お墓参りに出かけてご先祖さまに感謝する「お彼岸」。日本では古くから伝わる伝統的な行事で、お供え物やお墓参りの仕方にはルールやマナーがあります。

まわりから礼節のない人と思われないためにも、そんなお彼岸やお盆、お供え物と墓参りに関するルールとマナーについて確認しておきましょう。

また春のお彼岸やお彼岸の意味、お彼岸に食べる「ぼたもち」などについてもご紹介しましょう。

■2020年「春のお彼岸」とは、いつからいつまで?

「春のお彼岸」とは、「春分の日」をはさんだ前後3日間で、合計7日間のことを言います。

2020年の「春分の日」は3月20日で、2020年の春のお彼岸は3月17日から3月23日です。

ちなみにお彼岸には「春のお彼岸」と「秋のお彼岸」の2回あり、秋のお彼岸は秋分の日をはさんだ7日間になります。

■お彼岸の意味

お彼岸の意味
お彼岸の意味

昔からお彼岸には、家族でお墓参りをすることが一般的な習慣として根付いています。

これは「お彼岸」という言葉には「向こう岸=あの世」の意味があることから、ご先祖さまに思いをはせて感謝をする習わしとなったとされています。

英語でいうと?

お彼岸という言葉は仏教に由来していますが、お彼岸にお墓参りするのは日本独特の文化です。そのため、英語に「お彼岸」という言葉はありません。

「春分の日」と「秋分の日」は、昼と夜の長さが同じになるため、「equal(イコール、同等の意味)」から派生した「equinox day」という言葉が使われます。

春分の日は「Spring Equinox Day」または「Vernal Equinox Day」、秋分の日は「Autumnal Equinox Day」といい、お彼岸については「Spring(またはVernal) equinoctial week」「Autumnal Equinox week」といいます。

お彼岸の意味&由来を詳しくチェック!

お彼岸に関するさらに詳しい意味や由来については、こちらの記事で確認しましょう。

【お彼岸の意味】2020年はいつから何日まで?春と秋、おはぎとぼたもち、お盆との違いから、お墓参りの由来やお彼岸にしてはいけないことまで

■お彼岸に食べるのは、「おはぎ」?「ぼたもち」?

お彼岸に食べるのは、「おはぎ」?「ぼたもち」?
お彼岸に食べるのは、「おはぎ」?「ぼたもち」?

お彼岸に食べる伝統食というと「おはぎ」や「ぼたもち」が有名です。

ここで覚えておきたいのが、「おはぎ」と「ぼたもち」はどちらもあんこともち米で作られた和菓子ですが、それぞれに意味があるということ。

漢字では「お萩」「牡丹餅」と書き、萩の花が咲く秋のお彼岸には「おはぎ」が、牡丹の花が咲く春のお彼岸には「ぼたもち」を用意することになります。

おはぎやぼたもちの作り方

お彼岸のお供え物として「おはぎ」や「ぼたもち」を用意するとき、市販品を購入する方もいますが、自宅で手作りする方もいらっしゃるでしょう。

材料

必要な材料はもち米とうるち米、小豆と砂糖、塩です。

作り方

1. もち米とうるち米をあわせて炊きあげ、熱いうちにすりこぎで米粒をつぶしていきます。
2. 小豆は鍋でじっくり煮て、砂糖と途中で塩を加えながら茹でていきます。
3. バットなどであんを冷ましたら、つぶしたもち米を包んで完成です。市販のあんを利用しても簡単です。

おはぎやぼたもちの違いや種類

「おはぎ」も「ぼたもち」もどちらも作り方は同じです。

形の違い

「おはぎ」は萩の花のように小ぶりの形で、「ぼたもち」は牡丹の花のように大きな丸い形で作ります。

あんこの種類

また「おはぎ」は小豆の皮が見える様子が萩の花と似ているように粒あんが用いられ、「ぼたもち」ではこしあんが使われることもあります。

おはぎやぼたもちの食べ方

「おはぎ」や「ぼたもち」などの和菓子を食べるときは、マナーをおさえてきれいにいただきたいものです。

和菓子用の楊枝や黒文字で

「おはぎ」や「ぼたもち」には、洋菓子のフォークはあまりふさわしくないでしょう。できれば和菓子用の楊枝や黒文字を使うようにしましょう。

おはぎは手前の方から一口サイズに、楊枝や黒文字で切って食べていきます。食べ終えたら楊枝や黒文字を袋に戻し、先端を折り返しておくと、使用済みのものとわかります。

電子レンジで温める

また「おはぎ」や「ぼたもち」をさらに美味しくいただくなら、ラップをかけて軽く電子レンジで温めるのがおすすめ。できたてのようなお餅になって、さらに美味しさがアップします。 

