雑誌『Precious』では「My Action for SDGs 続ける未来のために、私がしていること」と題して、持続可能なよりよい世界を目指す人たちの活動に注目し、連載しています。

今回は、「AEE」副会長・「EDPR社スペイン」社長、ロシオ・シクレさんの活動をご紹介します。

ロシオ・シクレさん
「AEE」副会長、「EDPR社スペイン」社長
マドリッドの大学を卒業後、電力会社に財務担当として就職。1998年より再生エネルギー部門を担当、'08年に取締役社長に就任。風力発電企業連盟(AEE)の会長を'12年から1年間、'17年から2年間務め、現在は副会長。

世界が注目するスペインの風力発電、業界を牽引するリーダーの「風車」愛とは

スペインでは、’23年内に全発電量の50%が再生エネルギーになるとされる。そのうち、最も割合が高いのが風力発電だ。話題の海上風力発電もプロジェクトが次々と進行中で、世界からの視察が後を絶たない。ロシオさんは、そんなスペイン風力発電業界に25年にわたり貢献し、業界団体初の女性会長も務めたリーダーだ。

「スペインの風力発電は1990年代から堅実に発展を続けてきました。小さなネジから巨大なタービン、羽などの製造、設置、メンテナンスなど、バリューチェーンのすべてを国内企業でまかなっていることも特徴です。約250か所に大小の風力発電所が存在し、その多くは都市部ではなく過疎地周辺ですが、そこで雇用や投資を生み出していることも、重要な社会的役割となっています」

現在、社長を務める電力会社では、女性の雇用にも力を入れる。

「学校訪問もしますね。男女差ではなく、『今のスペイン社会では、望むことがあれば必ず達成できる』という視点で話します。私自身、チームの一員としてこうしてキャリアを重ねてこられたから」

スペインで風力発電が発展した理由を問うと、笑顔になった。

「16世紀にドン・キホーテが風車に向かって戦いを挑んだ頃からの伝統…私が大好きな見解です(笑)。古来、風のある土地ですから。私もいまだに、風力発電所に向かうときにはわくわくします。たいていは何もない田舎町で、その静寂さと風車はよく似合います。けれども、ここで莫大な電気が供給されているんだという、その事実に、毎回感動します」

スペインがエネルギー輸出国になることも夢ではない、と力を込める。ロシオさんの挑戦は続く。

【SDGsの現場から】

●市町村役所と連携をとることも職務

サステナブル_1,インタビュー_1
中央政府や州政府だけでなく、各市町村の役所とも直接の連携が必要なので、地方出張も多い。

●ますます進化中!風力発電所は大好きな場所

インタビュー_2,サステナブル_2
1998年に風力発電に携わって以来、発電所の訪問を続けている。技術が進み発電量も増大した。

※スペインの風力発電とは…ヨーロッパではドイツに次いで2位の設置容量。従来の火力やガスと再エネ発電をミックスしながら配電する優れたシステムをもつ。

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PHOTO :
Javier Peñas
WRITING :
剣持亜弥(HATSU)
EDIT :
正木 爽(HATSU)、喜多容子(Precious)
取材 :
小林由季