華道、茶道と並び、日本三大芸道のひとつである「香道」。香りを楽しむための作法や道具もいろいろあり、知れば知るほどに、その魅力や奥深さに引き込まれます。
忙しい日常をしばし忘れることができる、香木の心地よい香り。そんな「香道」を、知識がなくても気軽に楽しめるサロンがオープンしたとうかがい、創業200年余りを数える香木・お香の老舗「山田松香木店」を訪ねました。
■日本の香り文化を伝承する、京都の老舗『山田松香木店』
江戸・寛政年間に創業した『山田松香木店』。香木は原産地より直接買付け、輸入、鑑別、製品化までを一貫して行う、香木・お香の専門店です。平安朝の頃より育まれた日本の香りの伝統を受け継ぎ、天然香料にこだわった薫香(くんこう)製品を造り続けています。
■山田松香木店「聞香サロン」の“香り”体験とは?
今回、山田松香木店の本店隣に新しく登場した「聞香(もんこう)サロン」では、大きく分けて「調香コース」と「聞香コース」のふたつを体験できます。聞香とは、文字どおり、香炉から「香りを聞く」ということ。嗅ぐのとは異なり、心を傾けて香りを聞く、心の中でその香りをゆっくり味わうという意味です。
■1:匂袋づくりと煉香づくりが体験できる「調香コース」
調香コースでは、匂袋作りと煉香(ねりこう)づくりが体験できます。どちらも天然香原料を使って、自分だけのオリジナルな香りをつくります。
■2:香りを聞き分けて当てる組香が体験できる「聞香コース」
聞香コースでは、室町時代に確立した香道の世界に触れられる内容に。香りを聞き分けて当てる「組香(くみこう)」は、聞香初心者でもゲーム感覚で楽しめます。
■聞香作法を学び、香りに合わせた茶と薬香菓子が楽しめる「聞香実践体験」
聞香を始めたい方や、自宅でも楽しみたい方には「聞香実践体験」がオススメ
聞香をするには、炭に火を熾し、香炉の灰を整えるなどの支度が必要です。聞香を大人のたしなみとして始めたい方や、自宅でも楽しみたい方には「聞香実践体験」がオススメ。香木をたくために香炉の準備を調える「灰手前」から、香りの聞き方までを学ぶことができます。
聞香の余韻を楽しみながら、香りに合わせた茶と薬香菓子をいただきます
また、「聞香実践体験」の最後には、聞香の余韻を楽しみながら、香りに合わせた茶と薬香菓子をいただけるのも魅力。薬香菓子とは、山田松香木店オリジナル調製の薬膳的なお菓子で、季節により内容は変わります。
今回は、桜皮のエキス入りの桜バター餡をサンドしたマカロンや、沈香茶(じんこうちゃ:香木・沈香の葉をお茶に仕立てたもの)パウダーを使ったガトーショコラなどをいただきました。
天然香料が使われたこれらのお菓子は、ほかにはない香りと味わいを楽しむことができます。山田松香木店は享保年間に薬種業として創業し、その後、薬種の扱い品目を香りに特化するようになったため、薬香菓子は薬種業の老舗らしいおもてなしと言えます。
■アロマテラピーや線香ともまったく違う「香木の香り」でリフレッシュ
かつて、戦に出陣する武将たちが心を落ち着かせるために行ったという聞香。香木の香りは、アロマテラピーはもちろん、線香ともまったく違ったものです。香木を香炉でたいた場合、燃焼時間は15~20分。線香と比べ、香りが優しいうえに後に残りにくく、儚いものです。
しかしそのひととき、静かに香りを深く味わえば、心穏やかに、気持ちをリフレッシュできるでしょう。
○調香コース
- 匂袋作り体験
- 開催曜日/月〜金(土日・祝日を除く)
- 予約/1営業日前の受付時間内までに要予約
- 時間/15:30〜
- 所要時間/約50分
- 体験料/2,000円(税込)
- 定員/2〜40名
- 煉香作り体験
- 開催曜日/月〜金(土日・祝日を除く)
- 予約/1営業日前の受付時間内までに要予約
- 時間/15:30〜
- 所要時間/約50分
- 体験料/2,000円(税込)
- 定員/2〜40名
○聞香コース
- 開催曜日/月~土(祝日を除く)
- 予約/1営業日前の受付時間内までに要予約
- 定員/各回とも10名 ※最小催行人数2名
- 三種香
- 時間/10:30~
- 所要時間/約50分
- 体験料/1,500円(税込)
- 源氏香
- 時間/14:00~
- 所要時間/約60分
- 体験料/1,800円(税込)
○聞香実践体験
- 開催曜日/月~金(祝日を除く)
- 予約/予約優先 当日空席がある場合はご参加可
- 時間/10:30~、14:00~、16:00~
- 所要時間/60分
- 体験料/2,500円(税込)
- 定員/各回とも5名
問い合わせ先
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- 山田松香木店
- 住所/京都府京都市上京区勘解由小路町164(室町通下立売上ル)
- TEL:075-441-1123
- 営業時間/10:00~17:30
- 店休日/無休(年末年始を除く)
- TEXT :
- 天野準子さん 京都エディター・ライター
公式サイト:"映える!" なにそれ、おいしいの?
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- PHOTO :
- 天野準子
- WRITING :
- 天野準子