品位ある大人の女性なら、仕事ができることに加えて、周りの人とのコミュニケーション能力も今以上に身につけたいですよね。仕事の成果がチームプレイで現れる職場なら、なおさらです。
日常のちょっとした言葉の使い方で、自分の心も、周りの環境もよくすることができるとしたら、すぐに実践したいもの。けれども、部下や同僚とのコミュニケーションのコツは、誰かが教えてくれるわけではありません。
そこで、全国の企業、自治体、学校などで心理学を活用した実践的な講義、研修、講習を行っている、日本心理教育コンサルティング代表でカウンセラーの櫻井勝彦さんに、そのコツをお聞きしました。今日から、以下の5つを実践してみましょう。
■1:苦手な相手でも好意的に接する
まず、「職場の中にちょっと苦手だなと感じる人がいると、ついつい避けがちになってしまいますよね」と櫻井さん。
「そんな時に知っておくとオススメな心理学の法則があります。それは『好意の返報性』と言いますが、簡単に言えば『好けば好かれる』『嫌えば嫌われる』というものです。
苦手だなと思って自分の方から相手を避けてしまうと、相手は避けられている空気を察知し、あなたに対して更にネガティブな態度を取る可能性が高まります。そうなるとますます相手のことが苦手に思えてきてしまい、悪循環が生まれます。
苦手だなと感じる人がいた場合は、ちょっとだけ冷静になって、好意的に接してみましょう。最初はなんだか嫌な人だなと思っても、好意的に接してくれる人には、次第に好意をもつものです。自分から好意を発信することで、好意の循環をつくることが大切です」
日常のちょっとした気の持ちようで、自分も、周りの環境も、変えることができそうですね。
■2:働きを認めて感謝する
また、櫻井さんによれば「例えば、皆さんが毎日家族のために一生懸命料理をつくっても、おいしいとも一言も言われず、つくって当然みたいな態度をされたり、ダメ出しされたらいかがでしょう。だんだんつくる気がなくなってしまいますよね。このことは仕事でも同じです」とのこと。
「部下や同僚がやってくれた仕事に対して、なんの感謝もせず、できて当然というような態度を取ったり、ダメ出しばかりになってしまうと、相手はだんだんやる気がなくなってしまいます。人のモチベーションは相手から認められ、感謝されることからも生まれていきます」
ちょっとしたことでも相手の働きを認め、感謝してみることから始めるとよいそうです。毎日の心がけ次第で、実践できそうですね。
■3:「2:1」で直してほしいところを伝える
キャリアを積んだ女性に役立つのは「2:1の法則」。
櫻井さんは「まだ入社したばかりの若い社員さんを見ていると、ちょっと言葉の使い方が気になったりすることがありますよね。あまり気になる場合は注意しないといけませんが、そんな時は、2:1の法則を使って伝えてみましょう」と提案します。
「2:1とは、まず相手のよいところを”ふたつ”ほめてから、直してほしいところを”ひとつ”伝えていきます。例えば、『〇〇さんはオシャレだし明るいのは魅力だから、もっと綺麗な言葉を使った方が絶対いいわ』といった感じです。単に『言葉遣いに気をつけて』と言うより、相手は素直に聞いてくれると思います」
■4:注意するときは肯定的な言葉で伝える
ときには、部下や後輩を注意しなければならない場面に直面します。そんなときは「肯定的な言葉」が役立ちます。
「部下に注意をするときでも、言い方ひとつで、やる気をなくしてしまうことがありますよね。そんなときに知っておくと便利なのが『肯定表現』と『否定表現』です。
例えば『あなたの企画書はオリジナリティーがないから、やり直して!』と言うよりは、『あなたの企画書はオリジナリティーが入ると、さらによくなると思います。もう一回、つくり直してもらってもいいかしら?』と伝えたほうが、部下は素直に聞けると思います」
「肯定表現」のポイントは「ない」などの否定的な語を使用せず、肯定的な言葉に言い換えて伝えること。憶えておきたいですね。
■5:仕事ができない相手でも期待する
「例えば皆さんが、上司に会うたびに『君は仕事ができない』と言われたら、どう思われますか? 落ち込んで、やる気がなくなっていきますよね」と櫻井さん。
「やる気のない状態で仕事をすれば、成果は当然出ませんから、結果『君はやっぱり仕事ができない』という評価になってしまいます。このように、人間は『君は仕事ができない』といった形でなんらかのレッテルを貼られると、”レッテルどおり”になってしまうことがあるのです。
逆に、頼まれた仕事がうまくできなかったときに『今回はダメだったけど、君なら必ずできるから、頑張るように』と言われたら、いかがでしょう? 『頑張ろう!』という気持ちになりますよね。
このように期待をかけることが、相手のやる気を高め、成長を促すのです。仕事ができないな…と思う部下がいても、根気強く期待をかけて接してみましょう」
以上、人間関係で「余計なストレスがたまらなくなる」5つの習慣をご紹介しました。
会話の内容は、直接言葉を交わした部下や同僚だけではなく、近くで見ていた別部署の方や、たまたまいらした方にも好印象を与えるはず。「あの人はさすがだ!」と言われるようになれば、職場での動きやすさも変わってきます。コミュニケーションのコツを身につけて、自分も、周りの人も、ハッピーにできるようになりたいものですね。
【ストレス解消関連記事】
季節の変わり目。アマン東京の極上トリートメントでリフレッシュ!
「押すスーツケース」で、旅のストレスが劇的に軽減
今までの不満がすべてスッキリする!驚くほど「うまくいく会議の条件」が明らかに
『仕事が思い通りにできる心理術』櫻井勝彦・著 明日香出版社・刊
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- WRITING :
- 竹内みちまろ