連載「Tomorrow Will Be Precious!」明日への希望をアクションに変える

明日への希望をアクションに変える方たちの活動に注目し、紹介している連載【Tomorrow Will Be Precious!】では今回、京都にある歴史ある旅館「十四春(としはる)旅館」の女将・玉垣多佳子さんに注目!

明治42年建築の伝統的な京町家で、昭和26年から旅館を営む、4代目女将の玉垣さんにお話しを伺いました。

玉垣多佳子さん
「十四春(としはる)旅館」女将
関西外語大学を卒業後、「京都鰹節」で3年間事務の仕事に従事。退職し、昭和26年に祖母が始め、家族経営で続けていた「十四春旅館」へ入る。4代目女将となり、一見さんお断りの家族経営の旅館から、法人化し、インバウンドニーズに応える旅館へと変貌させる。町家ならではの雰囲気と、宿泊者の気持ちに寄り添うおもてなしで評判を呼んでいる。

【Kyoto】こぢんまりした京町家の旅館で、ここにしかないおもてなしを

京都_1,和文化_1
「十四春(としはる)旅館」女将の玉垣多佳子さん

京都駅から車で10分ほど。静かな街並みの中に佇む「十四春旅館」は、明治42年建築の伝統的な京町家で、旅館としての創業は昭和26年。玉垣さんは4代目女将である。

「創業したのは父方の祖母で、母と私とで、ずっと切り盛りしていました。もともとは一見さんお断り、お客様は知り合いの方ばかりで、予約がなければお休み、みたいな宿だったんです。それが、’05年に母屋と土蔵が登録有形文化財に指定され、同時期にインターネット予約を始めたこともあって、一気に、すごく忙しくなってしまって。私はその頃会社勤めをしていましたが、退職して、家業を継ぐことになりました」

そこから10年くらいは「手伝わされてる感でうだうだしていた」玉垣さんが、「腹をくくった」のが40歳の頃。自分で建物の写真を撮って宣伝したところ、売り上げが一気に3倍になり、そこから設備を整えたり、人を雇ったりできるようになった。

「家族経営だった頃に入った初期からのスタッフは、当時の母や私のおもてなしを見て、自然と学んでくれたので、そういう点に変わりはありません。スタッフ同士も仲がよくて、休みの日にもしょっちゅうご飯に行っているみたいです。元来もてなし好きで、お客様に何かして差し上げたいというサービス精神が旺盛なスタッフばかりなんです」

その後、インバウンドニーズを意識した経営方針に切り替えた玉垣さん。日本文化をより深く知りたいというコアなお客が増え、現在は宿泊者の98%が海外から来るという。

「京都の昔ながらの暮らしを体験していただけるような、そんな時間を提供できたらと思っています。控えめで慎ましく、寄り添うようなサービス。ふとしたときに、『こんなところにお花が飾ってあるわ』と気付くような、余白のある空間。日本の美しい伝統文化を、ここで過ごされる時間のなかでちゃんと伝えていくことができたら、と思っています」

◇玉垣多佳子さんに質問

Q.朝起きていちばんにやることは?
お風呂で、短時間でできる瞑想をする。今日一日をどう過ごしたいか、どういう気持ちで過ごしたいかを感じるようにしています。
Q.人から言われてうれしいほめ言葉は?
「性格がかわいい」
Q.急にお休みがとれたらどう過ごす?
旅行。イタリアのカプリ島に行きたい。
Q.仕事以外で新しく始めたいことは?
運動。今ピラティスをやっていて、体幹をもっと鍛えたい。
Q.10年後の自分は何をやっている
今よりもちょっと自由な時間が増えていたらいいなと思います。なるべく自分が仕事をしなくても回るような形にして、仕事を減らして続けられるようにしていきたい。
Q.自分を動物にたとえると?
「どうぶつ占い」だとサルです。興味のあることはとことん追求するタイプ。

関連記事

PHOTO :
香西ジュン
EDIT :
喜多容子 ・木村 晶(Precious)
取材 :
木佐貫久代