表紙キャラクター大政 絢さんの連載【日本に出逢う、12か月の季節心得「絢ごよみ」~皐月~】和菓子の季節感と繊細さを引き立てる器選びの妙

雑誌『Precious』の連載【日本に出逢う、12か月の季節心得「絢ごよみ」】では、『Precious』表紙キャラクターの大政 絢さんが日本独自の季節感を学ぶべく、「日本雅藝倶楽部」主宰の川邊りえこさんご指南のもと、繊細な美意識に触れていきます。

今回は、清々しい季節の草花を表した3種の和菓子から「5月」を深掘り。菓子の意匠が引き立つ器選びに挑戦します。

川邊りえこさん
「日本雅藝倶楽部」主宰
日本文化の感性を磨き、自己表現を伝えるお稽古場を東京・京都で主宰。著書に『ときをしる』(万来舎)など。」

「皐月の頃の爽やかさを表現するという奥深さ。互いの美を高め合う関係性に感動しました」大政 絢さん

和文化_1,器_1
 

和菓子と器の調和で季節感を演出。皐月ならではの「薫風」や「青楓」、「清風」などの言葉を思い浮かべながら「時」を意識するように。

「和菓子に託された季節ならではの情景をさらに引き出すような器合わせを目指して」川邊りえこさん

大政さん:「和菓子には、季節への敬意や、日本文化ならではの繊細な美意識が託されていると知りました。今回は、5月にふさわしい和菓子の銘と形を学び、さらに器との美しい組み合わせを発見していきたいです」

川邊さん:「和菓子は、四季の変化を映し出す芸術作品です。風薫る『皐月』の情景を思い浮かべながら、菓子と器の調和を探りましょう。皐月は夏の気配を感じる、新緑の季節。かつては『虫送り』という習わしがあったように食中毒を払う儀式が行われる時季でもありました。生命力の象徴でもある『若葉』や薬草としての効力がある『菖蒲』の菓子から、皐月を知ることができます」

大政さん:「菓子と器が清清しい景色を描くようにマッチすると、新たな感動に出合えると実感しました。最初は、黒の器や柄の入っている器を合わせてみたのですが、瑞々しさに欠けてしまい…。川邊先生のアドバイスを参考に、菓子の色をよく観察し、薄紅色の『牡丹』には、茶席でも用いられる木地の銘々皿を、『若葉』には初々しさを強調する同系色を、『花菖蒲』は白の花弁形の器を合わせると、季節感やモダンさが増して。ひと皿から、四季折々の風情を楽しめる、日本文化の奥深さに感銘を受けました」

和文化_2,器_2
 

「福島家」の和菓子/上『花菖蒲』・中『若葉』・下『牡丹』 江戸末期に創業した「福島家」では、その季節ならではの上生菓子が揃う。端午の節句にも用いられる『花菖蒲』や、蕾から開花する『牡丹』、露が滴る『若葉』が、皐月の頃の風景を表現(5月上旬頃の販売予定)。

問い合わせ先

福島家

TEL:03-3918-3330

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PHOTO :
長谷川 潤
COOPERATION :
福島家
EDIT&WRITING :
川口夏希、遠藤智子(Precious)