旅情も高まる秋。露天風呂で紅葉を愛でながら温泉に浸かったり、季節の食材に舌鼓を打ったり…。この時期ならではの旅時間で心身をリフレッシュさせたい人は多いのではないでしょうか。そこで、温泉ジャーナリストの植竹深雪さんに、秋に行くべき温泉宿をピックアップしてもらいました。今回ご紹介するのは、栃木県にある「那須温泉 山楽」です。

植竹深雪さん
温泉ジャーナリスト
(うえたけ みゆき)全国各地の3000スポット以上を巡っている温泉愛好家。フリーアナウンサー、温泉ジャーナリストとして、テレビ番組をはじめ、さまざまなメディアで活躍中。著書に『からだがよろこぶ! ぬる湯温泉ナビ』(辰巳出版)がある。
公式サイト

頭上に紅葉が広がる露天風呂など忘れられない景色と美食を堪能!

玄関でも鮮やかな紅葉がお出迎え。
玄関でも鮮やかな紅葉がお出迎え。

避暑地として名高く、御用邸も擁する栃木県・那須。当地が皇室と深い縁で結ばれるきっかけとなったのが、今回ご紹介する「那須温泉 山楽」です。創業は大正12年(1923年)。かつて昭和天皇が皇太子時代に「山楽」を訪れ、雄大な那須野が原の景観を大変お気に召されたのが御用邸建立につながったといわれています。

ラウンジでは各種フリードリンクのサービスもあり。16時~18時には日本酒・ワインが飲み放題。
ラウンジでは各種フリードリンクのサービスもあり。16時~18時には日本酒・ワインが飲み放題。

「山楽は訪れた瞬間、思わず背筋を伸ばしたくなるような品格を感じさせる名旅館。広々としたラウンジは高級感が漂い、ガラス窓越しに見える日本庭園も手入れが隅々まで行き届いており、その風情にも魅了されます」(植竹さん)

ラウンジからの眺め。
ラウンジからの眺め。

「こちらの宿では大小2つの露天風呂も見事。楓の木々に囲まれ、枝が頭上にまで差し掛かる野趣溢れる造りで、四季折々の情緒を楽しめます。私が訪れたのは、もう冬が間近の晩秋で、枯れゆくはかなさが感じられましたが、もう少し早いタイミングならば、オーロラのような紅葉を屋根にしての湯浴みが叶えられるのではないでしょうか」(植竹さん)

紅葉が息を呑むように美しい大露天風呂。
紅葉が息を呑むように美しい大露天風呂。
小露天風呂も風情満点。
小露天風呂も風情満点。
開放感のある内湯。
開放感のある内湯。

「分類上は単純温泉ですが、やや硫黄の香りも感じられる湯は源泉かけ流し。毎分800リットル湧出する湯量豊富な自家源泉から引き湯しており、広めの浴槽で新鮮な湯を享受できる贅沢な環境です。やや青みがかった透明の湯は東日本では珍しく、湯の個性にも心惹かれました。しかも、こちらの湯は御用邸と同じ泉質なのだそうで、何だかありがたみがあるといいますか、優雅な気分にも浸れます」(植竹さん)

客室からの眺め。
客室からの眺め。

「私は露天風呂付き客室に泊まりましたが、お部屋の雰囲気も極上。足湯のある縁側からは日本庭園を眺めることもでき、贅を尽くした旅時間で心身の疲れをときほぐしたい人にぴったりな湯宿だと思います」(植竹さん)

客室の露天風呂。こぢんまりした浴槽から庭園を眺める。
客室の露天風呂。こぢんまりした浴槽から庭園を眺める。
縁側の足湯でも寛げる。
縁側の足湯でも寛げる。

味覚の王様・松茸づくしコースで多幸感に包まれる

山楽では季節感を重視した本格和食会席を提供。秋限定の松茸づくしコースも人気です。

お食事処「山翠亭」。
お食事処「山翠亭」。

「松茸と鱧の土瓶蒸し、焼き松茸、松茸の天ぷら、松茸ご飯と、松茸のメニューが惜しみなく4品も提供されるコースはグルメ垂涎。上品な出汁加減など、料理長の技術の高さも相まって、秋の味覚の王様を十二分に堪能することができます。脇をかためる地元那須の高原野菜もおいしく、器も益子焼をはじめこだわりの逸品ぞろい。目でも舌でも楽しめ、心も豊かになるような食体験に大満足です」(植竹さん)

秋の会席コースの一例。
秋の会席コースの一例。

以上、「那須温泉 山楽」をご紹介しました。露天風呂をはじめ、館内の至るところから紅葉を鑑賞し、さらに会席コースで松茸を食べ尽くす。そんな身も心も秋に染まりそうな一時を過ごしたい人は、次の旅先候補のひとつに加えてみてはいかがでしょうか。

問い合わせ先

  • 那須温泉 山楽
  • 住所/栃木県那須郡那須町湯本206
    客室数/全39室
    料金/松茸づくしプラン 2名 ¥104,200~(税込)
  • TEL:0287-76-3010

WRITING :
中田綾美
EDIT :
谷 花生