■お彼岸にもお盆にも役立つ、お墓やお仏壇でのお供え物のルール

お墓参りを行うお彼岸やお盆では、お墓や仏壇でのマナーやルールがあります。 

お盆とお彼岸ってどう違うの?

お盆はご先祖さまがあの世からこの世に戻ってくる日と考えられており、ご先祖さまの御霊が迷わず家までたどりつけるように、玄関先に迎え火を焚きます。また、お盆の終わりには、ご先祖さまを再びあの世に送るために送り火を焚きます。

しかしお彼岸は、ご先祖さまがこの世には帰ってくるわけではなく、あの世とこの世がもっとも近くなる「春分の日」「秋分の日」の前後に、ご先祖さまへ感謝を伝えるのが習わしです。

仏壇と墓でルールは違うの?

仏壇は家の中に置いて位牌をおさめますが、お墓は霊園や墓地などに墓石を建てて、遺骨を埋葬します。

仏壇でもお墓でも、ご先祖さまを供養するやり方は、基本的に同じです。ただしお墓の場合は、お供えした花を持ち帰る、生花は禁止するなど霊園によってルールが設けられている場合もあるため、そのルールに従う必要があります。

お供え物のルール1:いつ供えるか

お墓参りに行くのは、年に2回あるお彼岸と夏のお盆という方が多いでしょう。その際はお供え物を用意しておき、お墓の周囲をきれいにしてから供えて、ご先祖さまに近況などを報告します。

お供え物のルール2:仏壇では「五供」をお供えする

仏壇のお供え物は、「五供(ごくう)」とよばれます。「五供」は「香、花、灯燭(とうしょく)、浄水、飲食(おんじき)」の5つのこと。

「香」はお線香やお香のことで、「花」は生花または造花、「灯燭」はろうそく、「浄水」は水またはお茶、「飲食」は炊き立てのご飯1膳目のことを言います。これらは毎日欠かさずお供えします。

お供え物のルール2:実家へ帰省するときはお供え物も

帰省するときは、手土産とは別にお供え物用のお菓子やフルーツも持参すると、とても丁寧でいい印象を持ってもらうことができます。

特に実家に仏壇がある場合は、「御仏壇にお供えしてもよろしいでしょうか?」と断ってから、お供え物を仏壇にお供えしましょう。

お供え物のルール4:のしは「御供(ごくう)」

お供え物用の品には、のしを用意しましょう。水引は黒と白のもので「結びきり」を使用し、表書きは「御供」が一般的です。

亡くなってから四十九日が明ける「忌明け」前は、まだ仏になっていないと考えられるため、「御仏前」「御佛前」ののしを使うことはしません。

お供え物のルール5:お供え物はお菓子が一般的

昔は砂糖が贅沢な高級食材だったため、落雁のような砂糖菓子がお供え物として選ばれました。

しかしお供え物は故人が好きだったものを選ぶのが喜ばれるもの。お参りの後に、親せきや家族でお茶と一緒にお下がりをいただくことも考えて、饅頭などの和菓子や、カステラなどの洋菓子もよく利用されるでしょう。

特にお仏壇にお供えするのなら、日持ちのするアイテムで、個包装されているものがおすすめです。

お供え物のルール6:お返しは基本的に不要

お供え物をいただいた場合、そのお返しは基本的に必要ありません。法事などの場合は、集まった親せきに法要のお食事をもてなすことになりますから、それで問題ないでしょう。

お供え物の一般的な相場は5,000円程度と言われていますが、もしもその相場よりも高額なお供え物をいただいた場合は、その半分か1/3程度のお返しの品を贈ると良いでしょう。

お供え物のルール番外編:葬儀に参列できないときは手紙を添えて

お通夜やお葬式に参列できなかったときや、訃報を知ったのが遅かったときなどは、お供え物に「お悔み状」と呼ばれる手紙を添えるようにしましょう。

絵柄のない真っ白な便箋に縦書きで書き、白い封筒に入れます。不幸が二重に重ならないためにも、必ず封筒は一重のものを使用することが大切です。

お供え物でしてはいけないことは?

