職場にいる人が全員、ウマの合う好人物ばかりであれば、仕事はどれほど楽しいことか……。
しかし、現実にはそうはいきませんよね。嫌味な小言が多い人、悪口・陰口・ゴシップが大好きな人、自分の価値観を押しつけてくる人……。誰しも職場にひとりやふたりは「なんだか顔を合わしたくないな」と思える苦手人物がいるもの。
もちろん、いい大人ですから、自分の感情だけでその人物を無視するわけにはいかないのは、みなさん百も承知のはず。それに、対応次第では職場の人間関係がこじれるなど、ますます自分の首を絞めることにもなりかねません。
そこで今回は、元CAのマナー講師で『フツウの私を120分で品格のある女性にして下さい!』の著者である森下あさみさんから、職場にいる苦手な人へのNG対応をご紹介します。
品格ある女性は絶対やらない「苦手な人へのNG対応」5選
■1:固い表情のまま接するのはNG
職場の人間関係に私情を持ち込むのは厳禁。苦手な人物にも、卒なく接しなければならないというのは大人のキャリア女性なら誰しも心得ているはず。ただ、頭ではわかっているつもりでも、「この人、苦手だな」という感情が態度ににじみ出て、相手に伝わってしまうことは往々にしてあるようです。
「苦手な方に接するときに、気をつけなければならないのは表情です。自分では普通に接しているつもりでも、苦手な方に対しては無意識のうちに表情がこわばってしまい、相手から見ると怖い印象だったり、何となく拒絶しているように受け取られたりする恐れがあります。
ですから、苦手な方に相対するときには、意識的に笑顔をつくること! 私のCA時代には、クレームをおっしゃりそうなお客様に対してこそ笑顔でコミュニケーションをとるように心がけていました。
『このお客様は面倒だな』という気持ちのままで接すると、そのネガティブな感情が相手に伝わり、『なんだ、その態度は!』とお叱りを受けてしまいやすいのです。
他方、笑顔は“あなたの味方です”というメッセージ。自分を受け入れ肯定してくれる人物には、誰しもダメ出ししにくいので、意識的に笑顔を向けることで結果的にクレームは発生しにくくなります。また、心と体はつながっていますから、笑顔をつくることで気分が上がり、苦手意識を軽減する効果もあるではないでしょうか」(森下さん)
いわゆる素の状態で、苦手人物に接するのはNG。自分自身の表情は確認できませんが、実は怖い仏頂面を相手に向けてしまっているかもしれません。笑顔に自信のない人は、苦手人物に話しかける前に、まずお化粧室で自分の表情をほぐしてからトライしてみてはいかがでしょうか。
■2:相手の欠点ばかりにフォーカスするのはNG
苦手人物を思い浮かべて、その特徴を挙げてみてください。嫌味ばかり言ってくる、いつも不機嫌そう……など、その人物のネガティブな特徴がまず挙がるのではないでしょうか。あるいは、優秀“だけど”言葉がきつい、人を見下してそう……というように、長所は挙がっても、それを打ち消すかのように短所がスラスラ出てくるのでは?
「職場での人間関係に臆病になっている人は、他人の欠点にフォーカスしがちです。ただ、さきほど“ネガティブな感情は相手に伝わる”とお伝えしたように、自分が嫌うと例外なく相手から嫌われてしまいます。ですから、どんな嫌な相手と接するときにも、その人のいいところだけを見て話すように心がけてみましょう。
いいところだけ見ようと思っても、最初はなかなか難しいかもしれませんが、あまり堅苦しく考えずに、まずは肩の力を抜いて相手を観察すること。身につけているもの、髪型、顔のパーツ、口にする言葉、日々の行動等、ほんのささいなことでもいいので、相手を褒めるポイントを探してみましょう。
これもCA時代の話になりますが、機内では好き嫌いを理由にチームワークが乱れ、お客様の安全確保に支障が出る事態は絶対に避けなければいけないこと。それゆえ、チームの結束を固めるために、“1日5人は褒めること”をミッションとしているCAも少なくありませんでした」(森下さん)
職場での人間関係の悩みを解消したい人は、“苦手人物を1日1回は褒める”を実践するといいかもしれませんね。
■3:漠然とした褒め方をするのはNG
前項で、苦手人物のいいところにフォーカスして、褒めることの大切さをお伝えしましたが、褒め方によっては、かえって相手を不愉快にさせてしまう恐れも。
「『おきれいですね』とか『すごいですね』など、漠然とした褒め方では、心にもないおべっかであることが相手に見透かされてしまい、よい印象をもたれません。『今日の口紅とてもきれいですね』、『クレーム対応のスキルが素晴らしいですね』など、具体的に褒めるように心がけましょう。
