春いちばんに羽織り、自分のスタイルを託したいのは、最新の美しさを表現したトップブランドのアウター。

雑誌『Precious』3月号では【「春アウター」と、洗練の新ステージへ】と題し、信頼のラグジュアリーブランドの「春アウター」を特集。

今回はその中から、ファッション・ジャーナリストの藤岡篤子さんが解説する「春アウター」の最新トレンドについて、ブランドのコレクションルックと共にご紹介します。

確固たるエレガンスに裏付けられた存在感のある逸品は、大人のセンスをよりグレードアップしてくれるはずです。

藤岡篤子さん
ファッション・ジャーナリスト
(ふじおか あつこ)毎シーズン、パリ、ミラノ、ロンドン、ニューヨークのファッションウイークを取材。最新トレンドを詳しく解説するセミナーは、業界関係者に圧倒的な支持を得ている。

大人に瑞々しさを授ける、この春のアウターとは?

「今季、トレンドにフェミニンさが戻ってきています。一時期の“クワイエット・ラグジュアリー”への熱が収まり、華やぎのある穏やかなエレガンスを人々が求めているのでしょう。それを最も代表するトレンドが、クチュール感やロイヤル感です。ちょうど1960年代初期にジャッキーが着ていたような、正統的な服に少し立体的なディテールを施した、上品な“仕立て感”のある着こなしがフォーカスされてきているのです。

具体的なアウターでは、定番のトレンチに加えステンカラーコートも人気に。どちらも構築的な仕立て感が加えられたものがとても新鮮です。一方、ブルゾンやアウトドア系コートなどのスポーティなアウターも多彩に登場しています。ただし、今季の“スポーティ”に本気度はなく、イメージのみを取り入れているデザインが主流。むしろ、そこにフェミニンな要素を加えて着こなすことが今季らしさをもたらします。

素材は、軽やかな光沢と透け感が重要。色は霞のかかったような“ヘイズカラー”が注目に。いずれにおいても、ソフトで優美であることが新たなアウター選びのポイントです。例えるなら、花火のような華やかさではなく、真珠のように内側から静かに発光するような美しさが今の基調。そんな穏やかな華やぎをもつ最旬アウターなら、服で自分を表現したい大人に、前向きで瑞々しいオーラをきっと与えてくれるに違いありません」

ロエベのコレクションルック
Loewe

マニッシュなレザーライダースを、ケープのように裾が波打つフェミニンなシルエットに再解釈した“ロエベ”。一枚羽織るだけで、この春らしさが満点に。

プラダのコレクションルック
Prada

襟が首から離れて折り返されているファーラウェイカラーのコートは、まさに最新の“仕立て感”を象徴。ステンカラーコート形のシルエットもエレガント。

アクリスのコレクションルック
Akris

注目の“ヘイズカラー”にあたるダスティピンクのロングコートは、穏やかな幸福感に満ち溢れて。透け感のあるエアリーな素材も、旬の女らしさを醸し出す。

ドリス ヴァン ノッテンのコレクションルック
Dries Van Noten|Photo:GORUNWAY

“ドリス ヴァン ノッテン”は、躍動感のあるドローストリング・ブルゾンを、エレガントな艶を放つ一着に。春夏のブラウンも小粋。

トッズのコレクションルック
Tod's|Courtesy of TOD’S

空気をはらんだようなシルエットが、華やかなムードを呼ぶスポーティブルゾン。軽快な短め丈スカートで、フェミニンさをプラスして。

ディオールのコレクションルック
DIOR

軽やかに揺れるロング丈で、女らしく優美にアップデートされたトレンチコート。立体感のある襟元やアーム等のつくりに、クチュールテイストが感じられて。

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EDIT&WRITING :
長瀬裕起子、遠藤智子(Precious)