雑誌『Precious』では「My Action for SDGs 続ける未来のために、私がしていること」と題して、持続可能なよりよい世界を目指す人たちの活動に注目し、連載しています。

今回は、「Just a Drop」創始者、チェアマン フィオナ・ジェフリーさんの活動をご紹介します。

フィオナ・ジェフリーさん
「Just a Drop」創始者、チェアマン
スコットランド出身。エジンバラ大学卒業。’08年から’13年まで「ワールド・トラベル・マーケット」のマネージングディレクター、チェアマン・MD(最高責任者)を歴任。1998年に「ジャスト・ア・ドロップ」設立。

途上国の水問題と関わって25年「ほんの一滴」を集めて未来を変える

フィオナさんが発展途上国での安全な水(※)の供給を使命に掲げて「ジャスト・ア・ドロップ」を設立したのは1998年のこと。

「『世界では安全できれいな水にアクセスできないために、5歳以下の子供が17秒にひとり亡くなっている』という事実を知り、驚愕したんです。同時に、たった1ポンドで清潔な水を約10年供給できるということも。当時の私は、旅行業界関係者向けのヨーロッパ最大の見本市の運営を総括していて、自分たちの仕事に関わる世界各地の人々にコミュニティ向上への手助けをしようという想いで、チャリティ団体として創設しました」

以来、25年にわたって「井戸を掘る」「手洗い施設をつくる」「安全なトイレをつくる」といった活動を続け、32か国、190万人の生活の向上に寄与してきた。それは、女性や子供たちを1日何時間もの水汲みから解放し、衛生に関する教育の浸透にもつながっている。「安全な水は途上国の生活向上の出発点」と彼女は力説する。

「安全な水がない地域はまだまだ存在します。昨年3月、スーダンとの国境に近い北ウガンダの小学校を訪れたときのことは、衝撃的でした。1日3回、コップ1杯の水を飲むために、約700人いる生徒のうちの500人ほどが行列をつくるのです。そして残りの200人ほどは、水代が払えないから飲まない、と。ヘルスセンターでは分娩に必要な量の安全な水がなく、妊婦の陣痛が始まったら助産師がいちばん近い井戸まで水汲みに行っていたんです。こうした現状を、ウォーターシステムの導入で改善していく。今後、気候変動によって、水の問題はますます深刻になっていきます。私たちのチャレンジは続くのです」

【SDGsの現場から】

●途上国の現状を視察し、必要な支援を届けていく

インタビュー_1
途上国への視察でさまざまな調査を行い、水設備の設置を進める。写真はウガンダにて。

●観光業でのパイオニアとして講演も行う

サステナブル_1,インタビュー_2
旅行業界の見本市「ワールド・トラベル・マーケット」で観光における持続可能性について講演。

※安全な水とは…「自宅にあり、必要なときに得られ、排泄物や化学物質に汚染されていない水源からの水」。これを得られない人は世界に約20億人いる。

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PHOTO :
Miki Yamauchi
EDIT :
正木 爽(HATSU)、喜多容子(Precious)
取材 :
Yuka Hasegawa
文 :
剣持亜弥(HATSU)