お供え物で注意したいのは、肉や魚など殺生したもの。また、バラのようにトゲがあるものや毒性のある花は避けましょう。さらに、過度に明るい色のものは、お供え物には不似合いのため、注意が必要です。

■お彼岸やお盆に欠かせない、墓参りの仕方やマナー

お彼岸やお盆に欠かせない、墓参りの仕方やマナー
お彼岸やお盆に欠かせない、墓参りの仕方やマナー

お彼岸やお盆に行う墓参りのマナーについても確認しておきましょう。

墓参りの意味は?

春と秋のお彼岸の時期は、太陽が真東から昇り真西に沈みます。仏教では西の方向はあの世と考えられており、あの世がもっとも近づくお彼岸の時期に、ご先祖さまを供養するのです。

またお盆にはご先祖さまの霊がもどってくると考えられ、この時期にも家族で墓参りするのが一般的な風習となっています。

墓参りの仕方やマナー1:服装はカジュアルな装いでOK

回忌法要では礼服や黒のスーツを着るのがマナーですが、それ以外の墓参りではカジュアルな装いで問題ありません。

墓石や周囲の掃除を行うので、動きやすい恰好をしておくのが大切。ただし、派手な色やデザインのものは避け、墓地には砂利道なども多いため、転倒の可能性があるピンヒールのような靴は避けましょう。

墓参りの仕方やマナー2:必要な持ち物は?

墓参りでは、掃除に必要となるブラシやスポンジ、ゴミ袋、軍手などを用意しましょう。

またお供え物として、ロウソクや線香、故人が好きだったお菓子、さらに春のお彼岸なら「ぼたもち」、秋のお彼岸なら「おはぎ」も用意すると良いでしょう。

墓参りの仕方やマナー3:墓参りの手順

墓参りでは、まず墓前に合掌したらお墓の掃除からはじめます。

墓石は、たわしのような硬いものでこすると傷がついてしまうため、やわらかい布やスポンジで汚れを落としていきましょう。周囲に雑草などが生えていたら、それらもきれいに除きます。

掃除が終わったら、きれいな水を手桶にくんで、墓石に打ち水して清めます。お花やお水、お供え物を置いたら、お線香をあげて合掌します。

墓参りの仕方やマナー4:お供え物は持ち帰る

お参りが終わったら、お供えしたものは持ち帰るか、その場でいただくのがマナーです。そのままにしておくと、カラスが食べ散らかしたり、墓石にシミができたりする原因となります。

墓参りでしてはいけないことは?

墓参りで注意したいのは、お線香の火を消すときは口で吹かず、手のひらを振って消すようにすることです。

人の息は、けがれたものとされているため、それを吹きかけたお線香をお供えすることはタブーです。

また、故人がお酒好きだったからと、墓石にお酒をかけると、サビができたり変色したりする原因となるため、避けた方がいいでしょう。

さらに「午後に墓参りしてはいけない」などともいわれていますが、これは「ご先祖さまを第一に考えて墓参りすべき」という考えがあるためです。

できれば一日のスケジュールの最初に墓参りを行うようにしましょう。

お彼岸のお供え物と墓参りは、マナーと作法を大切に

当記事では、2020年の春のお彼岸はいつからいつまでなのか、英語では何というのか、食べるのは「おはぎ」か「ぼたもち」なのか、おはぎやぼたもちの作り方や種類、食べ方をご紹介しました。

また、お彼岸にもお盆にも役立つ、お墓やお仏壇でのお供え物のルールやお供え物でしてはいけないこと、墓参りの仕方やマナーなどもチェックしてみました。

お彼岸やお盆でご先祖さまを供養することは、古くから続く日本の大切な習わしです。

地方によってマナーや作法が違うこともあるので、そのしきたりにあわせて墓参りやお供え物をするようにしましょう。

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