たった数か月で、リモートワークが推奨され、オンラインでのコミュニケーションが主流となり、私たちの生活はガラリと変わりました。この流れで美容の常識も大きく変わりつつあります。
たとえばAIやオンラインの活用が定着化したり、マスクが顔の一部になったり…。重視すべきケアやメイクアップ術も新たな視点をもつ必要があるのではないでしょうか。
新しい選択を迫られている私たちに必要なのは、美容の新たな常識を知ること。そこで、今と未来の美しさのために知っておいてほしい、12の提言をまとめました。
今回は、高度な人工知能で美を磨く「AIビューティ最前線」をご紹介します。
美容業界のIT化はここまできた! 高度な人工知能で美を磨く「AIビューティ最前線」
1. 先鋭のテクノロジーで、皮膚の神秘を解明
新型コロナ治療薬選定の要としてスーパーコンピューターが話題を呼んでいますが、ビューティの世界ではすでに驚異的なAI革新が進んでいます。「資生堂」開発の『デジタル3DスキンTM』技術は、皮膚内部の構造や状態をAIが詳細にビジュアル化。
切り取った皮膚や培養細胞を顕微鏡で観察するのではなく、実際の肌の「目尻のあたりは、コラーゲンをつくる線維芽細胞が減っている」なんてことまでわかるというから、驚きです。これで肌機能の細部や老化の進行プロセスの解明が大幅に進展するのは必至。想像もしていなかった夢のコスメ誕生も目前です。
2. 生活環境や生活史まで配慮した、スマート処方
膨大な情報を瞬時に処理できるAIは化粧品開発や化粧品選びにもイノベーションをもたらしています。よりエイジングケア効果の高い成分の選定はもちろん、一人ひとりに最適なアイテムを選ぶ際も、正確で詳細な分析が可能に。
たとえば、すでに1870万件もの肌データを蓄積している「ポーラ」では、パーソナル肌分析ラインの『APEX』で、居住地の日照時間や大気汚染状況まで勘案したアドバイスを提供。
また、美容液のカクテル使いが話題の『マテリアプリマ』では、生活スタイルや現在使用中の化粧品成分までデータに加え、効率的なケアを提案してくれます。「自分に合う化粧品がわからない」問題は、もうとっくに過去のもののようです。
3. ハイレベルな肌診断が自宅で簡単に
身近なAI利用ビューティといえば、自撮り画像による肌診断やメイクアドバイスがあります。代表格の「花王」『SOFINA iP』の『肌id』では、百貨店などが自粛休業中に50万人を突破。
「資生堂」の『クレ・ド・ポー ボーテ公式アプリ』なども、化粧品カウンターの「濃厚接触自粛」を受けて、ダウンロード数が急増しています。撮影場所の明るさによって結果が左右されるのが玉に瑕ですが、日々の肌の変化を把握し、適した製品やケア法の情報を瞬時に提供。
AIが日々学習することで、診断精度も向上していきます。そのうえ、購入のプレッシャーもなく、1日何回でも利用可能。さまざまなメイクを画像で楽しめると魅力は満載です。感染リスクもなく24時間使えるこのサービス、化粧品選びの新スタンダードになりそう。
いかがでしたでしょうか? 次回は、マスク老化を防ぐ「毎日のパック」3選をご紹介します。お楽しみに!
- TEXT :
- 近藤須雅子さん 美容エディター
- BY :
- 『Precious9月号』小学館、2020年
- ILLUSTRATION :
- 緒方 環
- WRITING :
- 近藤須雅子
- EDIT :
- 荒川千佳子、五十嵐享子(Precious)