手のひらの上で愛でたい、それはもうアート【和菓子の小宇宙】
その歴史は、縄文時代までさかのぼるとされる和菓子。脈々と受け継がれた伝統や技術、日本の四季や風土を映す心を継承しながら、多様な素材やデザインを取り入れ、和菓子は今も、日々進化し続けています。
このうえない口福と美しい佇まいで、至福の時をもたらしてくれる麗しき和菓子たちを、その世界観と共にお楽しみください。
京都「御菓子丸(おかしまる)」の『鉱物の実』
自然界の一瞬の煌めきを風味と共に閉じ込めて
薄紙をそっと開くと、まるで宝石のような、鉱物のような、黄色い実が美しく並ぶ姿にはっとする。枝に見立てたクロモジを手に、横から上から下からまじまじと見つめ、うっとりする和菓子がほかにあるだろうか?
京都に工房を構える「御菓子丸(おかしまる)」の『鉱物の実(こうぶつのみ)』は、砂糖と寒天でつくられる琥珀糖(こはくとう)。表面はシャリッと、中はプルッとした食感が魅力で、古くから、植物などで色づけをすることで、多彩な表情を楽しめる伝統的な和菓子だ。
そんな琥珀糖に、季節の果実(写真は檸檬ーれもん)を風味ごと閉じ込め、クロモジを刺した『鉱物の実』は、「食べたら消えてしまうお菓子を、鑑賞して味わう体験を通して記憶にとどめたい」と願う店主の思いが込められた名品。
「お菓子の始まりは、木の実や果実。古代の実が長い時を経て鉱物になり、現代に発掘された、という空想の物語から生まれた」と添えられたメッセージと共に、自然界の一瞬の煌めきを、目で、舌で、じっくりと堪能したい。
※掲載商品の価格は、税込みです。
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- PHOTO :
- 川上輝明(bean)
- EDIT&WRITING :
- 田中美保、古里典子(Precious)
- スタイリング :
- Chizu