日本各地で育まれてきた高度なものづくりの技術と、若き匠たちの美意識や情熱が結びついた「新時代のジャパンラグジュアリー」を体現する逸品を、ギフトという形で提案しているスタイリストの河井真奈さん。

今回ご紹介いただくのは、「タケダデザインプロジェクト」から生まれた一輪挿し『HANAKUBARI(ハナクバリ)』です。「タケダデザインプロジェクト」は新潟燕三条で金属加工に携わる「タケダ」の独自ブランド。国内有数の金属加工メーカーと新進気鋭のデザイナーたちのコラボによる文具や日用雑貨は、これまでに国内外で数々のデザイン賞を獲得しています。

本記事で登場する『HANAKUBARI』も、細部にまでこだわった高い完成度やプロダクトとしての佇まいが「ありそうでなかった商品」と評価され、新潟県のデザインコンペティションで大賞・県知事賞を受賞。そのフラワーベースとしての魅力や開発秘話について、河井さんに詳しく教えていただきました。

河井真奈さん
スタイリスト
(かわい まな)女性誌、CM、ドラマのスタイリング、トークショー、商品開発アドバイザーなど幅広く活躍。2016年、ギフトに特化したWEBサイト「futo」をローンチし、2019年6月に南青山にショップをオープン。2023年5月代官山に移転。著書に『絶対 美人アイテム100』(文藝春秋)、『服を整理すれば、部屋の8割は片付く』(立東舎)。https://futo.jp/

「水を入れる」のではなく「水に入れる」…新発想の一輪挿しとは?

インテリアに花や緑を取り入れると、室内の雰囲気も気分も華やぐもの。とはいえ、花束を贈られた際、「センスのいい飾り方がわからない」「素材のよさを生かしてくれる花器を持っていない」と困ってしまったことはないでしょうか。また、自分が花を贈る側になったときも、相手にとって負担にならないかという懸念が頭をよぎります。

そうした悩みを解消し、花のある暮らしを実現するのに役立つアイテムが、新潟燕三条のブランド「タケダデザインプロジェクト」の一輪挿し『HANAKUBARI』です。

新潟燕三条のブランド「タケダデザインプロジェクト」の一輪挿し『HANAKUBARI』
本体の孔に花を挿すだけ! 茎の生命力も表現できる一輪挿し『HANAKUBARI』。

「『HANAKUBARI』は、従来の花器の概念を覆す、新発想のユニークなアイテム。一言で表現するならば、“水を入れる”のではなく“水に入れる”一輪挿しです。

通常、水を入れた花瓶の中に花を入れるか、剣山を使って花を飾ることが多いと思いますが、『HANAKUBARI』はどちらとも違います。お手持ちの器に水を入れて、そこに本品をセット。中央の孔に花を差し込むだけで、茎の表情を生かしながら簡単に花をディスプレイできます。

水を入れる器は、底面から15mm以上、水が入るものであれば何でも可。縦長のグラスはもちろんのこと、平皿のような浅いものでも、花の色や種類、屋内の置き場所に応じてお好みのアイテムを活用できます」(河井さん)

新潟燕三条のブランド「タケダデザインプロジェクト」の一輪挿し『HANAKUBARI』
平皿でもOK! 組み合わせは自由自在。

「商品名の由来は、生け花の専門用語“花配り”。花の根元を花器に安定させるための留め木、花留めを指す言葉ですが、『HANAKUBARI』はそれと同じような役割を果たすものです。剣山とも似ていますが、孔に花を挿すだけなので、剣山と違って花を傷めることもありませんし簡単です。

シンプル&ミニマルなデザインは、組み合わせる器を選ばず、どんな花とも相性抜群。また、複数個積み重ねて使うこともできるので、背の高い花を生けたり同じ花でも異なる趣に見せることができます。futoで扱っている食器とのアレンジでも、器ごとに違った表情を見せてくれて、バリエーションは無限のように感じられました」(河井さん)

新潟燕三条のブランド「タケダデザインプロジェクト」の一輪挿し『HANAKUBARI』
常滑焼のモダンなキャニスターが花器に
新潟燕三条のブランド「タケダデザインプロジェクト」の一輪挿し『HANAKUBARI』
2段に重ねると茎が安定してまっすぐにアレンジできます

「さらに大きめの平皿やトレイなどに複数個並べて使用すれば、平面に複数の花を配置するようなレイアウトも可能。付属のアダプターで細い茎を安定させることもできるので、楽しみ方は自由自在です。それぞれのクリエイティブな発想で、花とお気に入りの器、そして『HANAKUBARI』を組み合わせて、三位一体の美しさを表現していただけます」(河井さん)

新潟燕三条のブランド「タケダデザインプロジェクト」の一輪挿し『HANAKUBARI』
付属のアダプターで孔を小さく調整できる。

「『HANAKUBARI』は、もともと花を買う習慣のある人にとっては、新しい花の飾り方や魅力を発見できる逸品。そして、これまで花が身近になかった人に対しても、手持ちの器で花を気軽にレイアウトする楽しみを提案する画期的なアイテムといえるのではないでしょうか。日常生活に彩りを与えるギフトとしておすすめです」(河井さん)

