エビは、新年のおせち料理やお祝いの席などのおめでたい料理にはつきもの! そしてエビには、頭や殻付きのエビ、伊勢エビ、甘エビなど、さまざまな種類があり、どれもおいしいですよね。しかし、他の食材と比べて食べにくいことも事実。

そこで今回はマナーコンサルタントの西出ひろ子さんによる、殻のむき方をはじめとした、今さら聞けないエビの食べ方マナーの基本を種類別に解説! どんなエビが出てきてもたじろがない、エレガントさを身につけましょう!

綺麗においしく食べたいものです。

エビの基本的な食べ方マナー

エビはお正月の料理にもよく使われるおめでたい食材のひとつ。西出さんは基本的なエビの食べ方について、次のように話します。

「エビは『長寿』を表す、縁起の良い食べ物です。食事そのものの基本マナーとして、まずは、これからいただく食べ物すべてに、感謝の気持ちをもつというものがあります。エビは縁起が良くおめでたい、ありがたい食べ物ですので、特に感謝が大事です。かしこまりすぎず、不安になりすぎず、ありがたくいただきましょう」

そこで、まずは一番気になる殻のむき方の基本を教えていただきました。

「殻をむくときは、結局、手を使わないと難しいのが現実。恥ずかしがらずに手で殻をむいていいんですよ。特に40~50代の女性が手でむくと、周りの方々も『手でむいていいんだ』と安心します。

手を使わないで殻をむくというのは、一見、エレガントと感じるかもしれませんが、無理にカトラリーやお箸を使うことで、上手にむけないほうが恥ずかしい思いをしてしまいます。

指を洗う『フィンガーボール』が出ていればそれで洗い、ない場合は持参した懐紙、ティッシュペーパー、ハンカチ、ウェットティッシュなど、手の汚れをふけるものでふくといいです。

お店でよく出されるタオル地のおしぼりを、お店の方は『汚してもいいですよ』とおっしゃってくださいますが、再利用するものですので、できれば、汚さないほうがいいですね。そこで、いざというときのために先の手をふくいずれかを持参しておくこと。その準備力が、大人の女性としての女性らしさを醸し出すのです」

殻付き・エビ天・甘エビなどの種類別の食べ方マナー

エビはぜひ、どんな形で提供されても、エレガントに食べたいですよね。そこでエビの種類別に、西出さんに食べ方マナーのポイントとなることを教えていただきました。

■1:殻付き・頭付きのエビ

殻付き・頭付きエビは、和食も洋食も両方で出てくることがあります。基本的な違いは、お箸で食べるか、ナイフとフォークで食べるかにあります。

ここでは、車エビのサイズの食べ方を教えていただきます。

和食の場合

お箸を上手に使うのは日本人女性として大切なマナーです。

(1)懐紙で押さえ、箸で頭と胴体を切り離す
「左側にエビの頭がくるようにして置き、左手に懐紙を持ち、その懐紙で頭を押さえておきます。そしてお箸で頭と胴体を切り離します」

(2)箸で身を引き抜き、頭の殻から身を引き抜く
「お箸で頭から身を引き抜きます。味噌などが頭に詰まっていることもありますので、頭に口を直接つけて吸ってもいいです。終わったら、頭の殻はお皿の左奥に置きます」

(3)胴体の殻と脚を取り除く
「次に胴体に付いている殻と脚を取っていきます。懐紙で端を押さえておき、胴体の殻の部分をお箸で一枚一枚はがしていき、脚も取り除きます」

前述のとおり、箸ではなく、手を使って殻をむいてもいいそうです。

「手で殻をむいても問題ありません。周りの方が手で行っていれば、手で行ってもいいのです。ただ、周りの方がお箸を使っていればそれに倣うのがマナー。状況によっては、周囲の行動に合わせることもマナーなのです。

手で行う場合、頭を最初に切り離して、次に胴体の殻と脚を手で取り除きます。食べるときは、その料理に応じて、特にお刺身のときなどは、手で口元に持っていって食べてもマナー違反ではありません。

