上司、同僚、部下、クライアント…。仕事で成果を上げるためには、自分を取り巻く人たちの協力が欠かせませんよね。どんなに優秀な人でも、周囲から孤立してしまうと、その能力を十分に発揮することができないおそれがあります。

では、世の成功者たちは周囲の人からうまく助けてもらうために、どのような習慣を心がけているのでしょうか? 『すぐやる人の“超えてる”思考法』の監修者、藤沢久美さんからご指南いただきました。

■1:「時間がない」を理由に頼まれごとを断らない

 

職場で誰からからイレギュラーな頼まれごとをされた際、つい「この忙しいのに、面倒だな」と思ってしまうことはありませんか?

困ったときは、お互いさま。周囲から「助けてもらえる人」は、ただ一方的に人様の好意に甘えているのではなく、自分に頼まれたことは快く引き受けるように心がけているもの。とはいえ、無茶ぶりの依頼まで引き受けて、結果「できませんでした」ということになっては、“口先だけの人“と評価がガタ落ち。ですから、何でも「YES」と応じているわけではありません。

ただ、どうしても依頼を断らざるをえない場合にも、成功者が絶対に口にしない言葉があります。それは「時間がない」。

「時間がないからできません」という断り方は、「あなたのために割く時間はありません」「私にとってあなたの依頼は優先度が低いです」というニュアンスで、相手にとっては大変失礼です。

もし本当にスケジュールがいっぱいで、頼みごとを今すぐ引き受けられない場合、成功者は「手伝いたいけれど、今はこの仕事があるから、それが終わってからでいい?」「○時以降だったら手伝えそうだけど?」「A・B・Cのうち、Aだけでよければ……」など、何らかの代替案を提示するのがよいです。

誰かから頼みごとをされたら、それは自分の能力、可能性を広げるチャンス。すぐに「できない」と思うのではなく、自分の成長のためにも「どうすればできるか?」を考えるようにしましょう。

■2:「縁の下の力持ち」を引き受ける

 

“出世する人”、“成功者”というと、リーダーシップがあったり、会議で積極的に発言したりする人のようなイメージがあるかもしれません。もちろん、そのような人材も重宝されますが、リーダーシップや発言力に自信のない人でも大丈夫。“縁の下の力持ち”になればいいのです。

たとえば、会議では自分が発言するよりも、書記役に徹してみてはいかがでしょうか? 会議で意見が割れて収拾がつかなくなった際など、あなたがしっかりメモをとっていれば、その記録をもとに意見の調整ができるので、周囲から大いに感謝されるはずです。

自分が目立とうとしなくても、こうしたサポート役に回ることで、「あの人はいつも皆のために働いている」と職場で一目置かれ、また自分が困ったときには必ず、誰かから手を差し伸べてもらえる存在になれるでしょう。

■3:いつも楽しそうにしている

 

自分の仕事について、不満や悩みがひとつもない……なんて人は、おそらく皆無でしょう。残業が多すぎる、嫌いな雑務があるなど、なんらかのネガティブな面があるはずです。ただ、そうした諸問題について、愚痴をこぼしたり、眉間にシワを寄せて耐え忍んだりしているだけでは、何も始まりません。

義足のモデル、エミー・マランス氏をご存知でしょうか? エミーさんは、生後間もなく両膝から下を切断しましたが、義足をおしゃれにデザインしたことで注目を浴び、ファッションモデルとして活躍するなど、逆境をチャンスに変えた人物です。

もしもエミーさんが自分の義足をただ嘆いているだけなら、周囲から同情されることはあっても、彼女のやりたいことをお手伝いしようという人は現れなかったことでしょう。ハンディキャップからでさえも、楽しいこと、ワクワクすることを見出したからこそ、多くの協力者を得ることができたのです。

人は“楽しそうな人物”を見ると、何をしているのか気になり、自分も一緒に行動したくなるもの。困難や障害に直面したときこそ、そこになんらかの楽しみを見出せないか、ポジティブにとらえてみましょう。たとえば、地味で面倒に思える“オフィスの掃除”でも、取り組み方しだいでは「あなたばかり楽しそうなことやってズルイ! 私にもやらせて」と、協力を買って出る人が次々と現れると考えられるのです。

■4:常に感謝する

 

“人に感謝することは大切”というのは、耳にタコができるくらい聞き飽きた言葉でしょう。しかし、これを実践できている人は、驚くほど少ないといえます。実際問題、あなた自身も「自分はよかれと思って助けたつもりなのに、相手から感謝されなかった」と、ちょっとガッカリしたことはありませんか?

