鮨は、美しくて、エレガント。雑誌『Precious』9月号の別冊付録では【やっぱり「鮨」が好き!】と題して、日本人のソウルフード・鮨を特集。北陸をはじめとする日本各地の名店から、注目の新潮流店まで、「おいしい鮨」をたっぷりとご紹介します。

ここでは、新店を中心に、今、東京で行きたい鮨店を、フードライターの森脇慶子さんに教えてもらいました。食べる人をラグジュアリーへと誘う名店揃いです。

今回はその中から、広尾「鮨 うらの」をご紹介します。

森脇慶子さん
フードライター
至福の味を求めてオンもオフも食べ歩く。スープ、鮎、フカヒレが好き。著書に『東京 最高のレストラン』(共著/ぴあ)など。

鮨 うらの|厳しい仲卸が一目置く、気鋭の職人の熱意

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「鮨 うらの」店主の浦野博正さん

“フジタ水産”のマグロ、“大力商店”の白身魚や鯨の尾の身、“旭水産”のコハダ…。一流店御用達の仲卸からの食材に、おまかせ5万円でも合点がいくが、「鮨 うらの」は2万円で提供している。

店主の浦野博正さんは鮨職人としてドイツのミュンスターに移住後、独学で鮨の腕を磨いた。上手を言えるタイプではない実直さ、鮨をおいしくしたいという志の高さと熱意が仕事に厳しい仲卸の心を動かし、極上の食材が自然と集まるほど愛されている。

その鮨は質実剛健ともいうべきシンプルさのなかに細やかな仕事が生きている。カウンターの中には炭火の焼き場があり、鮨を握りながらウナギも焼いてしまう。焼ける匂いや音も極上のつまみに。飯炊き3年、握り8年と言われる鮨の世界で、独自の道を拓き、美味鮨を提供。訪れるたび、次が待ち遠しくなる。

甘エビは白板昆布で締めて水分を抜き、昆布ごとたたくことで、ねっとりとした濃厚な甘みに。米は福島県の味がつよすぎない『里山のつぶ』。
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江戸前の定番・ハマグリは62℃で1時間半煮あげ、煮汁をベースにしたツメでいただく。
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ホタテは細かなミストで酒と醤油をムラなく吹きつけて焼き、“丸友海苔店”の高級海苔を巻いて。
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カウンター内に設けた焼き場で炭火焼きにするウナギ。えさの甲殻類のうま味が皮目に加わる熊本・天草産の海ウナギを使用。温かいご飯にほっとする。
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“フジタ水産”から仕入れた天然本マグロの中トロ。
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コハダの酢締めは酢を絞らず、したたる状態でざるに3日ほど置き、ふっくらとした仕上がりに。

※掲載商品の価格は、すべて税込みです。
※掲載の情報は、2024年7月のものです。メニューは季節によって変わります。価格が変わる場合もあります。

【DATA】

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「鮨 うらの」店内
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  • 「鮨 うらの」
  • 時間/18:00、20:30からの一斉スタート
    定休日/日曜・祝日
  • おまかせ¥20,000〜。カウンター7席。要予約。9月から昼も営業(子連れ可)
  • Instagram/@sushi_urano
  • TEL:03-6277-4454
  • 住所/東京都渋谷区広尾5-8-13 1F

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PHOTO :
合田昌弘
COOPERATION :
森脇慶子
EDIT&WRITING :
松田亜子、木村 晶(Precious)
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