1年間の最後にいただく、年越しそば。江戸時代から始まったといわれる風習で、「来年もそばのように細く長く、健康的に長生きできるように」「そばの麺の歯切れが良いため、1年間の苦労を断ち切り、来年に持ち越さないように」「新陳代謝を活発にし、体内を綺麗にして新年を迎える準備をするため」など、さまざまな意味合いの説があります。

地域によってそばの内容や食べるタイミングも異なります。温かいそば、冷たいそばいずれも食べられており、大晦日の晩に年を越す前に食べる地域や、元旦になってから食べる地域もあります。

そんな年越しそばですが、最も一般的でシンプルな日本そばを前提に、最高においしい年越しそばの条件を、そばを極めた日本蕎麦保存会の会長・片山虎之介さんに伺い、探ってみました。ぜひ参考にして取り入れてみてください。

最高においしい年越しそばの条件とは?

最高においしいそばで年越しを迎えましょう。

■1:そばの産地・種類

福井県今庄のそば畑

「おいしいそばの産地としては、福井県産が最高です。福井県では『在来種』という、昔から栽培を続けている品種を育てています。このそばこそ、日本そば本来の味を備えた本物のそばです。味も香りも強く、食感もしなやかでコシがあり、すばらしいおいしさ。日本全国のそばを食べ歩きましたが、そばのおいしさは福井が日本一です」(片山さん)

■2:ゆで方

そばのゆで方

「ゆで方は手打ちの生麺、乾麺などの種類によってまったく異なります。おいしく食べるには、それぞれ適切なゆで方をするのが非常に重要です。ある意味、ゆで方次第で、そばのおいしさは決まるとさえ言えます。乾麺を自宅でゆでて年越し蕎麦を食べるには、次の方法で必ずおいしく食べられます」(片山さん)

【乾麺を最高においしくするゆで方】
(1)大きな鍋を使う(内径30cmほどが理想)。
(2)水は鍋の7分目までたっぷり入れ、十分に沸騰させる(1人前約100グラムあたり水1.5リットルが目安)。
(3)一度にゆでる麺の量はできるだけ少なくする。
(4)できるだけ高温を保つために、麺を投入したら、一旦、ふたをして再沸騰したらふたを取る。
(5)差し水はしない。
(6)既定のゆで時間を守る。
(7)ゆで上がったら流水で丁寧に洗ってぬめりを取る。
(8)数秒間、冷たい水で締めるとコシがでる。

「ポイントは、できるだけ大きな鍋に、たくさんのお湯を沸かして、できるだけ少量ずつゆでることです。一度にたくさんの麺を投入してしまうと、お湯の温度が一気に下がることで、ゆでに失敗してしまいます。家庭のコンロの火力は低いため、規定のゆで時間を守ってゆでても芯が残る仕上がりになってしまうことが多いのです。

また、よく吹きこぼれそうになったときに差し水をすることもありますが、これは失敗の原因になります。温度が下がり、再沸騰するまでに時間を要するためです。吹きこぼれそうになったら火力を少し弱めるようにしましょう。

ゆで上がってから流水で洗うのは、いただくときに麺同士がくっついてしまうのを避けるためです。そのあと、氷入りの冷たい水などで麺を冷やすとコシが出ます。冷やしすぎると麺の味を感じにくくなるため、数秒間がおすすめです」(片山さん)

■3:食べ方

つゆはお好みのものを。

「つゆ」は市販のものでOK!

「つゆは、ぜひおいしいそばつゆを使いましょう。市販の、薄めるタイプのそばつゆも、おいしいものも多いので、お好みで選んでみてください」(片山さん)

おいしさを引き立てる大根おろし。

薬味・トッピングにはこだわって!

「冷たいそばの場合は、薬味に大根おろしを使うと、そばが何倍もおいしくなります。そばをおいしくする魔法のクスリです。そばつゆの中に、大根おろしを入れて食べるのです。辛味大根をスーパーで見かけたら、ぜひ使ってください。

温かいそばには、刻みネギをトッピングするのがおすすめです。または七味唐辛子を、パラパラっとふりかけるのもいいですね。ワサビは熱い汁に入れると辛さがなくなり、汁の味も変化して味を壊してしまうので、温かいそばには使わないほうがいいです。またそばには天ぷらがとてもよく合いますので、天ぷらを乗せて食べると最高です」(片山さん)

そばと天ぷらは相性ばっちり!

もちろん、伸びないうちにゆで上がったら早めに食べるのがおいしく食べる条件。

そして年越しそばならではのおいしい食べ方の条件として、「家族や友人などとみんなで今年を振り返って楽しく話をしながら食べるのが一番」と片山さんは話します。

家族や友人と楽しく食べれば、おいしさも倍増します。

 今回ご紹介した年越しそばの条件を参考につくり、話題に華を咲かせて存分に楽しみながら、年を越す準備をしましょう!

片山虎之介さん
日本蕎麦保存会 会長、伝統食文化研究家
(かたやま とらのすけ)『サライ』(小学館)に執筆した蕎麦特集の数々は、日本に蕎麦ブームを巻き起こすきっかけとなった。『蕎麦Web』 『日本蕎麦保存会.jp』
この記事の執筆者
Precious.jp編集部は、使える実用的なラグジュアリー情報をお届けするデジタル&エディトリアル集団です。ファッション、美容、お出かけ、ライフスタイル、カルチャー、ブランドなどの厳選された情報を、ていねいな解説と上質で美しいビジュアルでお伝えします。
WRITING :
石原亜香利