ふとしたときに目にする直筆の文字。字のきれいな女性には憧れますよね。字の手習いを始めたいと思ったときに、思いつくのが習字。

習字というと、子どもの習い事か、年を取ってからの趣味といったイメージがありますが、40代の大人女性が習い事として始めることもできます。

10歳から書を始め、今では門下生100名も抱える「青瑤書道教室」の女性書道家・片岡青霞さんに、まずは大人になってから習う書道の魅力を教えていただきました。

大人になってから習う書道の魅力4つ

写経(作・片岡青霞)
写経(作・片岡青霞)

■1:「文字を書く」という日本人の伝統文化に改めて触れることができる

「情報化社会でPCが主流の時代ですが、これから先も『文字を書く』ことそのものはなくならないと考えています。そんな時代だからこそ、改めて文字を書くということに魅力を感じることができます」

■2:手紙やはがきが直筆で書けるようになる

「近年は手紙やはがきを書く人口も減少しているようですが、印刷物でいただくよりも手書きでいただいたもののほうが、書き手の思いを感じることができます。やはり手書きのものはいいものだと思います」

■3:新しい仲間・コミュニティーができる

「書道を通じた仲間は、会社、友人とも違い、新たなコミュニティーになります。共通の趣味として、書道を介して、新たな交流が実際に生まれています」

■4:子どものころにやっていた習字とは異なる楽しさがある

「子どものころの習字は『字を習う』。どちらかというと綺麗に正しく書くものですが、大人からは一般的に書道になります。大人になってからの書道は単に文字を綺麗に書くということだけではなく、多種多様な筆遣いを学んだり、自分の作品を生み出したり、芸術、表現、創造といった面が大きくなるため、子どものころとはひと味違った楽しさを感じることができます」

40代から始める書道の具体的なメリットとは?

「花」(作・片岡青霞)
「花」(作・片岡青霞)

もし40代から書道を習い事として始めた場合、具体的にどのようなメリットがあるでしょうか。片岡さんによると、次のメリットがあると話します。

・忙しい日常の時間を忘れて自分と向き合う時間を設けることができる。
・集中力が身につく。
・墨の香りに癒され、心が落ち着く。
・手書きの手紙やはがきを相手に送ることで喜ばれる。

「日々の忙しさはきっと多くの方が感じているはず。書に向かっている最中は自分と向き合う時間となり、さらに墨の香りに心が落ち着いていくのを感じることでしょう。そして、集中力を養うこともできます。書道の経験は筆ペンなどにも応用できるため、手紙やはがきなどを直筆で書き、相手に喜ばれるというメリットもあります」

書道で得られる意外なメリット

そして、片岡さんによると、書道を行うことで次のような思わぬメリットも得られるといいます。

・体力、持久力が身につく。
・何事もあきらめずにやり抜く力が芽生える。

「書道は静かなイメージがあるかもしれませんが、展覧会などに向けて大きな作品書きをする場合には身体を使って書いていくので運動効果もあり、足腰もかなり強くなります。また、何事もあきらめずにやり抜く力は、枚数を書くことで強化されていきます。そして書道は一緒に学ぶ仲間も得られます。年齢問わず、子どもからご老人まで、幅広いコミュニティーが得られるのも書道の不思議な魅力です」

40代から始める書道、教室選びのポイントは?

そんな魅力のある書道。40代以上の女性が始める場合、教室選びなどはどうすればいいでしょうか。片岡さんによると、書道といってもさまざまなものがあるそうです。

・古典(臨書)
・公募展(全国公募展など)
・実用書(暮らしに役立つ書道。小筆を使用した手紙、はがき、写経など)
・仮名
・篆刻(書道作品に押印する印の作成)
・教書本での昇級試験(級、段取得を目指す)
など。

「まずは、ご自身が古典、公募展、実用書、仮名、篆刻、教書本での昇級試験など、何を学びどうなりたいのかを把握することがはじめの一歩です。書道教室といっても上記のように多岐に渡るため、書道教室、講師によって提供できるものが変わります。ですので、自分がどの分野を学びたいのかを決めてから、それに見合った教室を探すことをおすすめします」

また、片岡さんは次のようにもアドバイスします。

「単に書道だけを学ぶというだけでなく、教室のみんなと一緒に交流できる、さまざまなイベントを開催している教室もあります。実際、当教室はイベントが多いです。楽しく仲間と共に学べる環境などは、とても大切だと思っているためです。

また講師の指導方法や教室の雰囲気なども多種多様です。ご自身に合う教室を探すためには一度見学してみたり、体験レッスンを受講してみたりするといいかと思います」

自分の字に自信が持てるようになるだけでなく、精神面でも磨かれ、さらに幅広い年齢層の仲間も増える書道。大人の今だからこそ、始める価値というものがありそうです。

片岡青霞氏
片岡青霞さん
書道家、「青瑤書道教室」講師
(かたおか せいか)栃木県生まれ、上三川町育ち。10歳から書を始める。
独立書展特選、準特選。東京書作展東京新聞賞、特選受賞。下野教育書道展金賞、一文字書道コンクール最優秀団体賞受賞。その他受賞歴多数。現在、独立書人団準会員。
2012年6月より栃木県宇都宮市雀宮にて「青瑤書道教室」を立ち上げる。4年半の年月を経て、より当教室に集まる生徒たちに書を学べるよう環境を提供するべく自宅兼書道教室を新築。2017年2月より新天地にて書道教室の展開。現在、門下生100名。
http://www.seika-kataoka.com/
この記事の執筆者
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WRITING :
石原