134年の歴史を持ち、国内外の賓客を迎えてきた「帝国ホテル」。その歴史の中で出会ってきた日本各地の「良いもの、良いこと」を、セレクトして販売するオンラインモール「ANoTHER IMPERIAL HOTEL」を、11月3日のホテル開業記念日から開設しています。
「もっとあなたを、驚かせたくて。」をコンセプトに、ホテルの公式オンラインショップとは別に作られたオンラインモール。いったいどういう意図があるのでしょうか。オープニングセレモニーとトークイベントの様子を交えて、Precous.jpライターがレポートします。
帝国ホテルスタッフがアンバサダー! オンラインモール「ANoTHER IMPERIAL HOTEL」
帝国ホテルの経験豊かなシェフやソムリエ、バーテンダーなどがアンバサダーとなり、134年の歴史の中で出会った日本各地の商品を紹介するオンラインモール「ANoTHER IMPERIAL HOTEL」。
生産者や作り手の思いや背景といったストーリーと共に商品を紹介していくのだそう。いわば「帝国ホテルのお墨付き」といったところでしょうか。現在は食品から雑貨、体験まで37ブランド、約100アイテムを取り扱っています。
さっそく注目のアイテムをチェックしていきましょう。
■1:京都の料亭と帝国ホテルの夢の食べ比べ!「雲収赤カリーと渋沢カリー」
オープン記念のコラボレーション商品である「雲収赤カリーと渋沢カリー」。京都の料亭「菊乃井本店」と帝国ホテルのカレーの食べ比べができる、何とも贅沢な商品です。
開設を記念したトークイベントに「菊乃井」3代目 村田吉弘氏と「帝国ホテル」第14代東京料理長 杉本雄氏が登壇しました。
「和食」のユネスコ無形文化遺産登録に尽力した日本料理界を代表する「菊乃井」と、開業以来西洋料理を134年間も提供し続けてきた「帝国ホテル」。
このコラボレーションは難しかったのではないかと問われた村田氏は「フランス料理と日本料理は根本は似ている」と答えました。そして、これまでも世界中のあらゆるジャンルのシェフが「菊乃井」へと修行に来ており、杉本氏が厨房に入っても、スタッフは特に驚きもなく作業を続けていたと語ります。
そして、杉本氏は、「帝国ホテルが直営の日本料理店を始めたのはたった3年前のことであり、ジャンル外と言えなくもない。しかし、『おいしいものを作る』ということは、日本料理でも西洋料理でも本質的には変わらない」と答えました。
今回のコラボレーション商品がカレーのセットになった背景には、帝国ホテルが新しいカレーを作りたかったという事情があったと杉本氏。
「帝国ホテルには確立したカレーのレシピがあるため、それをベースにアレンジすることが多くなっていました。今回の企画にあたり、初代会長である渋沢栄一翁の出身地である埼玉・深谷の深谷ねぎを丸々使ったカレーをご用意いたしました。
また、カレーであれば、今『菊乃井』や『帝国ホテル』を利用していない方々にも手に取ってもらいやすいとも思いました」(杉本氏)。
「渋沢カリー」は、グリーンカレーのような濃い緑色をしています。これはオイルで深谷ねぎの葉を煮込み、成分を抽出させた色です。
「杉本氏がグリーンのカレーなら、僕は赤と思って」と会場を沸かせた村田氏。こちらはパプリカに麹と蒸した豆を入れて味噌を作り、それをトマトと牛肉と共にカレーに仕立てたカレーです。
年間を通して手に入れられるとはいえ、夏が旬であるトマトやパプリカ。旬の時季でなくても安定したグルタミン酸を持っているトマトを選び、冬のパプリカの甘みの少なさを解消するなど工夫をこらし、いつでも同じ味を提供できるように調整したそうです。
試食をいただきましたが、どちらもスパイス感がありつつも、それぞれの素材の旨味を感じるカレーでした。冷凍というハンデをまったく感じない仕上がりのカレーは、冷凍庫に常備しておきたくなるアイテムです。
今後は、海の幸を使ったコラボ商品を生み出していく話が始まっているそう。楽しみに待ちましょう。
■2:心に響く日本茶「オリジナルボトリングティー UTSUROI」
静岡県島田市にある創業65年超の「カネス製茶」は、日本茶でありながら、ボトルに詰めた「IBUKI bottled tea」を展開しています。
飲んだときに「出汁のような、凝縮された味わいに衝撃を受けた」と語るのは、帝国ホテル 東京の本館中2階にあるメインバー「オールドインペリアルバー」のバーテンダー・井戸氏。あらゆるドリンクに精通する井戸氏が受けた感動と衝撃を再現したいと協働開発したのがIBUKI bottled teaとのコラボレート商品「オリジナルボトリングティー UTSUROI」です。
