東京・渋谷は松濤にあった観世能楽堂が閉場したのは、2015年3月末のこと。それから2年、ついに2017年4月20日(木)のGINZA SIX開館と同時に、観世能楽堂が地下3階に開場しました!
観世能楽堂って?
能の“観世流”の始まりは、約700年前の南北朝時代のこと。猿楽芸能一座に所属していた「観阿弥清次」が、観世流の初代といわれています。
その後、京都に進出した観世流は、観阿弥・世阿弥親子が室町幕府三代将軍足利義満に認められ、勢力を伸ばします。都の華やかな文化に触れ、芸術に高められた能は、江戸時代に全盛時代を迎えました。
この間に家元制度が確立し、能の縁起も公的な行事の場で演じられるにふさわしい荘重なものとなり、現在の能のスタイルがほぼ、できあががったとされています。
その後、明治維新や昭和の第二次世界大戦など、日本の伝統文化が排斥されそうになったときにも、そのときどきの家元たちの努力により、能の伝承の保持と後継者の育成につとめ、現在、観世流は能楽師900人を擁する、能の最大流派となっています。
その活動拠点となっているのが、この観世能楽堂なのです。
記者発表には、二十六世観世宗家の観世清和さんが登場。観世家はもともと銀座1丁目に居を構えており、国に土地を返上し、ふたたび銀座の地へ戻るのは150年ぶりのことだそう。
今回の観世能楽堂は、バイロイト祝祭劇場(ドイツの木造オペラハウス)が森の中にあるように、自然の中のイメージに少しでも近づくよう、木のぬくもりを重視してつくられました。
車いすでも入れる席を用意したり、視聴・聴覚障碍者へむけたシステムづくりを検討しているなど、ユニバーサルデザインも意識。
今後は地下通路と直結し、銀座駅から雨に濡れずに来場できるようにもなるそう。これは着物姿など、観劇時に華やかな服装が多い女性には非常にありがたい心配りですよね。
「能は、引き算の芸なのでエンタテイメントとなることはできないけれど、若い人や多くの人に親しんでもらえるように、若手の公演などいろいろ準備をしています」と観世さん。
より便利な場所になり、身近に楽しめるようになる「能」。日本を代表する伝統芸能のひとつとしてデビューしたいものです。
■観世能楽堂会場記念 若手特別公演
観世能楽堂(GINZA SIX B3F)
日時/2017年4月24日(月)18:30会場、19:30開演、終了予定21:15
入場料/S席¥13,000、A席¥10,000、B席¥7,000(すべて税込)
TEL:03-5778-4380
http://www.kanze.net
住所/東京都中央区銀座6-10-1
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- クレジット :
- 構成/安念美和子