2018年1月28日(日)まで、東京・上野にある国立西洋美術館にて『北斎とジャポニスム HOKUSAIが西洋に与えた衝撃』が開催。
19世紀後半、西洋の人々を魅了した浮世絵師・葛飾北斎。日本人の中でも知名度が高い北斎ですが、この展覧会のみどころは北斎の絵、そのものではありません。
北斎の作品と、彼に影響を受けたとされる、モネ、ドガ、セザンヌ、ゴーガンを始め、西洋芸術作品が一堂に会する初の試み。知っているとより楽しめるポイントを、国立西洋美術館・馬渕明子館長の解説より抜粋します。
『北斎とジャポニスム』展を何倍も楽しむためのポイント3つ!
■1:「ジャポニスム」は日本文化そのものを指す言葉ではない!
1858年に江戸幕府がアメリカ・オランダ・ロシア・イギリス・フランスの5か国それぞれと結んだ条約(安政五か国条約)をきっかけに、西洋に日本の文化が多く伝わりました。なかでも日本美術の手法を取り入れて、西洋の芸術家たちが自分たちの手を加えて昇華させた現象を「ジャポニスム」といいます。
日本人がつくった文化そのものを指すと勘違いしがちですが、ここはこの展覧会を見るにあたっての大きなポイントです。
■2:「ジャポニスム」を見分けるポイントを知ろう
「ジャポニスム」を研究する方法は、日本の文化が伝わる以前の西洋美術にて使われている表現と、伝わった後の表現を比較することから始まります。構図や色彩、人物のポーズなど、西洋美術を知っている人にはわかりやすい違いがあるんだそう。
西洋美術を知らない人でもわかりやすく、影響を受けたと思われる作品同士が、比較できるよう展示されているのも本展の特徴。ただ見ると「たまたまなのでは?」と思ってしまいがちですが、それまでの西洋美術ではタブーとされていたような表現が積極的に使われているのです。
■3:西洋芸術家たちは、なぜ北斎を始めとする日本文化の表現に飛びついた?
西洋の芸術家たちも自分たちの表現に行き詰まりを感じ、新しい表現方法を模索していた時期に、日本文化と出合いました。特に印象派の画家たちにとっては、アイディアの宝庫ともいえる北斎を知ることで、新しさを切り開いたようです。
ほかにも、俳優・松重 豊さんによる音声ガイドが作品への理解をより深めてくれます。この展覧会は、作品を観て感動できるのはもちろん、「比較」して「なるほど」と納得することができるもの。その「なるほど」のおかげで、面白さが何倍にもなるはずです。
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問い合わせ先
- 北斎とジャポニスム HOKUSAIが西洋に与えた衝撃
- 会期/~2018年1月28日(日)
会場/国立西洋美術館
開館時間/9:30~17:30(金、土は20:00、ただし11月18日(土)は17:30まで)
※入館は閉館の30分前まで
休館日/月(ただし2018年1月8日(月)は開館)、2017年12月28日(木)~2018年1月1日(月)、1月9日(火)
観覧料/一般¥1,600、大学生¥1,200、高校生¥800 - 公式Twitter/@hoku_japonisme
TEL:03-5777-8600(ハローダイヤル)
住所/東京都台東区上野公園7-7
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- EDIT&WRITING :
- 安念美和子