ミニマルな本体に技術を凝縮!端正なデザインはこうして生まれた

「タケダデザインプロジェクト」の立ち上げは2008年。金物のまちとして知られる新潟燕三条にて、長く工業用の精密部品の製造を行ってきた金属加工メーカーのタケダが、受注生産だけでなく自社オリジナル製品を作りたいとの思いから活動をスタートさせました。

最新鋭の機械と職人の技術力がものづくりを支える。
最新鋭の機械と職人の技術力がものづくりを支える。
国内外で評価されているタケダデザインプロジェクトの製品。
国内外で評価されているタケダデザインプロジェクトの製品。

1963年の創業以来、部品製造で積み上げてきた高度な切削技術と加工技術は、自社ブランドでも如何なく発揮され、『HANAKUBARI』の研ぎ澄まされた無駄のないフォルムにも匠の技が凝縮されています。ただ、発案から製品化に至るまでは一筋縄ではいかず、現在のシンプル&ミニマルなデザインに落ち着くまでには、紆余曲折もあったようです。

新潟燕三条のブランド「タケダデザインプロジェクト」の一輪挿し『HANAKUBARI』
無駄を一切省いた洗練されたデザイン。さりげなく縦に記された『HANAKUBARI』の属するシリーズ名“BLANK”が、スタイリッシュなアクセントとなっています。

「『HANAKUBARI』のデザインを手がけたのは、渡辺千紘さん・純子さん姉妹によるデザインスタジオ『W DESIGN』。それまで『タケダデザインプロジェクト』の製品は全て男性デザイナーを起用していたところ、燕市が主催する“若monoデザインコンペティション燕”を通じて、渡辺姉妹とのコラボが実現しました。

同コンペティションは、燕市が市内の企業と、学生や若手デザイナーをマッチングさせ付加価値の高い新製品を開発することを目的として年1回開催するもので、渡辺姉妹の作品は2021年に企業賞を受賞。ただ受賞時のデザインのままでは、実用面・コスト面での課題が残り、製品化までに1年間のブラッシュアップ期間を要しました」(河井さん)

新潟燕三条のブランド「タケダデザインプロジェクト」の一輪挿し『HANAKUBARI』
端正なカーブが美しい『HANAKUBARI』。

「マストだった条件のひとつはアイテムの重さ。水の中に入れたり、花を挿したりしたときに倒れてしまわないよう何度も試作を重ねた結果、安定感のある今の形状に。ミニマルなボディながら本体の重みで重心が保たれ、程よく花を自立させることができます。

また、花を差し込む孔は滑らかなカーブを描いており、上からのぞき込むと吸い込まれそうに端正。一方、底には絶妙な溝があり、水を入れた器にセットすると、本体内にスムーズに水が流れ込む構造になっています。

使用シーンでは、あくまで花が主役。『HANAKUBARI』はそれを支える縁の下の力持ち的存在ですが、ソリッドで質実剛健のようでもあり、丸みを帯びたフォルムが可愛くもある造形に惹きつけられます。計算され尽くした精巧な造りは、『タケダ』の技術力あってこそではないでしょうか」(河井さん)

シルバーorピンクゴールド?上品な色合いで花が映える!

『HANAKUBARI』のカラーは、シルバーとピンクゴールドの2種類。それぞれ写真左が本体で、右がアダプターです。

『HANAKUBARI』シルバー[ステンレス]¥3,850【本体:直径約35mm×高さ37・197g、アダプター:直径約15mm×高さ15.2mm・約11g】
『HANAKUBARI』シルバー[ステンレス]¥3,850【本体:直径約35mm×高さ37・197g、アダプター:直径約15mm×高さ15.2mm・約10g】
『HANAKUBARI』ピンクゴールド[ステンレス×18金コーティング]¥6,600【本体:直径約35mm×高さ37・198g、アダプター:直径約15mm×高さ15.2mm・約11g】
『HANAKUBARI』ピンクゴールド[ステンレス×18金コーティング]¥6,600【本体:直径約35mm×高さ37・198g、アダプター:直径約15mm×高さ15.2mm・約11g】

河井さんのコメントにもあったように、『HANAKUBARI』は複数を組み合わせてアレンジするのも楽しいアイテム。また、手持ちの器を花器として使えるので、花瓶を持っていない人に花束を贈る際にセットでギフトにするのもおすすめです。


今回は、「タケダデザインプロジェクト」の一輪挿し『HANAKUBARI』をご紹介しました。場所を選ばず、フェミニンにもエレガントにもスタイリッシュにも花をディスプレイできるという斬新なアイテムを、大切な人へのギフトの選択肢のひとつに加えてみてはいかがでしょうか?

※掲載商品の価格はすべて税込みで、記事公開時のものです。

問い合わせ先

Gift Concierge futo

TEL:03-3462-2036

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WRITING :
中田綾美
EDIT :
谷 花生(Precious.jp)