茶所である静岡県島田市川根地区で育てられたヤブキタという品種の柔らかな新芽だけを手摘みし、カネス製茶で加工した茶葉を、南アルプスの天然水が得られる自社の井戸から汲み上げた超軟水で抽出しています。加熱してしまえば風味が失われるため、微細なフィルターで非加熱殺菌しており、酸化防止剤などは無添加です。
味が移ろうことから「うつろい」と名づけられた「オリジナルボトリングティー UTSUROI」。まずは、「そのまま鮮烈な凝縮感を楽しむのがおすすめ」と井戸氏。
試飲では、日本茶でありながら想像とはまったく異なる飲み口に、どよめきが上がっていました。出汁のように感じるのはテアニンの旨み成分。そして、渋みもあり、重みのある味わい。
「ワインに並ぶドリンク、コース料理で飲める茶にしたい」とIBUKI bottled teaの小松氏が語るとおり、料理と共に味わえる新しい日本茶になっていました。
そして、開栓後、空気を含ませたり温度が上がったりすると、味わいが変わっていきます。「可能であれば、カクテルのように『スローイング』をしてみてください。ご家庭なら大きめのグラスをふたつ使って、空気を含ませるように何度か移し替えます。そこに氷を落として」(井戸氏)。
スローイングされた「オリジナルボトリングティー UTSUROI 」は、青い葉の香りが立ち、とろみが出てまろみを感じるまた別のドリンクに変化していました。自分で丁寧に淹れても到達するのは困難であろう、旨みと香り。普段からお茶に親しんでいる方もそうでない方も、一度は味わっていただきたいお茶です。
他のブランドとコラボしてこなかった「IBUKI bottled tea」が今回、同モールとコラボしたのは「地域への還元、茶産業への光を当てたい」という思いが共鳴したからだと言います。多くの生産者が高齢化し、廃業することも多くなっている茶産業。日本茶の新たな可能性が広がる取り組みです。
■3:ボトルごと冷凍!蔵元に行かなくても生搾り日本酒が味わえる「凍眠生酒」
富山県高岡市の「TOMIN SAKE COMPANY」が開発したのは、液体を瞬時に凍らせる「凍眠」という技術。この独自技術は、急速に凍らせることで成分が分離せず、溶けるときも成分が均等に溶けていくという特徴を持っています。これにより、ボトル詰めされたままの日本酒が冷凍できるようになりました。
一口に「日本酒」といっても、その種類はさまざまですが、火入れをしていない「生酒」は搾りたてのフレッシュな風味を味わえ、いわば日本酒のボジョレーヌーボーとも言える特別な味わい。しかし、風味が変わりやすく、これまでは主に蔵元のある地域で消費されるか、特約店に少量が卸されるだけでした。
そこで「凍眠」の技術により、生酒を凍らせたのが「凍眠生酒」です。瓶ごと冷凍された「凍眠生酒」は、もちろん冷凍でのお届け。飲む直前まで冷凍庫で保管します。そして、飲む際には、5分ほど水を張ったボウルに入れて解凍。均等に冷凍された生酒は均等に解凍されるため、ボトル上部の溶け始めた部分からキンキンに冷えた冷酒として味わえます。
20分ほどで全部が解凍されますが、お料理などと楽しんでいればあっという間の時間。溶けていくうちに味わいが変わっていくので、さまざまなお料理とのマリアージュも楽しめます。
現在は6つの蔵元の「凍眠生酒」が同モールにて販売されています。その中で今回ご紹介するのは「新澤醸造店 ANoTHER IMPERIAL HOTEL 凍眠 純米大吟醸」です。
宮城県の新澤醸造店は「究極の食中酒」を目指し、精米技術にこだわっています。日本酒造りは原料である酒米を精米してから行われます。
一般的に米の外側に雑味があるため、多く削れば雑味がなくなりますが、高度な精米技術も必要となり、通常の日本酒の精米歩合は約62%とされています。しかしながら、こちらは驚きの7%の精米歩合。辛口ながらも、ふんわりとした米の甘さがあり、魚介類の料理によく合います。
なお、削った部分はすべて業者に渡し、米油として活用しているのだそう。
蔵元に行かなくても生酒が楽しめる「凍眠生酒」。ぜひ、ちょっと特別な日の食卓に用意してくださいね。
「もっとあなたを、驚かせたくて。」のコンセプト通り、驚きの詰まった商品が並ぶオンラインモール「ANoTHER IMPERIAL HOTEL」。他にもたくさんの商品が生産者のストーリーと共に並んでいます。
贈り物にも、ご自宅用にも間違いのないアイテムばかり。ぜひ一度、サイトをチェックしてみてくださいね。
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- TEXT :
- Precious.jp編集部
- WRITING :
- 田中いつき
- EDIT :
- 小林麻美