新しい働き方を象徴するトップキャリアのしなやかな「リーダー論」

金融からゲノム研究まで、さまざまな業界で活躍する “ニューリーダー” にアプローチ。組織のトップとして何を意識し、どう実行しているのか、その思考と行動に迫ります。

【New Leaders】クールに見えて超熱血。研究者として、経営者として生命科学の視点で未来へ挑む|生命科学者、TAZ Inc.代表取締役社長 高橋祥子さん

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生命科学者、TAZ Inc.代表取締役社長 高橋祥子さん
高橋祥子さん
生命科学者、TAZ Inc.代表取締役社長
’13年東京大学大学院博士課程在籍中にゲノム解析ベンチャー「ジーンクエスト」を起業。’23年に不老長寿テックの「TAZ」設立。著書に『眠れなくなるほど面白い 図解 生命科学の話』ほかがある。

「部活でも研究室でも熱血タイプで、当時は熱くならない人が理解できませんでした。起業したのは博士課程在籍中でしたが、そんな調子だったので、スタッフがどんどん離れていった時期もありました。一緒に会社を立ち上げた先輩に『みんな高橋さんのこと怖いって言ってるよ。メールに音符マークとかつけたら?』なんて言われたり(笑)。未熟なリーダーでした」 

そんな高橋さんに、経営者の先輩たちがくれたアドバイスが大いに効いた。

「起業した本人がいちばん熱いに決まってるからそれでいいんだ、と。だけど、世の中には自分にはないいろんな才能の人がいるということを受け入れ、そういう人たちも一緒に巻き込んでやらないとできないことがあると理解しなくちゃ、と言われました。個々に完璧さを求めるのではなく、組織全体で力を強くしていくことがリーダーの仕事なんだと教えられたんです。頑張りすぎて体調を崩したときも『経営はマラソン。そんなことしてるとゴールまで行けないぞ』と叱られ、確かに、と」 

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病気を未然に防ぐための個人向けゲノム解析サービスに加え、不老長寿の実現を目指すバイオテックスタートアップも起業。生命科学者として、経営者として、高橋さんが目指すゴールは、同じ場所にある。

「事業が数字として大きくなっていくことはもちろん重要です。と同時に、約32億の塩基配列があり、まだ謎の多いヒトゲノム情報が、少しずつ明らかにされていくというのは、たとえるなら宇宙に進出していくような、人類にとっての挑戦なんですよね。そこにこそ、価値があると私は思っています。さまざまな困難にくじけそうになっても、最後には必ず『生命の仕組みを探求したい』という純粋な好奇心が私の背中を押す。だから、誰に頼まれなくてもやるし、絶対に続けます」

◇スタッフからひと言!

「とにかく決断が早い! 一方、お子さんの動画を見せてくれるときのお母さんの顔は、とても身近に感じます」(総務部・小嶋晴美さん)

「プライベートでご家族と旅行をご一緒したときの、ふだんとはまた違った柔らかい雰囲気が印象的でした。お子さんもまだ小さいので大変だと思いますが、これからもサポートします!」(研究開発部・野川 駿さん)

◇ニューリーダーへの共通質問

Q1 小さい頃の夢は? 
小説家か漫画家。
Q2 いつも自分に言い聞かせている言葉は?
「万物静観すれば皆自得す」。「静かに観ればすべてのものはあるがままに存在している」という意味です。熱くなるタイプにはおすすめ。
Q3 疲れたときの「甘やかしグッズ」は? 
パックしながらゆっくりお風呂。子供が怖がって泣くのでできませんが。
Q4 最近「始めたこと」もしくは「やめたこと」は? 
お酒をやめて、お酢を飲んでいます。アルコールは体内で分解されて最後は酢酸になるので、最初から酢でいいかなと(笑)。
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Q5 自分にニックネームをつけるとしたら? 
白鳥の水面下の足。よく「余裕だね」と言われるのですが、本当はバタバタです。最近、スカイダイビングに挑戦(写真上)、一見落ち着いていますがドキドキでした。

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PHOTO :
望月みちか(人物)
EDIT&WRITING :
本庄真穂、剣持亜弥、喜多容子(Precious)