エッセイスト・酒井順子さんと漫画家・ほしよりこさんが、女ふたりの知的旅へ。ふたりは、出石〜城崎温泉を巡りました。
本記事では、ふたりが訪れた出石〜城崎温泉の名所を4つ、ご紹介します。
酒井順子さん&ほしよりこさんの「城崎にて」女ふたりの知的旅
■1:但馬の小京都と呼ばれた歴史ある町へ。城下町、出石へ足を伸ばしてレトロな芝居小屋で歌舞伎鑑賞
出石(いずし)は、城崎温泉から車で40分ほどの、同じ豊岡市内の町。ここには、明治34(1901)年に造られた近畿最古の芝居小屋があります。
昭和39(1964)年にいったん閉館しましたが、町の人たちの情熱による大改修を経て、平成20(2008)年、約半世紀ぶりに復活。舞台も座席も、楽屋や奈落などの舞台裏も、創建当時の姿のままに復元されています。
そして、再オープンの杮落(こけらおと)し公演として行われたのが、片岡愛之助さんが座頭を務める「永楽館歌舞伎」。以来、毎秋に開催される出石名物となり、今回で12回目を迎えています。
開演前、人がぎっしりの客席を見て、「想像以上にコンパクトでびっくり!」「本当にここで歌舞伎を?」と、酒井さんもほしさんも大興奮! この日も定員346人、満員御礼。
きっと、日本で最も至近距離で観ることのできる、大迫力の歌舞伎です。客席が一体となって盛り上がる様子に、歌舞伎ファンの酒井さんも、「歌舞伎座のような劇場で観るのとはまた違ったおもしろさがありますね」と目をキラキラ。ほしさんもスケッチする手が止まりません。
「歌舞伎の楽しさ、再発見しました!」(ほしさん)
幕間(まくあい)には、売り子さん(地元のおばちゃん)が手にしたどら焼きを「買いますか」「買いましょう」。歌舞伎鑑賞を堪能したのでした。
問い合わせ先
- 出石永楽館(いずしえいらくかん)
- 営業時間/9:30〜16:30 木曜休み
- TEL:0796-52-5300
- 住所/兵庫県豊岡市出石町柳17-2
■2:昭和の文豪にも外国人にも愛される理由とは?温故も知新もここにある「西村屋本館」で過ごす、ゆるりとした贅沢時間
今回、ふたりが宿泊したのは、老舗旅館の多い城崎温泉でも、江戸安政年間に創業し、今年で160年を迎えるという歴史ある名宿「西村屋本館」。風格ある門をくぐった瞬間に、時の流れがゆるやかになったような、不思議な感覚に包まれます。
建物は、今は国内でも少なくなってしまった、伝統的な木造三階建ての純和風建築。日本庭園をぐるりと囲むように客室が配されていて、どのお部屋からも美しい眺めが楽しめます。
お庭に出たふたりは、建物を見上げては、「ああいうお部屋に文豪が泊まっていたんですかねぇ」、池をのぞき込んでは、「あ、鯉がいますよ、大きいなあ、(手をたたきながら)こっち来い、こっち来い」と、気ままに楽しくおしゃべりです。
「人と町の優しさがしみ渡ります」(酒井さん)
西村屋を愛した犬養毅や棟方志功の書画、北大路魯山人や河井寛次郎の陶芸などが並ぶ展示室では、歴史を感じさせる品々に興味津々。ほしさんは、城崎伝承の民芸品である麦わら細工の名品に釘づけです。
「城崎でカニざんまい! 本当に幸せ~」(ほしさん)
そして、待ちに待ったお食事は…松葉ガニのフルコース! 美しい料理に歓声をあげては食し、黙々と捌(さば)いては食し、合間を縫っておしゃべり、そしてまた歓声に戻る、と、エンドレスのおいしさで、女ふたりの贅沢な夜は更けていくのでした。
2019年春オープンした話題の施設「さんぽう西村屋 本店」も訪れて
問い合わせ先
- 西村屋本館
- TEL:0796-32-2211
- 住所/兵庫県豊岡市城崎町湯島469
- さんぽう西村屋 本店
- 営業時間/10:00~23:00 水曜休み
- TEL:0796-32-4680
- 住所/兵庫県豊岡市城崎町湯島463-2
他にもたくさん行きました!撮って出し旅スナップ
■3:新たな文化発信の形に。城崎国際アートセンター
新しい文化発信の形として全国的に注目を集めている城崎国際アートセンター。劇作家の平田オリザ氏を芸術監督に迎えての創作活動は、県立大学・国際観光芸術専門職大学(仮称)の開校へと発展中です。
問い合わせ先
■4:城崎の文化に触れられる。城崎文芸館
志賀直哉が『城の崎にて』を執筆した老舗旅館「三木屋」の10代目、片岡大介さんも携わる城崎文芸館。「城崎でしか買えない本」を出版するレーベル「本と温泉」を立ち上げ、万城目学や湊かなえの小説をユニークな装丁で制作しています。
問い合わせ先
- 城崎文芸館 TEL:0796-32-2575
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- PHOTO :
- 篠原宏明
- ILLUSTRATION :
- ほしよりこ
- EDIT&WRITING :
- 剣持亜弥(HATSU)、喜多容子(Precious)