正解は… 1:世知(せち)がらい です。

「世知辛い」と書きます。

「世知辛い」が正解。「せちがない」という日本語は存在しません。
「世知辛い」が正解。「せちがない」という日本語は存在しません。

「世知辛い」をネット検索すると、なぜか関連予測に「せちがない」という言葉が一緒に出てきました。調べてみた結果「せちがない」という間違った言葉を使っている方や、「せちがない」で意味を検索している方が、一定数以上いるようなのです。

「世知辛い」の「世知」の語源は、仏教用語で「世間の知恵」を指します。転じて「世渡りの才能」を表すようになりました。

「世知辛い」という言葉を会話で使用するなら、

A:世渡りが難しい。暮らしにくい。という意味では

「努力したのに、こんな結果しか出ないなんて。世知辛い世の中ね」など。

B:金銭に細かく、ケチである。抜け目ない。」という意味では、

「A部長は一見おおらかに見えて、なかなか世知辛い人よ」

というように使用します。大人の会話には、まま登場する言葉だと思いますので、「せちがない、なんてカン違いをしてる方もいるの?」と驚かれた方もいらっしゃるかもしれませんね。

過去の本連載でご紹介した絶滅危惧種的な日本語、「声を荒らげる」は、「カン違いしている人のほうが圧倒的に多くなり、間違った読み方が認められそうな状態」にあります。

対して「世知辛い」は、まだそんな状態までには至っていません。周囲のお若い方などが「せちがない」と誤用していた場合は、大人として優しく指摘してあげたいですね。

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Precious.jp編集部 
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参考資料:文化庁「国語に関する世論調査」(平成25年)
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小出 真朱