日々の疲れを洗い流し、心身共にリフレッシュできる温泉旅。天然資源である温泉はその土地ごとの個性があり、ただ体が温まるだけでなく、全身の凝りがほぐれるのを感じられたり美肌に近づけたりなど、普段の入浴では得られないさまざまな恩恵をもたらしてくれます。
そうした温泉のポテンシャルをしっかりと実感できる関東の名宿を、温泉ジャーナリストの植竹深雪さんがピックアップ。今回ご紹介するのは、神奈川・箱根湯本温泉にある「養生館はるのひかり」です。

公式サイト
箱根でひとり客も歓迎!異色の湯治専門宿で極上ぬる湯に癒される
箱根湯本駅から温泉街裏手の坂道をバスでのぼること約5分。国内外からの観光・旅行客でにぎわう温泉街の喧騒から一線を画した竹林の中にひっそりと佇む「養生館はるのひかり」は、源泉かけ流しの温泉と玄米・野菜を中心とした養生食を提供する現代の湯治宿です。

“自分と向き合う、逗留湯治の宿”をコンセプトとし、基本的には連泊推奨でひとり客もウェルカム。逆に観光やイベント参加を目的とする宿泊は受け入れていないという徹底ぶりで、心身をリセットしたい大人のための隠れ家として人気を博しています。
「日本有数の温泉地で名宿がひしめく箱根のなかでも、自家源泉を擁する宿は数少ない存在。『養生館はるのひかり』はそのひとつで、空気に触れることなく浴槽へと注がれる新鮮な湯が、心身の疲れを優しく解きほぐしてくれます」(植竹さん)

館内には大浴場が2か所あり、いずれも源泉かけ流し。浴槽が区切られていて、あつ湯(約43℃)、適温(約40℃)、ぬる湯(約37℃)の入り比べが可能です。大浴場は清掃・点検時間を除いていつでも利用できるため、滞在中は自由気ままに温泉三昧。あつ湯とぬる湯を交互に入って湯温の違いを感じたり、自分の好みの湯温の浴槽にじっくり浸かったり、思い思いのスタイルで入浴を重ねてコンディションを整えることができます。
※ 温泉の湯温は季節によって若干、上下します。

「2本の自家源泉をブレンドした湯は硫酸イオンなど美肌成分が豊富。特に、ぬる湯はのぼせにくく長湯できるため、肌に潤いをたっぷりチャージするのに好適です。体温に近いぬる湯は体がほどけるような心地よさで浴槽の中でついまどろんでしまいそうなほど。ぬる湯は副交感神経を優位にする作用があるとされており、ぐっすり快眠できる効果も期待できます」(植竹さん)

さらに、こちらの宿では、整体の施術を受けられる「自律神経の養生プラン」もあり、温泉との相乗効果でよりきめ細やかなケアができると植竹さん。
「柔道整復師の先生が宿まで出張して来て、本格的な整体施術を提供してくれるのは、他ではなかなかないサービスです。まずは、問診、視診、触診で体の歪みをチェック。個々の不調の原因を見極め、それに応じた丁寧な施術で全身のバランスを整えてくれます」(植竹さん)

「温泉で体を十分にほぐしたあとに受けるプロの凄腕の施術は、深部までこわばりがほどけていくような心地よさ。全身が軽くなると同時に、頭の中もクリアになるような感覚が得られます。さらに、日常生活での姿勢や習慣の改善点もアドバイスしてもらえ、自分の体と真摯に向き合うきっかけにもなりました」(植竹さん)
玄米・野菜が至福の味わい!「養生食」で体の内側から活力を呼び覚ます
養生を支えるもうひとつの柱が、宿の食事。旬の野菜や玄米を中心とした料理は、体に優しいだけでなく、日頃口にしている食材とは一味も二味も違うと評判です。
まず、ご飯はミネラルと食物繊維を豊富に含む微発芽玄米。少しだけ発芽させるというひと手間により、玄米特有の硬さが軽減され、まるで白米のようなもちもちの食感に。この味を求めて、リピーターになるゲストも少なくないといいます。

また、自家農園や近隣農家の露地栽培の野菜が色とりどりに盛り付けられた「畑のごちそうサラダ」は、ひとつひとつ素材の旨味が格別。一般的な旅館の食事とくらべてボリュームは控えめに見えますが、噛むほどにみずみずしさや甘みが口に広がり、自然と咀嚼回数が多くなることから少量でも驚くほど満腹に。唾液の分泌により消化吸収がスムーズで、腸内環境の改善効果も期待できます。

温泉に浸かるだけでなく、滋味深い食事を通じて体の内側からも疲労やストレスにアプローチできるのは、現代の湯治宿ならではの体験だといえるでしょう。
以上、箱根湯本「養生館はるのひかり」をご紹介しました。慌ただしい日常を送る中で、知らず知らずのうちに蓄積したダメージを“温泉・整体・養生食”の三位一体ケアでとことん改善したい人は、次の旅先候補のひとつに加えてみてはいかがでしょうか。
問い合わせ先
- 養生館はるのひかり
- 住所/神奈川県足柄下郡箱根町湯本554
客室数/全14室
料金/自律神経の養生プラン 朝夕2食付き 1名1室¥28,500~(税込) - TEL:0460-85-5641
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- TEXT :
- Precious.jp編集部
- WRITING :
- 中田綾美
- EDIT :
- 谷 花生(Precious.jp)