人に何かしてもらって自分が利益を得たら、相手に感謝するのは当たり前。さらに一歩進んで、その助けが結果的に自分のプラスにならなかった場合でも、感謝するようにしましょう。

たとえば、誰かがあなたに教えてくれた“耳寄り情報”が、すでに知っている情報、あるいはガセ情報だったとします。それでも「よいことを教えてくれてありがとうございます!」と、笑顔でお礼を言うのが大切です。

人は感謝されると自尊心が満たされて、相手のためにもっと役立ちたいと思うもの。そのときの情報は無益だったとしても、次は本当にあなたにとって“耳寄り情報”をもたらしてくれるかもしれません。

自分にとって得か損かを考えるよりも、誰かが自分のために時間や労力を割いてくれたこと自体、どんなささいなことでも「ありがたい」と思えることが、人から助けてもらえるようになる秘訣といえるでしょう。

■5:「敵」にも感謝する

 

前項の“常に感謝する”の上級者バージョンともいえるのですが、あなたにとって好ましくない人物にも感謝しましょう。たとえば、職場であなたの足を引っ張る、それも意図的にやっているように見える人物がいたとします。

そんなあなたにとって“天敵”ともいえる人物を目の前のしたときも、心のなかで「ありがとう」を言ってみましょう。“自分に課題を与えてくれて、ありがとうございます”など、こじつけでもOKです。

人が心の中で思っていることは不思議と伝染します。あなたが「この人、イヤだな」と相手を否定的に見ていると、相手にそれが伝わって、ますます関係が険悪になりかねません。逆に、無理やりにでも「ありがとう」と思っていれば、あなたの表情もやわらぎますし、相手も何かを感じ取って、自然とあなたへの加害が減っていくことが期待できるのです。

■6:メモ魔になる

 

感謝の伝え方は、「ありがとう」だけではありません。人から何か教えてもらったときに、すかさずメモをとることを心がけましょう。相手の目の前でメモをとれば、「あなたの発言には価値があります」「あなたの発言を尊重しています」というメッセージを伝えることができます。相手の自尊心を満たすことにつながります。

仕事上のアドバイスに限らず、たとえば、“おいしいラーメン店”、“最近見て面白かった映画”など、ほんのちょっとしたことでも、その場でメモをとること。この習慣を心がければ、「もっとあの人に教えてあげたい」「あの人の役に立ちたい」と、あなたの周囲にどんどん味方が増えていくことでしょう。

成し遂げようとすることが大きいほど、周囲の協力が不可欠になります。成功を引き寄せるには、ただ自分が独りでしゃかりきにがんばるよりも、今回ご紹介した良習慣で、周りの人から愛され、助けられる女性を目指しましょう。

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PROFILE
藤沢久美(ふじさわ くみ)さん
シンクタンク・ソフィアバンク代表。大学卒業後、国内外の投資運用会社勤務を経て、1996年に日本初の投資信託評価会社を起業。同社を世界的格付け会社のスタンダード&プアーズに売却後、2000年にシンクタンク・ソフィアバンクの設立に参画。13年、代表に就任。そのほか、静岡銀行、豊田通商などの企業の社外取締役、文部科学省参与、各種省庁審議会の委員などを務める。07年、ダボス会議(世界経済フォーラム主宰)「ヤング・グローバル・リーダー」、翌年「グローバル・アジェンダ・カウンシル」メンバーに選出され、世界の首脳・経営者とも交流する機会を得ている。テレビ番組『21世紀ビジネス塾』(NHK教育)キャスターを経験後、ネットラジオ『藤沢久美の社長Talk』パーソナリティとして、15年以上にわたり1000人を超えるトップリーダーに取材。大手からベンチャーまで、成長企業のリーダーたちに学ぶ「リーダー観察」をライフワークとしている。主な著書に『最高のリーダーは何もしない』(ダイヤモンド社)、『なぜ、川崎モデルは成功したのか?』(実業之日本社)など多数。
『すぐやる人の“超えてる”思考法』藤沢久美・監修 三笠書房刊
WRITING :
中田綾美