東京・竹芝にあるモダンラグジュアリーホテル「メズム東京、オートグラフ コレクション」。16Fにあるフレンチダイニング「シェフズ・シアター」では、ミュージカルや演劇をテーマにした美食プログラムを体験することができます。
現在「シェフズ・シアター」では、新国立劇場とのコラボレーションプログラムを提供中。昨年コラボレーション第1弾としてオペラ『魔笛』をテーマにしたプログラムを提供した際には、大好評を博しました。
現在は第2弾として、2025年10月26日(日)までの期間限定で、バレエ『シンデレラ』をテーマにしたプログラムを提供中です。

英国を代表する振付家であるフレデリック・アシュトンによって振り付けられた、アシュトン版『シンデレラ』。幻想的な世界観にインスパイアされたランチ・ディナ―のコースには、物語に登場する「かぼちゃの馬車」や「ガラスの靴」などのモチーフが遊び心あふれるお料理として登場します。
ストーリーに沿ったユニークなコース展開も魅力のひとつで、バレエの第1幕、物語の前半部分をランチプログラムで、第2幕である後半部分をディナープログラムで表現しています。
今回、Precious.jpライターがディナープログラムを体験。ひとつひとつのお料理に詳しく注目しながら、魅力をご紹介します。絵本やアニメ映画とは異なる、アシュトン版ならではのストーリーにも注目です。
『シンデレラ』ディナープログラム体験レポート

シンデレラの生い立ちから魔法をかけられるまでの前半部分をランチコースで、シンデレラがかぼちゃの馬車で舞踏会へ向かうシーンからの後半部分をディナーコースで表現した本プログラム。
今回は、後半部分をお料理で表現したディナーを体験しました。

アミューズとして登場するのは、華やかな装いになったシンデレラが、かぼちゃの馬車で急いで舞踏会へと向かうシーンを表現したひと皿。鮎をまるごと使った遊び心と創意工夫あふれるお料理です。
かぼちゃの馬車は、パンプキンパウダーのチュイルを使用。車輪には、鮎のリエットをトーストしたパンで挟んだものを使っています。鮎をオリーブオイルとハーブで低温調理し、骨ごとほぐして玉ねぎや白ワインと炒め、ペースト状にした、味わい深いメニューです。

宮殿への道はそば粉のガレットで表現。ソテーした鮎の半身や、シソやミョウガ、山椒などの香味野菜を一緒に巻いていただきます。香味野菜は昆布だしを使った寒天のシートで巻きこんでおり、ホワイトバルサミコの風味が効いています。
そのままでも十分おいしいのですが、添えられたきゅうりとぶどうを使ったグリーンのソースを絡めていただくと味の変化も楽しめます。ソースは酸味のあるさっぱりとした味わいです。

自家製のコンソメに、香ばしく焼いた鮎の骨を加えて煮出した特製のコンソメスープも登場。ひとつのスープを作るまでに4日ほどかかっているのだそう。手間暇かけて作り上げた、鮎の旨味や香りを楽しめるやさしい味わいの一杯です。
ストーリーに合わせてお食事が展開

ストーリーに合わせてさらにお食事は展開していきます。「運命のダンス」をテーマとした前菜には、オマール海老と百合根を使用。深いブルーの百合根の“襷”(たすき)が印象的です。実際に新国立劇場が上演する『シンデレラ』では、王子が青い襷を肩からかけた衣装を着ています。
お食事は、パートフィロという薄い生地で作られたタルトに、フロマージュブラン、かぶ、ソテーしたオマール海老を重ね、百合根とフロマージュブランのペーストをモンブラン仕立てに絞っています。ソースはシェリービネガーとバニラ、はちみつを合わせた甘酸っぱい味わいのもの。やさしい百合根とプリプリとした海老のおいしさに、風味豊かなソースがよく合います。
タルトやモンブランのソースでシンデレラのドレスを表現した、見た目にも美しいひと品です。
周りを彩るのはオレンジのパウダーです。アシュトン版の『シンデレラ』のひとつの特徴として、ダンスの際に王子がシンデレラに、その国では珍しい果実であるオレンジを渡すというシーンがあり、前菜ではその美しいひと幕を表現しています。

脂がのってふっくらとした羽太(オオモンハタ)を使ったお魚料理。「12時の鐘の音」をテーマとしており、言わずと知れた、シンデレラの魔法が解ける直前の瞬間をイメージしたお料理です。
羽太を包んでいるのは、じゃがいもに竹炭を合わせてパスタ状にし焼き上げた真っ黒な衣。コンディメントとして、ドライトマト、エストラゴン、塩漬けのレモンを使ったものが一緒に包まれており、味わいにアクセントを加えます。

