が情報の取りやすい国の、企業を探すのが海外投資の鉄則

自分が情報を取りやすい国は?

株式投資をすることで得られる利益には、企業の業績に応じて株主に支払われる「配当」、株価の上昇によって得られる「売却益」などがありますが、大きなリターンが期待できるのが後者「売却益」です。自分が購入したときの価格よりも、売却したときの価格が値上がりしていれば、その差額が利益となります。

ただし、株価はつねに値動きしているので、購入したときより値下がりすることも当然あります。値下がりしても保有していれば、損が確定することはありませんが、ずっと値下がりしたままだと含み損となり、売るに売れない「塩漬け株」になってしまうこともあります。

外国株式は、こうした株価の「変動リスク」に加えて、日本円を外国の通貨に交換して運用するときに発生する「為替リスク」もあります。購入時の為替レートよりも、円安になれば為替差益が取れますが、円高になると損することになるので、このふたつのリスクがあることを抑えたうえで、投資する銘柄を選ぶ必要があります。

「外国株式のなかでも新興国のものは、価格に大きなブレが生じやすい傾向があります。また、ブームで株価が動く傾向も。株価が急上昇したものの、悪いニュースが出た途端に急落したり、気づかないうちに不祥事などの理由で上場廃止になることもあります。そのため、自分が興味を持ちやすく、情報を収集しやすい国の企業に投資するのが鉄則です。たとえば、仕事や旅行でよく行く国の企業、日本にいてもテレビやラジオなどよく目にする外国企業などは情報を得やすく、興味も持ちやすいはずです」(大山さん)

投資できる外国株式は、アメリカなどの先進国から、中国、インドなどのアジア諸国まで多岐にわたります。そうした外国企業の情報は、証券会社が提供している投資情報、検索サイトのファイナンス情報なども参考になりますが、投資アナリストなどの有料メルマガを購読して、新しい優良銘柄を発掘している人もいます。

こうした情報から、自分なりに期待できる銘柄が見つけられたら、証券会社のホームページや検索サイトなどで、業績やチャート、株価指標を確認して、その企業の実力をチェックしてみましょう。

業績やチャート、株価指標で企業の実力と売買タイミングをチェック

株価指標は、その企業の株価を評価するときのさまざまな尺度のことで、PER(株価収益率)、PBR(株価純資産倍率)、配当利回りなどがある

チャートは、株価を折れ線グラフで表したもので、その銘柄の株価が過去の水準に比べて安いか、高いかを判断するためのひとつの要素となっています。また、株価指標は、その企業の株価を評価するときのさまざまな尺度のことで、PER(株価収益率)、PBR(株価純資産倍率)、配当利回りなどがあります。

買い時かどうかを判断するときの目安として、大山さんは「PER10倍以下、PBR1倍以下、配当利回り5%以上なら割安な水準」だといいます。チャートを見て、投資先として選んだ銘柄が株価を大きく下げたあとに、じわじわと値上がりをはじめたら、「買い」のタイミングです。

とはいえ、株価はつねに変動するもので、予想に反する値動きをするものです。そうした株価の変動リスクを回避するためには、チャートを見ながら投資するタイミングを、分散するのもひとつの手段です。

たとえば、投資資金が100万円あるなら、一度に100万円すべてを投資するのではなく、大きく株価が下がり始めたことを確認してから、少しずつ買い足していくと購入価格を平準化できて、株価の変動リスクを和らげられます。

「個別の株式を自分で選ぶのが難しいなら、世界の国々の株式に分散投資ができる投資信託を利用する方法もあります。大きな値上がりを期待するのであれば、積極的な運用を目指す『アクティブ型』がおすすめです。ただし、信託報酬などのコストが高いものは運用効果が半減してしまうので、購入前にコストを確認して、高いものは避けたほうがいいでしょう」(大山さん)

投資する目的に合わせて「売り時」を決めておく

外国株式に限ったことではありませんが、株式投資をするうえで難しいのは「売り時」です。

株式の評価額は、預貯金とは異なり、つねに値動きを繰り返しています。値上がりし続ければいいけれど、うまくいくときばかりではありません。経済環境の変化によっては、予想に反して自分が購入した株式が大幅に値下がりしてしまうこともあるので、預けっぱなしにはしないで、定期的なメンテナンスが必要になります。そこで、決めておきたいのが、自分なりの売却の目安です。

「配当のよい会社なので、株価が多少下がってもあわてずに長く保有する」

「株価が1.5倍になったら、いったん売却して利益を確定する」

「10%値下がりしたら損切して様子を見る」

その株式を保有する目的をはっきりとさせて、売却に関する決めごとをしておくと、「売却のタイミングを逸して、大切な投資資金を塩漬けにしてしまった」ということが避けられ、新たな投資で次のチャンスを得やすくなります。

イクミさん(49歳)とユウイチさん(50歳)はグアムでのマリンスポーツが好き

50歳のユウイチさんには、60歳までに10年の投資期間があります。この間、海外の企業の成長にのって投資ができれば、グアムで暮らすための老後資金を増やせる可能性はあります。

株式投資には、株価の変動リスクや為替の変動リスクをあるので、生活に支障の出ない余裕資金で投資するという原則はおさえつつ、無理のない範囲で挑戦してみましょう。投資は、思い立ったが吉日です。

大山弘子さん
ファイナンシャル・プランナー(AFP)/フリーライター
(おおやま ひろこ)早稲田大学卒業後、旅行会社に勤務。その後、出版社に転職し、1998年からフリーライターに。ファイナンシャル・プランナー(AFP)の資格も有しており、資産運用をはじめとするマネー記事を数多く手掛けている。中国やインド、アジア諸国の投資事情に詳しく、2006年にはベトナム株関連の単行本の企画、構成などに携わり、ベトナム株ブームのきっかけを作る。自身も、米国、中国、インド、アジア諸国への投資を行い、その経験を記事に生かしている。
この記事の執筆者
1968年、千葉県生まれ。編集プロダクション勤務後、1999年に独立。医療や年金などの社会保障制度、家計の節約など身の回りのお金の情報について、新聞や雑誌、ネットサイトに寄稿。おもな著書に「読むだけで200万円節約できる!医療費と医療保険&介護保険のトクする裏ワザ30」(ダイヤモンド社)がある。