40代、50代になると、そろそろ体のことが気になってくる時期。どこかしら不調を感じているかもしれません。

定期的に健康診断を受けていない人や、企業で実施される健康診断より、もう少し細かく検査してみたい、という人は、一度「人間ドック」受診を考えてみてもいいかもしれません。

そこで今回は、人間ドックが初めての人に向け、その概要をご紹介します。

また後半では、産業保健師としても活躍するマナー講師の長谷侑佳さんに、事前に準備しておきたいことや、当日のふるまい方についてお話をうかがいました。

人間ドックとは「任意の総合的な健康診断」のこと

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早期発見・早期治療のために

人間ドックとは、任意の総合的な健康診断のことです。

人間ドックを受ける目的は、この人生100年時代において欠かせない「健康寿命」を延ばすため、病気リスクを早期発見し、必要に応じて早期治療を行うことにあります。

がんや心臓病、脳血管疾患など重大な疾患のリスクのほか、糖尿病や高血圧、脂質異常症、肥満、動脈硬化など、幅広く疾病リスクをチェックするために、多くの検査項目があるのが特徴です。

人間ドックと共に、何か特別に気になることがあれば、脳ドックや肺がん検診、婦人科健診、乳がん検診などをプラスして受けるのが一般的となっています。

人間ドックの検査と費用

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多岐に渡る検査項目が特徴

人間ドックの検査項目は、公益社団法人日本人間ドック学会の公式サイトによれば、次の項目があるといわれています。

身体計測、血圧、心電図、眼、聴力、呼吸機能検査、胸部X線、上部消化管X線、上部消化管内視鏡、腹部超音波、血液検査、尿検査、便、内科診察

出典:公益社団法人日本人間ドック学会「人間ドックの検査項目」

これらの検査項目は、日帰りの一日ドックや、宿泊して行う二日ドックで検査が行われます。

人間ドックは、任意の健診のため、健康保険は適用されません。つまり、自由診療ということです。人間ドックを行っている施設や設備、検査内容によって費用は異なります。

住んでいる市町村、所属の健康保険協会または健康保険組合、契約中の保険会社によっては、人間ドックの補助金や助成金制度がある場合もありますので確認しておきましょう。

人間ドックを受けるタイミング

人間ドックは、20歳以上を対象としており、何歳で受けても問題ありません。

企業に勤めている場合は、1年に1回義務付けられている「法定健診」があり、自分から進んで人間ドックを受ける機会は少ないかもしれません。

しかし、人間ドックは、法定健診よりも検査項目が多いため、受けておくと安心です。

医師専用コミュニティサイト「MedPeer」が2014年1月に実施した、医師3,377名に対するアンケート調査結果では、「人間ドックを受け始めるべき年齢」として、医師の半数以上(56%)が40~49歳と回答していました。40代は老化が始まる年齢であることが理由のようです。

40代やその周辺の人は、体のことで気になることがある場合はもちろんのこと、一度全身を総合的に検査しておくためにも、人間ドックを受けておくといいでしょう。

人間ドックを受診するときの事前準備のポイント4つ

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人間ドックを受ける前に確認!

人間ドックを初めて受けるという場合、どのような点に気を付ければいいのでしょうか。その事前準備や当日のことについて、産業保健師としても活躍する、日本マナーOJTインストラクター協会のマナー講師、長谷侑佳さんにお話をうかがいました。

まずは、事前準備から。長谷さんはポイントを4つ挙げます。

■1:半年前くらいから予約をするのが基本!

「人間ドックを受ける施設を選ぶときは、病院によって人間ドックの内容や費用、実施できる検査の種類が違うので、しっかりと情報収集を行い、比較選定したうえで、ご自身に合った施設を選ぶのをおすすめします。

また、人気の病院は予約が殺到していることもありますし、特に土曜日などは予約が埋まりやすいため、半年~1年前の予約をおすすめします」

■2:当日はスケジュールに余裕をもたせて

「人間ドック当日は、検査の時間や検査後の体調などを考えたうえで、スケジュールに余裕をもたせておくと安心です」

■3:医師に聞きたいことをメモしておく

「最近、気になっている症状などは、当日の聞き漏れを防ぐため、事前に医師に聞きたいことをメモしておきましょう」

■4:事前に伝えるべきことはしっかりと伝えておく

「これまでに体調が悪くなったことのある検査や、苦手な検査がある場合は、事前に伝えておく必要があります。またアレルギーのある薬品なども、必ず事前に伝えておきましょう。当日も受付とスタッフに、改めて伝えておくと安心です」

人間ドック検査当日に気をつけたいポイント6つ

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気持ちよく人間ドックを受診しよう

続いて、一般的な人間ドック当日に、検査や問診を受ける前や受けたあとに気を付けるべきことや、ふるまい方を長谷さんに教えていただきました。

■1:前日や当日の食事についての注意事項はよく確認して

「検査によっては、前日や当日の食事について注意事項がある場合がありますので、検査前によく確認しておきましょう」

■2:気分が悪くなったらすぐに知らせる

「慣れない検査で緊張のため、途中で気分が悪くなる人もいます。もし気分が悪くなった際には、我慢せずに、遠慮なくすぐに近くのスタッフに知らせましょう」

■3:待ち時間は静かに

「検査の待ち時間に、ほかの方と居合わせる場合は、検査の迷惑にならないように静かにしたいものです。待ち時間が発生しそうな病院の場合、小さな手さげ袋に、時間がつぶせる本などのアイテムを準備しておくと便利です」

■4:検査・診察後に不安があればその場で確認する

「検査後や診察後に不安や気になることがある場合には、早めにスタッフに確認をしておきましょう。当日であれば、すぐに医師に確認することができます」

■5:食事マナーの基本を守って

「人間ドックによって、検査後に食事がセットでついているケースもあります。食事の際にも、ぜひ気配りのあるふるまいを心がけたいものです。人間ドックで提供される食事に限ったことではないですが、基本的なテーブルマナーは守って食事しましょう。

まず、お料理が出されたら、配膳をしていただいた方にお礼を言い、食事の前後には『いただきます』、『ごちそうさま』の挨拶を行うとよいでしょう。

おいしくいただき、食べ終わったら、お皿は重ねずに置いておくのがマナーです。席を立つときには、『ごちそうさまでした』『ありがとうございました』など、笑顔で感謝の言葉を伝えるのも忘れずに」

■6:医療スタッフにお礼の言葉を伝える

「検査が終了したら、受付の方や、当日対応してくれた医療スタッフの方々に対して、お礼の言葉を伝えるだけで、印象がアップします。ぜひ行いましょう」


最近では、個室やラグジュアリーな空間で受けられたり、食事にもこだわってプチ旅行気分になれる人間ドックなど、各病院がさまざまな特徴を持ったプランを用意しています。

安心感を手に入れるために受ける人間ドックですから、よりプライバシーが守られた、安心できる施設を見つけて気持ちよく受診したいですね。

長谷 侑佳さん
日本マナーOJTインストラクター協会
(はせ ゆうか)福岡県立大学看護学部を卒業。済生会福岡総合病院での看護師、福岡山王病院予防医学センターでの保健師、モデル事務所での経験を通して、幅広い業種・年代の方への接遇マナーについて学ぶ。現在は旭化成株式会社で産業保健師として勤務している。

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WRITING :
石原亜香利
EDIT :
安念美和子、榊原淳
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