日本各地で育まれてきた高度なものづくりの技術と、若き匠たちの美意識や情熱が結びついた「新時代のジャパンラグジュアリー」を体現する逸品を、ギフトという形で提案しているスタイリストの河井真奈さん。
今回ご紹介いただくのは、2023年にローンチしたばかりのライフスタイルブランド「風狂」のアロマキャンドルです。「風狂」とは、時代の流れにとらわれることなく、風雅の世界に生きる精神を表した言葉。グローバル化が進み、日本古来の精神性や美的感覚が失われつつある時勢に逆らってでも、「日本らしさ」についてあらためて考えるきっかけを作っていきたいとの思いがブランド名に込められています。
そのコンセプトや開発経緯について代表者から直接聞く機会があった河井さんは、彼らの美学に共感し、ショップでの取り扱いを即決したのだそう。器にも香りにもこだわり抜いたプロダクトの魅力について、河井さんから詳しく教えていただきました。
日本らしさって何?…ブランド「風狂」はこうして生まれた
「『風狂』は、1994年生まれの守 孝太さんと、1995年生まれの吉川悠一さんが手がける新鋭ブランド。令和の時代に彼らが“日本らしさ”にこだわるブランドを立ち上げたのは、吉川さんのバックグラウンドが関係しています。
吉川さんは大学時代に国際関係学科で学び、イギリス留学を経験。卒業後は、外資系ラグジュアリーホテルに勤務したという経歴の持ち主。海外の多くの人々と交流するなかで、彼らが自国の文化や伝統に見識と誇りをもちつつ、日本という国や日本人という存在をリスペクトしているのを感じる一方、自分自身は“日本らしさ”について深く考えたことがなく、うまく言葉で説明もできないことに強い問題意識をもったのだそうです。
グローバル化が進み、我が国独自の自然や文化に触れる機会が減りつつある今だからこそ、時代の流れにとらわれず、日本ならではの精神性や美的感覚について自分たちなりの視点で追求してみたい。そんな思いから、『風狂』は誕生しました」(河井さん)
容器も中身も日本の美意識を追求した新感覚のアロマキャンドル
「第一弾の商品となるアロマキャンドルは、日本固有の美意識“侘び寂び”を体現するべく、容器には信楽焼を使用。茶の湯とともに発展をとげた歴史をもつ信楽焼こそ、ブランドの世界観を表現するのにふさわしいと考えた吉川さんは、信楽焼の窯元を尋ね歩いた末、1622年創業の明山窯と出合います。
信楽焼らしい土味と職人技は継承しつつ、新しいものづくりにも果敢に挑戦し続ける明山窯は、『風狂』のコンセプトを実現するうえで、まさに理想的なパートナー。吉川さんは明山窯の職人と綿密にコミュニケーションを重ね、純和風なアロマキャンドルを生み出したのです」(河井さん)
「信楽焼といえば、タヌキの置物が有名ですが、このアロマキャンドルの容器も、土の味わいや温もりが感じられ、和洋どちらの空間にもしっくりなじみます。また、成形や釉薬、刷毛加工といった工程は、職人の手作業によって一つ一つ丁寧に行われているため、 それぞれに少しずつ違った表情が見られるのも趣深い魅力だと思います」(河井さん)
「開口部が波口の形になっているのも特徴的。これは白黒はっきりつけたがる西洋とは対照的に曖昧さを重んじる日本人の精神性を表現しているのだそうです」(河井さん)
「信楽焼の容器の中に入るアロマキャンドルの香りの表現にもこだわりが。国内有数の香料メーカーの協力を得て、日本ならではの情景をモチーフとして独自の調香を行っており、キャンドルに火を灯すと洗練された香りがほのかに漂います。しかも、トップ・ミドル・ボトムによって異なる香りによって構成されており、微妙な変化を楽しめるのも醍醐味です。
素材は、100%植物由来のウルシワックスとソイワックスを使用。石油由来のパラフィンが含まれないため、ケミカル臭やすすが発生しにくいという点でも、自宅のリラックスタイムを上質なものにする逸品だといえます」(河井さん)
「別売りでリフィルのキャンドルが用意されているので、サステナブルに長く愛用できるのもポイント。もちろん、違うキャンドルを入れて使うこともできますし、信楽焼きの容器自体が美しいので、花瓶や小物入れ、オブジェなど別の用途に転用しても楽しめそうです」(河井さん)
日本の原風景をモチーフとした3アイテムがラインナップ
河井さんが運営するギフトショップ「futo」では、「風狂」のアロマキャンドルを「深山木(みやまぎ)」「木守柿(きもりがき)」「秋風(あきかぜ)」の3種類から選べます。
■1:ウッディ・フォレスト調の香り「深山木」
山が多く森林に恵まれた日本ならではの、霞立つ神秘的な山奥の情景に着想を得た「深山木」。容器のデザインは山奥の葉や藻などの深緑の世界と、木々や湿った土の雰囲気を表現しています。
香りは、静寂に包まれた山奥の木々をイメージしたウッディ・フォレスト調。アロマキャンドルのトップとミドルは森林を思わせるフレッシュな松の葉や土気を感じるパチョリなどの香り。ボトムは山奥の木々や湿りを連想させるサンダルウッド(白檀)やオークモスなどの香りで構成されています。
■2:フルーティ・ムスキー調の香り「木守柿」
木守柿とは、柿の収穫を終えるとき全部ちぎらずに、来年もよく実るようにとのまじないで柿をひとつふたつ残しておく昔ながらの日本の風習。 容器の白と黒褐色のグラデーションは、柿の収穫を終える冬半ばに雪が降り積もる様子を表現しています。
香りは、木の枝に残された柿をイメージしたフルーティ・ムスキー調。トップとミドルは、柿を中心としたフルーツの香りで素朴な甘さの果実感を演出、ボトムは冬枯れの景色を連想させるムスクやシダーウッドの香りで構成されています。
■3:フローラル・ウッディ調の香り「秋風」
平安時代に流行した練香の代表格「六種の薫物」のうち「侍従」の香りに着想を得た「秋風」。容器の淡い黄赤と白い刷毛塗は晩秋の世界とその中に吹く風を表現しています。
香りは、晩秋に風が吹く中で感じられる切なく甘い雰囲気をイメージした、フローラル・ウッディ調。トップとミドルは艶やかさを感じるチュベローズなどのフローラルな香り、ボトムは甘く重厚感のあるアンバーやスパイシーなクローブなどの香りで構成されています。
「ちなみに『futo』の女性客の間で人気が高いのは『木守柿』。フルーティな香りというと柑橘系を連想される人が多いかと思いますが、柿をモチーフにしているのが斬新で、『フルーツらしい甘さと爽やかさがありながら、これまでにない香り!』といった感想がよく聞かれます。また、森林の中に迷い込んだような落ち着いた気分に誘われる『深山木』や、容器の模様や色合いに味がある『秋風』もそれぞれの良さがあり、男性にも好評です」(河井さん)
今回は、「風狂」のアロマキャンドルをご紹介しました。信楽焼の容器が美しく、香りの表現にもとことんこだわったアロマキャンドルは、ありきたりなものでは満足しない見る目の肥えた人や、美意識が高い人へのギフトにも最適です。
まだまだ寒い日が続くなか、ろうそくの灯とアロマに癒されるアイテムを贈り物の選択肢のひとつに加えてみてはいかがでしょうか?
※掲載商品の価格はすべて税込みで、記事公開時のものです。
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- WRITING :
- 中田綾美
- EDIT :
- 谷 花生(Precious.jp)