この場合も、周囲の状況などに応じて、臨機応変に振る舞うことができると素敵ですね。ただ、食べかけをお皿に戻すのは控えましょう。一度、口にしたものですし、歯型もついているので、他人から見るとあまり気持ちのいいものではありません。また、鮮度や温度のことを考えた場合も、すぐに食べきるほうがスマートです」

洋食の場合

フォークとナイフの使い方がポイントです。

(1)ナイフとフォークで頭を切り離す
「左側にエビの頭を置き、フォークで頭を押さえながらナイフで頭を胴体から切り離します」

(2)ナイフで胴体の殻を取る
「次にお腹の部分にナイフを入れ、ナイフで殻の上側を手前から奥に、次に、下側を手前から奥へとはがしていきます。このとき、フォークで左側を必ず押さえます。そして殻と身の間が広がったら、ナイフとフォークで身だけを手前に持ってきます。殻はお皿の左奥へ移動させます」

(3)身をナイフで切って食べていく
「殻が取り除かれたら、身をナイフとフォークで、左から切りながら食べていきます。このとき、全部はじめにひと口大に切っておくというのはNGです。必ず『切っては食べ、切っては食べ』を繰り返しながら食べていきます」

■2:エビの天ぷら

エビの天ぷらにも正しい食べ方が!

エビの天ぷらは、頭はついていないものが多いですが、盛り合わせのときに大きくて食べにくいこともあります。正しい食べ方マナーをチェックしておきましょう。

「天ぷらの盛り合わせが出されたら、盛りつけを崩さないように上から食べていくのが基本です。エビ天は一番上に盛り付けられていることも多いですね。その場合、先に食べてOKです。普通にお箸でつかみ、食べていきます。

一度かみ切ったら、できるだけお皿には置かないほうがいいです。置くときは、絶対に天ぷらのお皿には戻してはいけません。取り皿に置きましょう。そして歯型が他の人に見えないように、自分向きに置きます。食べ終わったら、残った尾の殻は取り皿の左上に置き、懐紙を被せておくと配慮を感じさせます。

天丼の場合、殻は付け合わせのお吸い物などのふたや、丼のふたなどに置くと邪魔になりません。丼の中身を食べ終わったら、殻を丼の中に入れて、ふたをしめます。ふたがないときは、懐紙や紙ナプキンに包んで人様に見えないようにして置いておくとエレガントです」

高級な天ぷらは頭も尾も食べていいことも

「高級な天ぷら店では、エビの頭から尾まで全部食べられるスタイルで提供されることが多くあります。食事のマナーは、つくり手の意向に沿って食べるのが基本。板前さんに食べ方を伺うと『全部召し上がれますので、どうぞ食べてみてください』とおっしゃることがほとんどです。ぜひお店の方に伺ってみましょう。これもマナーのひとつです。

お店の人は、このように食べ方を訊いてもらえるとうれしいものです。また料理長、板長の意向が分かるので、よりマナーを実践しやすくなります。つくり手の意向を尋ねることは、ワンランク上の大人の食事マナーといえます。ただし、頭や尾を食べられるのは、揚げ物のエビです。もちろん、抵抗のある人は無理に食べなくてもいいですよ」

■3:甘エビ(お刺身)

美しい甘エビ

お刺身によく出てくる甘エビも、醤油の付け方や殻の扱い方などを覚えておきましょう。

「ワサビは好みでつけます。お箸でお皿に盛り付けられているワサビを取り、甘エビに直接ちょこっとのせます。そしてお箸で甘エビを持って食べたら、お箸で尾をつかんで、尾はお皿の左斜め上に置き、懐紙を上から被せたり、懐紙に包んでおく配慮があると一目置かれます。

ワサビを醤油に溶かすのがNGといわれるのは、ワサビの風味を逃さないようにという意味があります。ただ、基本は自由。40~50代のラグジュアリーな女性は、基本は知りつつも、一緒にいる人と同様に行動するほうが大人の余裕や抱擁力が感じられて素敵です。ちなみに、甘エビの尾の殻に詰まったものを吸うのはOK。ただ、口をあまりにもとがらせて吸うのはNGです」

海鮮丼の生エビへの醤油の付け方

海鮮丼にはエビがなくっちゃ!

