全国に発令された緊急事態宣言。新型コロナウイルスから身を守るため、可能な限り家にいることが最も大切ですが、毎日の食事からしっかりと栄養を摂り、免疫力をアップさせておくと、万が一かかってしまったとき重篤化を防げる可能性が高まります。

本記事では、日本ビューティーヘルス協会会長で管理栄養士の池上淳子さんに、免疫力をアップする食材や食べ方について伺いました。

免疫力が下がるとどうなるのか?

池上さんによると、免疫力が下がることで下記のようなトラブルが起きやすくなるのだとか。

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免疫力が下がると体にさまざまなトラブルが!

■1:風邪やインフルエンザにかかりやすい

通常では、細菌やウイルスが体内に侵入しても体の免疫機能により守られて未然に防ぐことができますが、免疫力が下がると体を守る働きが弱まり、風邪やインフルエンザなどの病気にかかることがあります。

■2:肌が荒れてしまう

免疫力が低下すると、血流が悪くなり、皮膚に十分な栄養や酸素が行き渡らなくなります。そうすると新陳代謝が乱れ、肌荒れが引き起こされます。

■3:アレルギーを引き起こす

花粉症など代表的なアレルギーは、体内に花粉(異物)が侵入してきたときに免疫機能が過剰に反応してアレルギー症状を引き起こします。免疫機能が正常に機能しなくなっていると、カラダは無害な花粉を有害と判断して攻撃をするため、花粉症の症状が発症すると言われています。

■4:ガンになりやすい

健康な人でも細胞分裂の過程で毎日3000~5000個のガン細胞が発生しています。私たちの体は免疫細胞がガン細胞を攻撃して、発症や増大を未然に防いでくれています。しかし、免疫力が低下するとガン細胞を攻撃する力が弱まり、ガンを発症させてしまうリスクが上がるのです。

「その他、アトピー性皮膚炎、腫瘍、歯茎の病気など、免疫力が下がることで、体が弱ったり、病気にかかりやすくなると言われています」(池上さん)

チェックシートであなたの免疫力を確かめてみて

自身の免疫力が低下していると、体からSOSのサインが発せられます。免疫力が下がっていないか、ぜひチェックしてみてくださいね。

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免疫力が低下していないか、NG行動についてもチェックを

■1:免疫力が下がっていないかチェック!

・腹や手足が冷えている
・低体温
・体がだるい
・肌荒れをする
・風邪をひきやすい
・口内炎や口唇ヘルペスがよく出る
・口や目が乾く

■2:免疫力が下がるNG習慣はコレ!

免疫力が下がる原因は下記のようなものがあります。自身の習慣と合わせて原因をつくっていないか、ぜひ見直してみてください。

・不規則な生活習慣
・運動不足
・睡眠不足
・偏った食事
・過度な飲酒喫煙
・加齢
・肉体的・精神的ストレス
・遺伝

自宅での時間が長くなることで、運動不足や精神的ストレスを感じている人は多いかと思います。免疫力が下がってしまう原因になりうるので、自宅でできる運動やリフレッシュ方法で解消してみてくださいね。

免疫力アップに効果的な栄養素とは?

続いては、免疫力をアップするために積極的に摂っておきたい栄養素と、その栄養素が含まれた食材について教えていただきました。

■1:免疫細胞の材料は、たんぱく質

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たんぱく質は特に重要!

免疫細胞はタンパク質でできているため、タンパク質不足にならないことがとても重要なのだそう。タンパク質が含まれている食材は、肉、魚、卵、大豆、乳製品などです。これらの食材は積極的に摂るように心がけましょう。

■2:腸内環境を整えて免疫力アップ

腸はカラダの免疫の大半を担っており、腸内環境を整えることで免疫力アップに繋がるそう。腸の善玉菌のエサとなり、腸内環境を整えてくれる働きがある、発酵食品、オリゴ糖、食物繊維を摂るとよいそうです。

代表的な発酵食品は、納豆、キムチ、漬物、ヨーグルト、みそ、チーズ、甘酒、塩麹など。オリゴ糖は、玉ねぎ、バナナ、キャベツ、ニンニクなどに含まれています。食物繊維は、野菜、果物、海藻などに多く含まれていますよ。

■3:免疫を担う免疫細胞を活性化する栄養素

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栄養素をしっかり摂って免疫細胞を活性化!

