イギリスやイタリア、フランスなど、ヨーロッパで開催されるイベントに参加する男たちは、特にドレスコードの指定がなくとも、タイドアップしたスタイルで顔をそろえる。スーツの着用は、紳士たちの暗黙の了解で、足元は、当然ながら磨き上げられた革靴。基本は黒靴だが、茶色の靴をはくダンディたちも多い。正統的なスーツも、本格靴を合わせて気高き普通を表現できるのだ。
では、本格靴の条件とは何か。それは、上質な革を使用して、美しく成形されたスタイルと丁寧な仕上げによる、伝統的な製法でつくり上げた一足であることだ。10年や20年ははき続けられる靴といってもいい。
紳士が履く靴は、この7ブランド、7タイプが正解!
- ジョンロブ|ダブルモンクストラップ
- エドワード グリーン|ストレートチップ
- チャーチ|ウイングチップ
- ベルルッティ|プレーントウ
- アンソニー クレバリー|ローファー
- ジェイエムウエストン|サイドゴアブーツ
- クロケット&ジョーンズ|スエードブーツ
この特集では、本格靴の代表的なデザインとして、ダブルモンクストラップ、ストレートチップ、ウィングチップ、プレーントウ、ローファー、サイドゴアブーツ、チャッカブーツの7タイプを選んだ。レザーソールの重厚感ある堅牢な靴や、ソフトに仕上げたドレッシーな靴が主軸だ。また、カジュアルな雰囲気のローファーとチャッカブーツも本格靴に含めた。そのふたつのタイプは、今日まで紳士の足元を飾ってきた伝統的なデザインを継承し、スーツとのコーディネート次第でツヤのあるスタイルを十分に表現できるからである。
スーツとの組み合わせを前提に考えた7足の本格靴。その上で、ブランド別のバリエーションも紹介する。紳士が生涯にわたり活用し得る気高き普通の靴を、この中から選んで頂きたい。
1.ジョンロブ|ダブルモンクストラップ
英国靴の名門ジョンロブがオーダーメイドで生み出したのがデザインの発祥とされているダブルモンクストラップ。既製の靴が評判になるのは1980年代後半からで、伝統的でありながらもモダンな靴として、紳士を魅了してきた。 甲にデザインした革で足を支えるデザインが象徴的なダブルモンクストラップ。ひとつのバックル(尾錠)をデザインしたシングルモンクストラップに比べて、より足元を強調する、重厚感に満ちた表情が魅力的である。
「ジョンロブ」のダブルモンクは6ボタンのダブルスーツと合わせるべし!
2.エドワード グリーン|ストレートチップ
オンのスーツスタイルから、フォーマルなタキシードをドレスコードとするオフィシャルなシーンまで、ドレスアップした着こなしにも対応できるのが、黒のストレートチップである。紳士がそろえるべき、最も基本的な靴とされている。靴のつま先にトウキャップをデザインすることで生まれる横一文字のラインが、靴の名称の由来である。飾り穴(メダリオン)を多彩にデザインするストレートチップもあるが、一切、飾り穴を配さない靴ほど、フォーマル感が高まる。
「エドワード・グリーン」のストレートチップにはネイビーのスリーピースが最高に合う!
3.チャーチ|ウイングチップ
カントリーシューズのデザインを取り入れたのがウィングチップの起源である。ややカジュアルな外羽根もあるが、スーツスタイルを支えるのは写真の内羽根タイプ。つま先や甲革部分などに用いた飾り穴(メダリオン)は、植物や紋章などから発想した柄だ。しかし、現在ではウィングチップは、カントリーな香りよりも、重厚さを残したモダンなスタイルとして定着している。綺麗にそろった個性的な飾り穴は、靴の表情を決めるだけではなく、足元に存在感をもたらす重要な意匠なのだ。
「エドワード・グリーン」のストレートチップにはネイビーのスリーピースが最高に合う!
4.ベルルッティ|プレーントウ
プレーントウの大きな特徴と言えば、靴の表情を決めるつま先部分に、まったくデザインのないシンプルなものを指す。靴そのものの美しい形が、スーツスタイルに色濃く反映されるのである。たとえば、丸みのあるトウは、クラシックなスーツに合い、鋭角的なトウなら、ソリッドな都会的なシーンに向く。ブラウン系の洒落たプレーントウもあるが、よりエレガントに演出でき、最もフォーマルに適している。
色気あふれる「ベルルッティ」のプレーントゥは、王道スーツとの相性も◎!
5.アンソニー クレバリー|ローファー
最もカジュアルな靴が、ローファーである。ダブルモンクストラップやレースアップのように、足の甲を締め上げるのではなく、素足でサッと足を入れられるデザインが魅力だ。軽快な雰囲気が持ち味のローファーは、カジュアルにはくのもいいが、春夏の爽やかな素材を使ったスーツや、明るい色味のスーツなどとの相性がいい
アンソニー クレバリーのローファーは、ナポリスーツとの相性抜群!
6.ジェイエムウエストン|サイドゴアブーツ
およそ半世紀前は『チェルシーブーツ』として親しまれたサイドゴアブーツ。カジュアルなイメージを残すが、そもそもヴィクトリア女王の夫君、アルバート公が愛用した礼装用のブーツが出自である。漆黒のレザーを使い、ブーツの両側にエラスティックを施した革新的なデザインは、足をスマートに見せるだけではなく、はきやすさも備えている。
フランスの高級靴「ジェイエムウエストン」で手持ちの細身スーツをもっと格好よく!
7.クロケット&ジョーンズ|スエードブーツ
ポロ競技用の靴として誕生した背景を持つチャッカブーツは、サイドゴアブーツと比べて、より軽快なデザインだ。ブラウンのスエード素材を使ったチャッカブーツであれば、表革のブーツよりもカジュアルになるため、合わせるスーツはコットンなどの、爽やかな素材を意識する。
持ってないと困る靴。クロケット&ジョーンズのチャッカブーツとは?
以上、紳士の足元にふさわしい名品靴を7足紹介した。仕立てのいいスーツはもちろんだが合わせる靴が重要である。こちらで紹介した7足をすべて手に入れてば靴合わせの心配はなくなるだろう。10年20年と長く使える名品ばかりなので、すべて揃えて損はない!
- TEXT :
- MEN'S Precious編集部
Faceboook へのリンク
Twitter へのリンク