海鮮丼に乗っている甘エビやボタンエビなどには、どのように醤油をつければいいのか迷うかもしれません。一つひとつ、醤油皿につけていただくべきなのか、上から醤油を回しかけてもいいものなのか、気になるところです。

「上から醤油をかけるのは、一概にマナー違反と言い切ることはできません。このような食べ方のマナーは基本的に、好きに食べてOK。迷ったら、お店の人や、一緒に食べている人の意向に従うことが本来のマナーなのです。

私自身は、素材そのものの味を味わうために調味料は使用しないのがほとんどです。海鮮丼をいただく場合、醤油はかけないほうがいいと思っています。なぜなら、いくらなど、塩気のある素材がほかにあれば、そこでお味のバランスをとっていけるからです。

もし、上からかける場合は、全体に回してかけるのではなく、素材に応じてかけていくといいでしょう。ただし、上からかける場合は、その量の加減が難しく、かけすぎてしまうと、お米(ごはん)に浸透しすぎたりして、海鮮本来のお味を楽しめなくなることがありますね。

そういう理由から、ネタを箸でつかみ、一度醤油皿の醤油につけたものを丼の上に戻してお米(ごはん)と一緒に食べたり、別々に食べたりするほうがいいのかもしれません。私自身は行いませんが、ガリに醤油をつけてそれをネタに垂らすという説もありますね」

「一方、ゴルフ場などのレストランでは、男性はお好みに応じて、豪快に醤油を海鮮丼に回しかけてもよいと思えます。しかし、老舗や高級店などであれば、先のとおり、同伴者の意向もありますから、配慮あるつけ方をすることがマナーといえます。

自分だったら、どちらの食べ方をする男性と一緒に食事をしたいか、と考えてみるのもひとつの方法ではないでしょうか。相手へ配慮し、相手に合わせるのが本来のマナーですから、一緒にお食事をいただく相手がかけていたらかけてもいいですし、一つひとつを箸でつかんで醤油皿の醤油につけていただいていれば、そのようにするといいでしょう」

これでおせちのエビも怖くありません。

いかがでしたでしょうか。エビはおめでたい食材の代表。このお正月にいただく機会も多いものです。エビが提供されたら、これらのマナーを思い出して、エレガントな大人の食べ方をしたいですね。

 
西出ひろ子さん
マナーコンサルタント・美道家
(にしで ひろこ)マナーは相手の立場にたつ『相手ファースト』という真心マナー®とおもてなし礼法®を伝え、互いに幸せになる生き方をマナーを通じて伝える第一人者。和食、洋食などの食べ方のマナーの書籍やテレビ出演など多数。企業での人財育成やコンサルティングをはじめ、NHK大河ドラマや映画などで、多くの俳優や女優たちにマナー指導も行うマナー界のカリスマ。海外でも、プロトコル、エチケット、日本のマナーなどを指導している。その教えを学びにすでにマナー講師として活躍している人々などが世界中から訪れ、マナー講師の育成指導もおこなっている。近年は、マナー評論家・マナー解説者としてのメディア取材や出演依頼も多数。近著に高橋真麻さんが帯で推薦する『運命を味方につけるプリンセスマナー』(河出書房新社)など、著書・監修本は国内外で85冊以上。
ヒロコマナーグループの公式HP
この記事の執筆者
TEXT :
Precious.jp編集部 
2019.2.7 更新
Precious.jp編集部は、使える実用的なラグジュアリー情報をお届けするデジタル&エディトリアル集団です。ファッション、美容、お出かけ、ライフスタイル、カルチャー、ブランドなどの厳選された情報を、ていねいな解説と上質で美しいビジュアルでお伝えします。
WRITING :
石原亜香利