温泉旅行のメインは、言わずもがな“温泉”ですが、宿選びにおいて実は朝食メニューもかなり重要。慌ただしい日常では味わえない、旅館のスペシャルな朝ごはんを楽しみにしている人は多いのではないでしょうか。
名湯に癒されぐっすり快眠した翌朝、心づくしのごちそうでもてなされると、旅のフィナーレが多幸感に満ちたものに…。チェックアウト後も「本当にここに来てよかった!」という余韻にしみじみと浸れます。
温泉ジャーナリストの植竹深雪さんも、全国の湯宿を巡るなかで、趣向を凝らした珠玉の朝食に感動を覚えた経験がたびたびあるとのこと。そのなかからとっておきの6軒をピックアップしてもらいました。今回ご紹介するのは、宮城県・遠刈田(とおがった)温泉にある「旬菜湯宿 大忠」です。

公式サイト
旬の味覚を堪能できる!大人の楽園で過ごす贅沢な朝時間
JR東北新幹線「仙台駅」から高速バスで1時間ほどの遠刈田温泉。開湯400余年の歴史ある温泉街にある「旬菜湯宿 大忠」は、客室数わずか10の隠れ宿です。旬の食材を駆使した創作料理と源泉100%のこだわりの湯を楽しめる人気宿の朝食の魅力について、植竹さんはこう話します。


「こちらの宿でユニークなのは、おばんざいシステム。夕食でも朝食でも、メインの料理とは別に、ダイニング中央のカウンターから自分の好きなおかずをセルフサービスでいただけるのが魅力的です」(植竹さん)

「おばんざいカウンターの内容は季節ごとに変わります。私が訪問したタイミングでは、冬は根菜のおかずや汁物にほっこり。そして、夏にはなんと雲丹が出てきて感動! 朝からとろけるような旬の味覚を堪能できて、頬がゆるみます。そのうえ、スパークリングワインのサービスまであって、まさに至れり尽くせり。私は車の運転があったので自重したのですが、まわりのお客様がたは泡活を満喫されているようでした」(植竹さん)
※2024年、雲丹の提供は夕食時に変更になりました。その他、メニューの詳細については予約時にご確認ください。


「メインの松花堂弁当もかなりボリュームがありますが、一品一品、丁寧に作られたおかずは逸品揃いで箸が止まりません。特に印象に残っているのはハンバーグ。“JAPAN X(ジャパンエックス)”という蔵王のブランド豚を使用したハンバーグは濃厚かつふんわりジューシーで、ディナーのおかずと言われても不思議ではないほどハイクオリティでした」(植竹さん)


ステンドグラスが幻想的なレトロ空間で美肌の湯に癒される
「旬菜湯宿 大忠」では、食事だけでなく温泉も充実していると植竹さん。


「温泉は大浴場が2つと、貸切風呂が3つ。大浴場は、大正時代をイメージしたというステンドグラスがノスタルジーな空間です。10人くらいのサイズの浴槽にゆったりと浸かってると、ステンドグラスから差し込む光が湯面にゆらめいて幻想的なムードに気分が上がります」(植竹さん)

「貸切風呂は空いていればいつでも入れるシステム。大きな窓から優しい光が差し込む岩風呂、青い信楽焼き陶器のお風呂、坪庭を眺める半露天のお風呂とそれぞれ風情があり、湯巡り気分も味わえます。
泉質は、ナトリウム-カルシウム-硫酸塩・塩化物泉で源泉かけ流し。湯口にびっしりと析出物が付着していることからも、成分の濃さがうかがえます。やや熱めの湯ですが、優しい浴感が実に心地よく、疲れを解きほぐしてくれるかのようです。天然の保湿成分といわれるメタケイ酸も豊富に含む湯がしみわたり、湯上りには肌がしっとりとご機嫌になったのを実感できました」(植竹さん)


心置きなく美酒を嗜むオールインクルーシブスタイルがうれしい!
「こちらの宿では、アルコールを含むドリンクがオールインクルーシブ。まず、チェックインから17時まではバーカウンターでウェルカムドリンクが飲み放題。またラウンジには、スパークリングワインやサングリア、麦茶などのドリンク、そしてアイスキャンディ―があり、湯上りのクールダウンにぴったりです」(植竹さん)

「さらに、夕食時のドリンクメニューも豊富。生ビール、ワインに焼酎、日本酒など各種揃っており、なかでも日本酒は地酒のラインアップが多彩で、お酒好きの人にとってたまらない環境だと思います」(植竹さん)
以上、「旬菜湯宿 大忠」をご紹介しました。源泉かけ流しの温泉でリフレッシュすると共に、季節ごとの美食のおもてなしで心もお腹も満たしたい人は次の旅先候補のひとつに加えてみてはいかがでしょうか。
問い合わせ先
- 旬菜湯宿 大忠
- 住所/宮城県刈田郡蔵王町遠刈田温泉旭町1
客室数/全10室
料金/朝夕2食付き1名 ¥23,100(税込)~ - TEL:0224-34-2306
- WRITING :
- 中田綾美
- EDIT :
- 谷 花生(Precious.jp)