真っ黒のお皿に満月のように映えるソースは赤パプリカを使ったもの。後掛けでいただきます。12時を指す時計の針や時計盤の文字は、じゃがいものペーストで描かれています。まさに真夜中のワンシーンを思わせる漆黒のひと皿でした。

お肉料理には京鴨のローストをメインとしたプレートが登場します。「愛の手がかり」をテーマとするひと皿で、魔法が解けたシンデレラのみすぼらしい日常と、王子がガラスの靴を手に、シンデレラを探す一幕が表現されています。
京鴨に添えるソースは赤ワインをベースに、鴨のだしやエシャロットを加えたもの。ボトムに添えたカシスで煮たごぼうと一緒にいただけば、豊かな風味が口いっぱいに広がります。

なんと言ってもこのお皿で注目したいのはガラスの靴。まるで本物のガラスの靴のように透き通るこちらは、ライスペーパーでひとつひとつ丁寧に作られています。重ねたライスペーパーをオーブンで焼き、さらに揚げてぷっくりとした質感を表現。シェフの創意工夫が感じられます。パリッとした食感も楽しいです。
そのほか付け合わせとして、鴨とキノコのラグーを包んだラビオリや、いちじくをキャラメリゼしたものなどをのせています。

デセールは「光に包まれて」をテーマとしたひと皿。満天の星空のもと、祝福を受けて永遠に結ばれるシンデレラと王子の様子を表現しています。
カシスソースを土台としており、カシスのビスキュイ、マロンのパルフェグラッセ、豆乳ムースを重ねています。湯葉のチュイルはお城の壁を表現。満天の星空は金箔で表しています。
ムースの上のトッピングには栗と木綿豆腐が使われており、さっぱりとした味わいを楽しめます。カシスのソースとの相性も抜群。豆腐や湯葉、豆乳を使った、ヘルシー感あるスイーツでした。
サステナブルなミニャルディーズも

お食事のあとには、コーヒーまたは紅茶とともに、ゆっくりミニャルディーズをいただきます。メズム東京のオリジナルのカヌレと、コラボレーション限定のチョコレートは特別感も満載。カヌレはレストランでテイクアウト用に販売されています。

さらに、サステナブルな取り組みのひとつとして「メズムのパート・ド・フリュイ」が提供されました。パート・ド・フリュイに紫色の押し花が閉じ込められたお菓子です。
美しい食用花には、循環型屋上ファームを運営する「AGRIKO」が手がける養殖排水を再利用した水耕栽培(アクアポニックス農法)で育てられたエディブルフラワーを使用。それを都内の発達障害者就労支援センターでひとつひとつ押し花にしています。
実は透明なパート・ド・フリュイを作るのは難しく、構想から完成までかなり時間がかかったのだそう。煌めくパート・ド・フリュイの中で、美しい押し花がよく映えます。ほんのり酸味があり、さっぱりとした後味です。
新国立劇場バレエ団『シンデレラ』は、2025年10月17日(金)~10月26日(日)の期間、新国立劇場 オペラパレスにて、全12回公演で行われます。また、「札幌文化芸術劇場 hitaru」でも、2025年10月4日(土)、5日(日)の2日間行われます。
メズムのお料理を通して『シンデレラ』の魅力に興味を持ち、実際のバレエ公演を観に行くのも素敵ですね。もちろん、公演を観たあとお食事で余韻に浸るのもおすすめですよ。
幼少期からなじみのある人も多いであろう『シンデレラ』。そんなよく知る『シンデレラ』とはまたひと味違ったバレエならではのストーリーや演出、そして『シンデレラ』の世界観をお料理で味わえる、メズム東京の特別なコース料理を楽しんでみてはいかがでしょうか。
問い合わせ先
- メズム東京 フレンチダイニング「シェフズ・シアター」
- 『シンデレラ』ランチ&ディナープログラム
- 提供期間/2025年10月26日(日)まで
- 提供時間/ランチ11:30~15:00(L.O.14:00)、ディナー 17:00~22:00(L.O.20:30)
- TEL:03-5777-1112
- 住所/東京都港区海岸1-10-30
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- TEXT :
- 伊東ししゃも 編集者・ライター
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- EDIT :
- 小林麻美