日本各地で育まれてきた高度なものづくりの技術と、若き匠たちの美意識や情熱が結びついた「新時代のジャパンラグジュアリー」を体現する逸品を、ギフトという形で提案しているスタイリストの河井真奈さん。

今回ご紹介いただくのは、福井県鯖江市で100年続く越前漆器メーカー「高橋工芸」が手がけた一人前のお点前セット「ippukubox(イップクボックス)」です。同商品をおすすめする理由について河井さんはこう話します。

イップクボックス
自宅で気軽にお茶を点てられる「ippukubox」。

「今、海外では空前の抹茶ブーム。単なる嗜好品としてだけでなく、日本文化を象徴する存在としても評価されていて、茶道体験を通じて日本文化を学ぶ外国人観光客も増加しています。ところが、当の日本人にとって、残念ながら茶道はあまりなじみのないもの。お茶が好きで茶道に興味はあっても、道具一式を揃えるのにかなり費用がかかりますし、習いに行こうにも作法などが気になって足が重くなる方が多いのではないでしょうか。

そんな“近くて遠い”茶道を自宅で軽やかに始められる画期的なアイテムが『ippukubox』。外国人の方へのギフトにも好適ですし、日本人向けにも物だけでなく体験を贈ることができるという点に惹かれました」(河井さん)

高橋工芸の4代目社長・高橋亮成(あきのり)さんから直々に開発秘話などを聞き、「futo」への入荷を決めたという河井さんにその魅力について詳しく語っていただきました。

河井真奈さん
スタイリスト
(かわい まな)女性誌、CM、ドラマのスタイリング、トークショー、商品開発アドバイザーなど幅広く活躍。2016年、ギフトに特化したWEBサイト「futo」をローンチし、2019年6月に南青山にショップをオープン。2023年5月代官山に移転。著書に『絶対 美人アイテム100』(文藝春秋)、『服を整理すれば、部屋の8割は片付く』(立東舎)。https://futo.jp/

カジュアルな「一人前お点前セット」でお茶文化をもっと身近に!

創業は1925年(大正14年)。福井県鯖江市に工房を構える「高橋工芸」は、もともとは茶道具や節句人形を収める箱などB to B向け製品を中心に製造してきたメーカー。2018年から代表を務める高橋亮成さんは、ユーザーとより直接的に触れ合える道具を作りたいとの思いから自社オリジナル商品の開発を目指し、そこで生まれたのが「ippukubox」です。

「高橋工芸」のある福井県鯖江市
福井県鯖江市にて4代に渡って「ものづくり」の精神を受け継いできた「高橋工芸」。

「冒頭でもお話ししたとおり、茶道は日本が誇る伝統文化でありながら、日本人にとって縁遠い存在。コーヒーや紅茶を自宅でこだわって淹れるという人は多くいても、自分のためにお茶を点てるという人はほとんどいないのではないでしょうか。

そんな茶道をぐっと身近に引き寄せてくれるのが『ippukubox』。堅苦しい作法に縛られず『ちょっと一服』と気軽に抹茶を楽しんでほしい…との思いが商品名にも込められているように感じられます。道具一式がコンパクトな箱に収まって価格は14,300円。茶道は器ひとつで数万円するのが珍しくない世界ですから、展示会で初めて見かけた際は、『こんなに安くていいの!?』と正直驚いたものです」(河井さん)

「イップクボックス」の中身
コンパクトな箱の中に道具一式が揃っている。

「その後、開発者である高橋さんからお話をうかがったところ、やはりこの価格におさめるのには相当苦労したとのこと。ただ、『お茶をもっと身近なものにしたい』というなみなみならぬ思いがあり、価格の上限は絶対に譲れなかったのだそうです。代表就任時にまだ20代の若さだった高橋さんは、熟練の職人たちの協力を仰ぎ、アイディアのすり合わせを行いながら、『イップクボックス』を生み出したといいます。

その理念にも共感しましたし、周囲の人にリサーチしたところ『自宅で気軽に抹茶を楽しめるならぜひやってみたい』との声も多く、『futo』で扱うことに決めました」(河井さん)

デザイン性と実用性を兼ね備えたボックスに越前の伝統文化が結集

高橋さんが「ippukubox」の開発にあたって、追求したのはデザイン性と使いやすさ。まず、モダンでスタイリッシュな佇まいは、一見するとお茶の道具とはわからないほどです。

「お茶箱は横長の直方体のものが多いのですが、『イップクボックス』は15cm角のキューブ型。かさばらず棚にすっきり収まるサイズです。しかも和洋を問わずどんなインテリアにも溶け込むデザインで置く場所を選びません。

材質は、木目が美しく上品で落ち着いた色味のシナベニヤ。表面に汚れ防止のマット塗装が施され、滑らかな手触りに仕上がっています。また、木肌になじむように調色に試行錯誤を重ねたという柄や、革や金具といった異素材を敢えて組み合わせた持ち手がさりげないアクセントに。ビジュアルの細部にまでこだわりが宿ります」(河井さん)

革の持ち手
革の持ち手がモダンにあしらわれたホワイト。
真鍮の持ち手
グリーンは古風な真鍮の持ち手。

「木箱の中身は、茶碗、茶筅(ちゃせん)、茶杓に棗(なつめ)の四点。茶碗は『ippukubox』のためにオーダーした越前焼で、女性の手にもすっぽり収まるサイズ感ながら底が広く、茶筅が動かしやすい作りです。さらに、道具を保護するために箱の内側に貼られているのは越前和紙で、地元の伝統工芸品がコンパクトな箱に結集しています」(河井さん)

「イップクボックス」の越前焼の茶碗
「ippukubox」の茶碗。
越前焼の茶碗の製作風景
茶碗を手掛けたのは「宗山窯」の宗倉克幸さん。
越前紙の貼り付け作業
箱の内側に丁寧に越前和紙を貼り付ける。

「お茶を点てるのに必要な道具は一通り揃っているので、あとはお好みの抹茶を用意してお湯を沸かすだけ。シンプルな説明書が付いていますし、茶道の知識や経験がゼロでも大丈夫です。作法にとらわれず、濃さや温度も自分流にアレンジを楽しむのがよいかと思います」(河井さん)

お茶を点てる動作
自宅で気軽にお抹茶を楽しんで。

ホワイトorグリーン?シンプルなデザインがギフトに大正解!

河井さんが選んだのは、ホワイトとグリーンの2種。ホワイトは主張控えめな格子柄とモダンな革ベルトの組み合わせ。グリーンは角に二等辺三角形の塗りをあしらったデザインで、真鍮の持ち手がアンティークな雰囲気を醸し出します。いずれも茶碗のカラーは抹茶が映えるホワイトです。

イップクボックス「ホワイト」
「ippukubox(ホワイト)」¥14,300
イップクボックス「グリーン」
「ippukubox(グリーン)」¥14,300

今回は、高橋工芸の「ippukubox」をご紹介しました。一杯のお茶を丁寧に点てようとすると、不思議と心が安らぐもの。コーヒーや紅茶を楽しむように、日常生活のなかに茶道をカジュアルに取り入れて豊かな時間をお過ごしくださいとの気持ちを込めて、大切な人へ贈るギフトに選んでみてはいかがでしょうか?

※掲載商品の価格はすべて税込みで、記事公開時のものです。

問い合わせ先

Gift Concierge futo

TEL:03-3462-2036

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WRITING :
中田綾美
EDIT :
谷 花生(Precious.jp)