続いては、免疫を担う免疫細胞を活性化させる栄養素に注目してみましょう。

β-グルカンは難消化性多糖類、食物繊維の仲間でキノコや酵母に存在している成分。キノコ類に含まれるβ-グルカンは「免疫賦活作用」、つまり免疫力を高め強くしてくれる効果が期待できます。

ビタミンCは血液中の白血球やリンパ球に多く含まれています。血中のビタミンC濃度が高い人ほど、白血球の生理機能が活性化して活発に働き、菌やウイルスへの抵抗力がアップ! ビタミンCが多い食材は、パプリカ、ピーマン、レモン、キウイ、じゃがいもなどです。

美肌のために欠かせないビタミンCですが、摂取する際は、注意すべきことがあるそう。

「水溶性のため、水にさらすことで成分が流出します。水にさらしすぎないように調理しましょう。加熱による損失もある為、生で食べられる果物がおすすめです」(池上さん)

■4:粘膜で菌やウイルスをブロック

最後は粘膜によって、菌やウイルスから体を守ってくれる栄養素をチェックしましょう。

ビタミンAは粘液をつくるために必要な栄養素です。不足すると、皮膚、粘膜が弱り、免疫力が下がりやすくなります。ビタミンAはレバー、ニンジン、かぼちゃなどに多く含まれています。

ビタミンAは脂溶性の栄養素なので、油と一緒に摂ることで吸収率がアップしますよ。

栄養素を組み合わせて、さらに免疫力をアップ!

さらにそれぞれの栄養素を組み合わせることで、さらに免疫力アップが期待できるのだとか。おすすめの組み合わせをいくつがご紹介します!

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必要な栄養素を組みわせて、さらに免疫力を高めましょう

・きのこや海藻をたっぷり入れた味噌汁
・納豆、キムチ、チーズを一緒に入れて焼いたチヂミ
・フルーツを入れたヨーグルト
・かぼちゃや根菜の煮物

ちなみにこれまで紹介した栄養素にNGな食べ方や組み合わせはないそう。

「偏った食事や欠食は、免疫力を下げやすくなります。バランスよく食事を摂り、その上で、免疫力アップに繋がる食材を上手にとり入れましょう。

食事は炭水化物類、たんぱく質類、野菜類がそろっているか確認しましょう。特にたんぱく質は免疫細胞の材料になる重要な栄養素。不足は禁物です! 食事は1日3食。規則正しい食事時間に気を付けるようにしましょう」(池上さん)

特に体調を崩しやすい時期には、「バランスのよい食事」だけでなく、「適度な運動」「十分な睡眠」を心がけることが重要になってくるそうです。

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自分に足りてない栄養素を見直して、健康に過ごしましょう

栄養素ひとつひとつに、それぞれ違う働きがあります。今回教えていただいた栄養素がしっかり摂れているか、今一度見直してみましょう。未知のウイルスとの戦いですが、手洗いや除菌をしっかりするだけでなく、自分の免疫力をアップさせる食事と行動で、乗り越えていきたいですね。

池上 淳子さん
日本ビューティーヘルス協会 会長
(いけがみ じゅんこ)管理栄養士、美容栄養学専門士、美容食インストラクター。美容栄養学のプロとして、モデル育成、講演会講師、テレビ出演など、活動は多岐にわたる。美と食のプロである「美容食インストラクター」を育成している。著書に『最高の美をつくる朝食メソッド』(ビジネス社)、『美女をつくる足し算レシピ30:抗酸化物質でアンチエイジング』(あたま出版)がある。
日本ビューティーヘルス協会
この記事の執筆者
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WRITING :
まつだあや
EDIT :
小林麻美