お食事するとき、正しくスプーンを扱えている自信はありますか?

素敵なレストランでスープやデザートを楽しんでいるとき、意外とキレイに食べられないときもありますよね。実はスプーンは、使用頻度が高いものの、自分では気付かないうちに、恥ずかしいマナー違反を知らず知らずやってしまっている可能性が高いカトラリーなのです!

そこでマナー講師の瀬尾姫民さんから、スプーンを使うときのNGマナーを教えていただきました。以下の8つは、絶対にしないように気をつけましょう。

■「スープ」をスプーンで飲むときのNGマナー4選

スープを美しく食べるには?
スープを美しく食べるには?

スプーンを使っていただくお料理の代表、スープ。イギリス式は手前から奥、フランス式は奥から手前にすくう、という違いがあるのは、みなさんご存知ですよね。その他、イギリス式、フランス式双方に共通するNGマナーには、どのようなものがあるのでしょうか? 押さえておきましょう。

(1)スプーンの「満杯まで」すくう

スプーンの満杯まですくうと、口に運ぶまでにスープがこぼれやすく、見た目が美しくありません。1回にすくう分量は、スプーンの3分の2程度にとどめましょう。

(2)スープに「息を吹きかけて」冷まそうとする

スープが熱いからといって、フーフーと息を吹きかけて冷ますのはマナー違反。舌をやけどしないためには、比較的冷めているスープの表面を、なぞるようにすくいましょう。

(3)スープをスプーンから「すする」

スプーンのNGマナーのなかでも、日本人がもっともやりがちなのは、スープをすすって音をたててしまうこと!

「スープをいただく際に音を立ててはならない、というのは誰でも知っているマナーですよね。ただ、自分では気をつけているつもりでも、日本人のなかには、ついすすってしまい、音を出してしまう方がかなり多いのです。

無意識のうちにすすってしまわないためには、まず、スープを“飲む”ものではなく、“食べる”ものだと捉えましょう。スプーンを下唇にしっかりつけて、スープを吸うのではなく、口のなかに流し込むようにすると、音をたてずにいただくことができます」(瀬尾さん)

(4)残り少ないスープを「かき集める」

スープの量が少なくなってきたら、スープボウルを奥に傾けて、スプーンでスープをすくうようにしましょう。食事を残すのは原則としてマナー違反ですが、スープの場合、器の底に少しくらい残してもOKです。残り少ないスープをかき集めるようにして飲むと、カトラリーの音を立てることにもつながりますので、器をきれいにすることに躍起になる必要はありません。

なお、スプーンのマナーではありませんが、器に残ったスープをパンで拭うのもマナー違反! カジュアルなお店で周りの人も行っているなら許容されますが、格式あるお店や改まった席では絶対にやめましょう。 

■「その他の料理」でのスプーンのNGマナー4選

スープ以外のお料理をスプーンでいただく際のNGマナーとしては、次の4つが挙げられます。

(1)スプーンを使って「パスタを巻く」

スプーンは使わずフォークで巻く
スプーンは使わずフォークで巻く

麺を食べる際にフォークとスプーンを使うのは日本限定で、イタリアでは子どもの食べ方だとされています。テーブルにスプーンがあっても、パスタを巻く補助として使うことはせず、麺をフォークだけで巻き取るようにしましょう。

(2)スープパスタのスープを「左手のスプーンで」飲む

スープパスタのスープはスプーンで飲みますが、右手にフォークを持ったまま、左手のスプーンで飲むのはマナー違反。スープを飲む際は、一旦フォークを置いて、右手にスプーンを持ち替えるようにしましょう。

(3)カレーのルーをご飯につけるようにして食べる

カレーを美しく食べるには?
カレーを美しく食べるには?

厳密にマナー違反というわけではないのですが、カレーを食べる際は、ルーをご飯につけるよりも、ご飯をルーのほうに寄せて食べ進めるほうが、お皿が汚れにくく美しく食べられます。

(4)ソーススプーンを使わず魚を食べる

テーブルにセットされたカトラリーのなかで、平たくて側面にくぼみのあるスプーンを使いこなすことはできていますか? あれはソーススプーン(フィッシュスプーンともいう)といって、ソースを使った魚料理を食べるときに用います。

「テーブルマナー講座を受講される生徒さんからも、ソーススプーンの使い方がよくわからないという質問はよくいただきます。ソーススプーンはナイフとスプーンの両方の役割を担うものですので、通常のナイフとは異なり、料理を切り分けるだけでなく、ソースと一緒に口に運んでもOKです。

魚料理はフォークで食べてもよいのですが、フォークで刺すと身が崩れてしまうこともあります。左手にフォーク、右手にソーススプーンを持ち、フォークで身を軽く押さえてソーススプーンで切り分け、ソーススプーンですくって食べるとよいでしょう」(瀬尾さん)

使い方がよくわからないからと言って、セッティングされたソーススプーンを手付かずの状態にしてしまうのは、ちょっと恥ずかしいですよね……。繊細な魚料理ではソーススプーンをうまく使いこなしましょう!

スプーンくらいは正しく使えているはず……と思いきや、意外とできていない点もあったのでは? ナイフとフォークだけでなく、スプーンもエレガントに使いこなして、よりレベルの高いマナー美人を目指しましょう。

カトラリーのNGマナー

瀬尾姫民さん
マナー講師
(せお ひさみ)Seo Total Academy代表。一般社団法人日本プロトコール&マナーズ協会認定サロン。1993年イメージコンサルタント資格を取得。2005年Seo Total Academyを設立。カラー、ファッション、ブライダル、プロトコール&マナーの分野において個人及び企業向けコンサルティング、セミナー、研修、育成を行う。ホテルナゴヤキャッスル主催キャッスルアカデミー「トータルビューティーレッスン」や主催するエレガントマナー講座、和の作法&テーブルマナーレッスンも毎回キャンセル待ちと好評。ブライダルやデパートイベントのプロデュース、TV出演、人気女性誌での掲載など多分野で活躍する美のスペシャリスト。『なごやの冠婚葬祭』監修。著書に『お食事から身につける美しい日常』がある。Seo Total Academy
この記事の執筆者
Precious.jp編集部は、使える実用的なラグジュアリー情報をお届けするデジタル&エディトリアル集団です。ファッション、美容、お出かけ、ライフスタイル、カルチャー、ブランドなどの厳選された情報を、ていねいな解説と上質で美しいビジュアルでお伝えします。
WRITING :
中田綾美