世界中の自動車メーカーで、新型コロナウイルスに対する社会貢献の動きが本格化してきている。国産メーカーはもちろんだが、その支援の動きは高級車メーカーやクルマ関連ブランド、さらにはアパレルブランドにまで広がってきている。
甚大な被害を受けたイタリアでは、当サイトで既報したとおり、ランボルギーニが医療用マスクと保護シールドの生産に乗り出した。また、マセラティとのコラボレーションで知られる「エルメネジルド・ゼニア」の対応も注目されている。同社は去る4月14日、新型コロナウイルスの感染拡大防止の支援として、医療スタッフ用防護服の製造を開始すると発表した。
そしてイタリアでは、フェラーリも。
経営陣が率先して医療危機対策に寄付を行うフェラーリ
フェラーリは4月18日(現地時間)に、同社会長、CEO、さらに取締会役員の4月から年末までの報酬を全額、新型コロナウイルスの医療危機対策に寄付し、地域を支援する資金とすることで合意。さらに同社のシニアマネジメントチームも同じ期間の給与の25%を寄付すると発表した。その総額は200万ユーロ(2億3,400万円)に迫るという。
地域への具体的な支援内容は以下のとおり。
・新型コロナウイルスの検査危機、診断装置の購入
・地域社会で活用する救急医療サービス車両
・学校用コンピュータ機器の購入
・マラネロ住民への食料品の購入・配布
この資金援助、まずは近隣のマラネッロ、フィオラノ、フォルミジネを集中的に展開されることになっている。
さらにフェラーリはこの発表の直後、人工呼吸器のパーツや医療従事者向けのマスク製造のパーツ製造なども始めた。製造されるのは人工呼吸器に使う重要なパーツであるバルブ。そして、一般のシュノーケル用マスクを、医療従事者が使用できる防護マスクへと組み替えるためのパーツも製造する。
医療用バルブは跳ね馬のエンブレム入り
医療器具の生産拠点は、マラネロにある本社工場だ。本来はスポーツカーのプロトタイプを製作する部門が、積層型の3Dプリンターなどを使って製造するという。完成したバルブには跳ね馬のエンブレムが入り、イタリアの医療機関向けに提供される。
このほかにも、モータースポーツとの関わりが深いことでも知られる「ヒューゴボス」では、新型コロナウイルスの感染拡大防止の支援として、フェイスマスクと防護服の生産および寄付を開始している。ドイツ本社の敷地内にある工場では、すでにマスクの生産が開始され、現在までに18万枚以上を生産しているという。現在は製作施設だけでなく、オフィスの会議室なども活用しながらさらに生産を加速させているというから、そのスピード感や柔軟な対応は見習うべきものがある。
こうした動きがさらに広がり、一日も早い新型コロナウイルス禍の収束を願うばかりだ。
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- TEXT :
- 佐藤篤司 自動車ライター