また、なんの脈絡もなくただおだてるだけでは不自然ですし、相手も『だから何?』といぶかしがるかもしれません。ですから、褒めるときには、質問・相談とセットにするのがおすすめです。
例えば、『どちらでその口紅、購入されたのですか?』とか『私はいつもお客様からお叱りを受けてしまうのですが、どうすれば●●さんのように対応できるようになるのでしょうか?』など、アドバイスを求めるようにすれば、相手に敬意が伝わりやすいでしょう」(森下さん)
具体的に褒めるためには、やはり相手をしっかり観察することが重要。観察するとは、相手に関心を持つことに他ならないので、褒めグセをつけるとどんどん職場の人間関係が向上することまちがいありません。苦手だから顔も見たくない……ではなく、むしろ苦手人物こそよくよく観察しましょう。
■4:ネガティブな感情を引きずったまま接するのはNG
森下さんによれば、職場の人間関係を円満にするためには、気持ちの切り替えも非常に重要であるのこと。
「さきほどから再三、ネガティブな感情はできるだけ回避すべきだとお伝えしてきましたが、私自身ももともとスーパーネガティブ人間で、厳しい先輩とご一緒するときには、『飛行機から飛び降りたい』と思うことが何度もあったほどです(笑)
しかし、実際に飛び降りるわけにもいかないので、自分なりに実践していたのが“嫌なことは1秒でも早く忘れる”訓練。ネガティブな人というのは、例えば叱責されたり嫌味を言われたりなど、自分にとって不快な出来事を繰り返し思い出し、相手への嫌なイメージを増幅させて、ますます関係が悪くなる……という負のサイクルに陥りがちです。
そのサイクルから脱却するために、意識的にネガティブな感情を頭から追い出す必要があります。嫌な記憶は積極的に忘れようと意識する、とにかく1秒でも過ぎたら記憶をリセットする、ということを日々重ねていくだけでも、まっさらな先入観のない気持ちで相手と接することができ、人間関係は劇的に改善するでしょう」(森下さん)
職場の人間関係に悩んでいる人は、「あの人にこんなことされた」「こんなこと言われた」と嫌な記憶に支配されていることで、ますます悩みを深刻なものにしているのかもしれません。
仕事をしていくなかでの大小のトラブルは避けられませんが、そんなときはネガティブに引きずられないことが大事。すぐに好きな人物や楽しい出来事を思い浮かべて悪い流れを阻止するリセット癖をつけましょう。
■5:相手の言い分を頭ごなしに否定するのはNG
耳が痛い言葉であっても、それが自分の成長につながるアドバイスであればありがたいですよね。ただ、職場では、悪口やゴシップ、あるいは単なる価値観の押しつけなど、自分にとってなんらプラスにならない情報を吹き込んでくる人物も存在するもの。これにはどう対処すればよいのでしょうか?
「どんなに首肯しかねる発言であっても、『それはちょっと違うんじゃないですか』などと頭ごなしに否定したり、拒絶感を表情や態度に示したりするのは、人間関係がこじれる元です。
まずは、『あなたはそう思うのですね』と、あくまで相手を主語として、その人の気持ちを受け止めてあげると角が立ちません。悪口を持ちかけられたうえ、『あなたはどう思う?』など意見を求められたときには、『そうですね……。●●さんはなぜそういうふうに思われたのですか?』など自分の立場は明確にせず、相手に話を戻してしまいましょう。
他人の悪口や上から目線のお節介アドバイスなどは、聞いているだけで苦痛を覚えますが、ただ、相手がなぜそんなことを言うのか、その人の気持ちを考えてみるのもおすすめです。
発言の背景を探ってみると、その人の自信のなさや寂しさなどが見えてくることもあります。そうすると、ただ相手を拒否するのではなく、ちょっと優しく接してみようと心の余裕を持って対応できるのではないでしょうか」(森下さん)
この人、嫌だな……という自分の嫌悪感情だけで苦手人物から逃げ回るのではなく、相手を思いやるコミュニケーションを心がけましょう。
*
相手を変えることは不可能でも、自分を変えることはできる、とよくいわれます。いずれもちょっとした心がけなので、職場の人間関係に悩んでいる人はぜひ実践しましょう!
『中身を変えずに“最高に大切に扱われる女”になるスゴイ方法 フツウの私を120分で品格(オーラ)がある女にして下さい!』森下あさみ著 WAVE出版刊
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- TEXT :
- Precious.jp編集部
- WRITING :
- 中田綾美