新しい働き方を象徴するトップキャリアのしなやかな「リーダー論」

金融からゲノム研究まで、さまざまな業界で活躍する “ニューリーダー” にアプローチ。組織のトップとして何を意識し、どう実行しているのか、その思考と行動に迫ります。

【New Leaders】フラットな関係性から地域創生のアイディアを探る。行動する巻き込み型リーダー|ONE・GLOCAL代表取締役/地域デザイナー 鎌田由美子さん

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ONE・GLOCAL代表取締役/地域デザイナー 鎌田由美子さん
鎌田由美子さん
ONE・GLOCAL代表取締役/地域デザイナー
1989年JR東日本入社。エキナカ事業を手掛け、’05年「ecute」を運営するJR東日本ステーションリテイリング代表取締役社長に。カルビー上級執行役員を経て、’18年「ONE・GLOCAL」を起業。

JR東日本時代に「エキュート」を立ち上げ、女性リーダーとして注目された鎌田さんは今、地域創生という生涯の仕事を得て「第3の人生」を邁進中だ。

「私は30代半ばまでずっと現場でしたし、その後、エキナカ事業がスタートし新会社の社長を任せられたときも、結構突撃型のリーダーでした。大企業の中で新規事業を発案し、上司や部下という仲間を増やし、プロジェクトをつくりスピーディに進める。でも今は、生産者さんや地元の方々、スタッフも含めて、フラットな関係性のなかで物事を進めていく感じに変わりました」 

48歳で人生初の転職。50歳を過ぎてからのロンドンへの単身留学。そして帰国後、コロナ禍下での起業と、キャリアは変遷。

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「サラリーマンである以上、どんなに好きな仕事に就けていても、いつか必ず自分の意思とは関係なく異動の日が来ます。私は40代で会社員として地域活性化の仕事に携わったときに、これが自分のやりたいことだと確信したんです。会社は小さな組織でスタートしました。集まってくれたメンバーの大半が副業で、役割は明確です。地方に行って、畑で農作物を見て、“よそもの” 目線で地元が気づかないことを引き出す。同時に減少を続ける農産物を購入して、自社でも、ものづくりから販売もしています。会社員時代はひとり旅が趣味でしたが、今は仕事で月の3分の1は地方で公私の境界がありません(笑)」 

大量生産・大量消費の時代に埋もれてしまった地方のコンテンツを見出し、その価値を目覚めさせる。鎌田さんは縦横無尽に出会い、つながりながら、変化を生み出していく「巻き込み型」のリーダーだ。

「迷ったときは、『これが、第3の人生で私がやりたかったことなのか? 何を残したくてやっているのか?』と自問します。今? 仕事も人生もとても楽しいです」

◇スタッフからひと言!

「何ごとにおいても平たんな道より上り坂を求める性分の鎌田さん。ONE・GLOCALでの仕事でも、最初の2年間で、やっとプロジェクトの山を越え少しゆっくりできるかな、と思った矢先に、新商品開発などを企画、商品化してしまう行動力は、なかなかほかの人にはできません。さすが鎌田さん! 頑張り屋で一途な社長です」(ダイレクター・入夏ひろみさん)

◇ニューリーダーへの共通質問

Q1 小さい頃の夢は? 
特になかったんですよね(笑)。
Q2 いつも自分に言い聞かせている言葉は?
あえて言うなら「一期一会」。
Q3 疲れたときの「甘やかしグッズ」は? 
以前は「ひとり旅」だったのですが、今は仕事で頻繁に旅に出ているので、プチデュアルライフかな。先日も、りんごジュースの仕事で青森へ弾丸出張(写真下)しました。生産者さんにお会いしていろんなお話を聞き、現場を見て回ることが、仕事でありながら同時に大きな喜びにもなっています。 
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Q4 最近「始めたこと」もしくは「やめたこと」は? 
京都との2拠点生活を楽しんでいます。月に一週間くらいですが。一方、オフィシャルなパーティにはあまり参加しなくなりました。
Q5 自分にニックネームをつけるとしたら? 
 難しい!(笑)

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PHOTO :
望月みちか(人物)
EDIT&WRITING :
本庄真穂、剣持亜弥、喜多容子(Precious)