美容・健康によいイメージがあるフルーツ。あなたは1日にどれくらい食べていますか? また、その食べ方は栄養学的に見て、はたして本当に正しい食べ方なのでしょうか?
ネットで「フルーツ 食べ方」などと検索すると、さまざまな情報が出てきますが、専門家から見ると、エビデンスがはっきりしない、真偽不明なものも少なからずあるようです。惑わされないように要注意!
そこで今回は、管理栄養士の藤橋ひとみさんから、フルーツの効果的な食べ方について教わりました。Q&A形式で解決していくので、自分の食べ方がOKかどうかチェックしていきましょう。
フルーツの効果的な摂り方、NGな摂り方は?
Q1:フルーツを1日に食べる目安の量は?
A1:フルーツを食べる習慣がない人はまず1日100g以上摂ることを目標に。次のステップとして、1日あたり200gを目安にするといいでしょう。
「フルーツは種類によって栄養価の特徴が異なりますが、主要なものとして、ビタミンC、食物繊維、カリウムが挙げられます。
ビタミンCは、抗酸化作用のほか、お肌のハリや弾力を作るコラーゲンの生成を助ける働きがあるといわれています。また、適度に熟したフルーツに含まれる食物繊維は、ペクチンという水溶性のもので、食後の急激な血糖値の上昇を抑える働きが。そして、カリウムは塩分の排出を助けるため、外食やコンビニごはん、濃い味が好きで塩分を摂りすぎてしまいがちな方は特に意識をして摂るべき栄養素だといえます。(*1)(*2)
いずれも女性の美容・健康維持に効果的な栄養素なので、フルーツは積極的に摂取したいところです。
なお、厚労省が策定した国の総合的な健康政策である『健康日本21』では、2022年までに1日の果物摂取量100g未満の者の割合を30%に減らすことを目標としています。これをふまえると、まずはフルーツを食べる習慣がない方は、1日100g以上摂ることを目指しましょう。(*3)
また、厚労省と農水省が共同で策定した『食事バランスガイド』では、1日あたり200gを目安に食べることを推奨しています。(*4)
この200gというのがどれくらいかというと、農水省が示している基準によれば、みかんなど小さめのフルーツで2個、りんごなど大きめのフルーツで1個です。ただ、一口にみかんやりんごといっても、個体によって大きさや重さは区々なので、この基準は参考程度にとどめるとよいでしょう。
さきほどお伝えしたように、フルーツは種類によって、栄養価の特徴が異なるので、偏りを防ぐには、できれば1種類のフルーツばかりを摂るのではなく、複数の種類を食べることを意識してみてください」(藤橋さん)
Q2:フルーツを摂りすぎると果糖で太る?
A2:さほど神経質になる必要はありませんが、どうしても気になるなら甘みたっぷり系よりも柑橘類など酸っぱい系を選ぶとよいでしょう。
女性にとって嬉しい美容・健康効果があるというフルーツ。しかし、食べ過ぎると、果糖で太ったり健康を害したりしないのでしょうか?
「フルーツに限らず、どんな食品でも、食べ過ぎるとカロリーオーバーにはなります。無制限に食べていいわけではなく、上記の1日200gを目安にするといいでしょう。
どうしても糖質などが気になる方は、オレンジなどの柑橘類、いちご、キウイなどがおすすめです。他方、フルーツのなかでも比較的糖質が多く、GI値が高くなりがちなものは、メロンやマンゴー、パイナップルなど。脂質が高めなものとしてアボカドなどが挙げられます。(*5)
とはいっても、もちろんメロンやアボカドがNGというわけではありません。メロンであれば1日1切れ、アボカドは1日1個程度であれば、特に問題はないでしょう」(藤橋さん)
Q3:フルーツは夜に食べると太りやすい?
A3:フルーツに限らず、一般論として、寝る直前に食べるのは避けるのが望ましいといえます。
フルーツを食べるタイミングについては、ネット上でさまざまな説が流れています。その1つが、フルーツは夜に食べると太りやすいという説。これって本当なのでしょうか?
「フルーツに限らず、夜遅い時間に食事をとることは太りやすい食べ方をしているといえます。というのも、夜間(22時以降といわれていることが多い)には、体内時計を調節する遺伝子のひとつである、BMAL1遺伝子とそのタンパク質の活性化により、脂肪の分解が抑えられ、脂肪が蓄積しやすいといわれているからです。(*6)そこまで遅くない時間帯であれば、夕食などにフルーツを摂ることは特に問題はないといえるでしょう」(藤橋さん)
Q4:フルーツは食後に食べるのはよくないって本当?
A4:食後に食べるのはよくないという科学的根拠はありません。
もう1つ、フルーツを食べるタイミングについてよく聞くのは、フルーツを食後に食べるのはNGという説。実際、「フルーツ 食後」で検索してみても、食後のフルーツに否定的な見解が並ぶのですが……?
「実は、フルーツを食後に食べるのはよくないという科学的根拠はありません。食事の一般論として、22時以降はNGという以外には、特にフルーツを食べてはいけないタイミングはないと考えられます」(藤橋さん)
俗説にまどわされず、基本的には夜中以外は、好きなときにフルーツを食べてOKということなんですね。
Q5:カットフルーツよりも生のフルーツのほうがいい?
A5:可能であれば生のフルーツを。ただし、最近はそこまで気にする必要はありません。
フルーツを食べる際、自分で皮をむいたり、カットしたりするのが面倒……。この点、コンビニなどで買えるカットフルーツはお手軽ですが、栄養価的には劣ってしまうのでしょうか?
「カットフルーツの加工方法にもよりますが、ビタミンCやカリウムなど水溶性の栄養成分が生のフルーツよりも減っている可能性は否定できません。できれば、生のフルーツを食べるほうがよいと考えられます。
とはいえ、フルーツをまったく食べなかったり、砂糖が添加された缶詰やドライフルーツを食べたりするよりは、カットフルーツを食べるほうがおすすめです。
カットフルーツを購入する際は、原材料表示を確認し、添加物が少ないものを選ぶとよいでしょう。しかし最近は、添加物といっても、酸化防止にビタミンCやポリフェノールを使っている商品が多いので、そこまで過敏に気にする必要はないと思います」(藤橋さん)
Q6:朝食をフルーツだけで済ませるのはNG?
A6:何も食べないよりは、フルーツだけでも食べるほうがよいですが、できればヨーグルトを一緒に摂りましょう。
食欲がなく慌ただしい朝は、食事をなるべく軽く済ませたい人も少なくありませんが、フルーツだけというのは問題ありでしょうか?
「午前中のパフォーマンスを下げないよう脳に糖質を補給するためには、何も食べないよりは、バナナ1本でも食べたほうがよいと思います。ただ、フルーツで糖質、ビタミン、ミネラルは摂取できても、体の構成成分であるタンパク質をとることはできません。それを補うために、ヨーグルトを一緒にとるとより食事としてのバランスが整います。“フルーツ+ヨーグルト”は、腸内環境改善のためにも役立つ組み合わせです(*7)」(藤橋さん)
“フルーツ+ヨーグルト”であれば、誰でも簡単にとることができそうですね。
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以上、フルーツの効果的な食べ方を紹介しましたがいかがでしたか? 科学的根拠に基づく知識を押さえたうえで、フルーツを食生活に摂り入れていきましょう!
『おいしく食べてキレイになる!おから美腸レシピ』藤橋ひとみ・著 ベストセラーズ刊
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- WRITING :
- 中田綾美