鮨は、美しくて、エレガント。雑誌『Precious』9月号の別冊付録では【やっぱり「鮨」が好き!】と題して、日本人のソウルフード・鮨を特集。北陸をはじめとする日本各地の名店から、注目の新潮流店まで、「おいしい鮨」をたっぷりとご紹介します。

ここでは、新店を中心に、今、東京で行きたい鮨店を、フードライターの森脇慶子さんに教えてもらいました。食べる人をラグジュアリーへと誘う名店揃いです。

今回はその中から、広尾「鮨 ゆうき」をご紹介します。

森脇慶子さん
フードライター
至福の味を求めてオンもオフも食べ歩く。スープ、鮎、フカヒレが好き。著書に『東京 最高のレストラン』(共著/ぴあ)など。

鮨 ゆうき|誠実な江戸前仕事が生む美しく粋な鮨

「鮨 ゆうき」店主の林ノ内勇樹さん

横浜で60年以上愛された老舗「常盤鮨」の三代目・林ノ内勇樹さんが、3月、広尾に移転オープン。林ノ内さんは厳しい修業で知られた伝説の名店「鮨 水谷」の水谷八郎さんの下で7年間修業し、2番手を務めた。ほぼ唯一の直系弟子として、東京で自らの鮨の表現に挑戦している。

所変われど、「“鮨”を食べてほしい」という情熱と、繊細な温度にまでこだわる丁寧な仕事は変わらない。艶やかで美しい赤身は、豊洲の仲卸“結乃花”から仕入れ、フレッシュな香りや酸味などを生かしながら握る。金目鯛などの淡い白身魚は握る前に表面が汗をかく程度にさっと温めることで、脂の上品な味の輪郭を立たせる。

凛とした店内の雰囲気、心地よい接客に気持ちがほぐれていく。握り手の人柄が表れた誠実な鮨を求めて、早くも予約は困難に。

夏の風物詩であるシンコは軽く酢締めし、4枚づけに。柔らかい身と皮がすっととけるよう。シャリは羽釜で炊いた『あきたこまち』に米酢を数種類ブレンド。米の甘さとうま味が感じられる絶妙な炊き加減。
寿司_1,東京_1
穴子は握る前の温めで仕上がるよう、煮あげるときは少し手前で火を止める。ツメを塗るとふくよかな味が広がる。
寿司_2,東京_2
美しい姿の車エビはプリプリとした弾力と甘み。
寿司_3,東京_3
贅沢にとろける大トロは色気さえ感じる。
寿司_4,東京_4
白味噌に漬け、ふっくらと焼いたエボダイ。鮨と調和する酒肴はシンプルな中に個性が光る。愛用する陶芸家・渡邊心平さんの器は、「絵付けが盛り付けを助けてくれます」
寿司_5,東京_5
蒸しアワビは軽く火を通した肝と共に。ワインや日本酒も豊富。

※掲載商品の価格は、すべて税込みです。
※掲載の情報は、2024年7月のものです。メニューは季節によって変わります。価格が変わる場合もあります。

【DATA】

  • 「鮨 ゆうき」
  • 時間/12:00〜(火・土・日曜のみ)、17:00〜18:00スタート
    定休日/不定休
    おまかせは昼¥17,600(握りのみ)〜、夜¥28,600〜。カウンター8席、テーブル4席。要予約
  • TEL:03-6277-0468
  • 住所/東京都渋谷区広尾5-17-4 1F

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PHOTO :
合田昌弘
COOPERATION :
森脇慶子
EDIT&WRITING :
松田亜子、木村 晶(Precious)
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