雑誌『Precious』では「My Action for SDGs 続ける未来のために、私がしていること」と題して、持続可能なよりよい世界を目指す人たちの活動に注目し、連載しています。

今回は、「ロスゼロ」代表取締役、文 美月さんの活動をご紹介します。

世の中の「もったいない」を笑顔に変える、つくる人と食べる人をつなぎロス削減

インタビュー_1
文 美月さん
文 美月さん
「ロスゼロ」代表取締役
(ぶん みつき)同志社大学経済学部卒。生命保険会社勤務、留学、結婚・出産を経て’01年に自宅で「リトルムーン」を起業。ネットショップでヘアアクセサリー420万点を販売する。’18年、食品ロス削減事業「ロスゼロ」を開始。

食品ロス(※)削減を目指す「ロスゼロ」。もとは、ヘアアクセサリーのネットショップを運営するなかで、不要になったヘアアクセサリーを回収し、アジアの若者に送る活動をしていた文さんが、「やっぱり食べ物がいちばん『もったいない』」と思い立ち、’18年に立ち上げた「ビジネス」である。

「食品メーカーは、さまざまな理由でまだ食べられるのに廃棄しなければならない『食品ロス予備軍』を抱えています。たとえば、形が悪いチョコレート。そのまま安売りすればブランドイメージを損う可能性がありますが、社会貢献のリターンとしてご提供いただいたり、アップサイクルしたりして、ロスを防ぎながらイメージも上げていく。そういう新しい消費のサイクルが必要だと」

なかでもサブスクの「ロスゼロ不定期便」は画期的だ。食品ロスはいつ、どこで、どのくらい発生するか予測できないからこそ対応が難しいのだが、それを逆手にとって、「中身も配送日もお任せ」で、約2か月に1回、食品の詰め合わせが届く仕組みである。

「ロスになった理由も手紙にして同封しています。日本では意外に、賞味期限が長いまま食品ロスになるものもたくさんあるんですよ。毎回、内容は変わりますが、一定の金額分をお届けします。福袋のように楽しんでもらえれば」

メーカーや生産者にとっては、経費をかけて廃棄することなく、ロスゼロを通して消費者へ届けることができる。消費者もお得な買い物をしつつ食品ロス削減に貢献できる。ポジティブな連鎖だ。

「食品だけでなく、時間、場所、人、アパレルと、あらゆる『ロス』を探して、それをゼロにしていきたい。課題はたくさんあります」

※食品ロス​とは…日本では年間約612万トン(’17年度推計値)、東京ドーム約5杯分の食料が廃棄されている。日本人ひとり当たりで毎日お茶碗1杯分相当。

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PHOTO :
香西ジュン
WRITING :
剣持亜弥(HATSU)
EDIT :
正木 爽(HATSU)、喜多容子(Precious)
取材 :
木佐貫久代