温泉というと、寒い時期に入るイメージが強いですが、暑い時期の温泉も最高。避暑地に行き、思いきり汗を流して、気持ちよさに浸りたいですよね。ここで、大浴場の温泉に入るときのマナーをおさらいしておきましょう。

例えば、かけ湯をしてから入る、泳がない、浴槽の中でからだを洗わない、タオルを湯に浸けるのもよくない……。このあたりは日本人なら誰でも知っている、ごく当たり前のマナーですよね。

ただ、こうした常識を知っているだけで慢心し、その他、温泉にまつわるさまざまな”暗黙のルール”を平気で破っている人が、少なからずいます。

知らずにマナー違反をやらかして、周囲に不快感を与えたり、思わぬトラブルを招いたりしては、せっかくの旅の思い出に汚点を残すことにもなりかねませんよね。

そこで今回はマナー講師の尾形圭子さんから、温泉に入るときのNGマナーを教えていただきました。

温泉に入るときにやりがちだけれど、NGなマナー8選

■1:その場に「ふさわしくないもの」を持ち込む

スマホの持込は厳禁!

自宅のバスタイムで、スマホを見る習慣のある人は要注意! いつもの感覚で、温泉にスマホを持ち込むのは絶対にやめてください。本人にその気がさらさらなくても、さらに言えばカメラ機能なしのスマホであったとしても、スマホを持ち込むと、周囲の人から盗撮を疑われる恐れがあります。

その他、温泉で持ち込んではいけないものとしては、どのようなものが挙げられるのでしょうか?

「歯磨きセットや洗濯用品が持ち込み禁止なのは当然ですが、ちょっと見落としがちなものとして、香りの強いヘアトリートメント剤が挙げられます。人工的な香りがプンプンするものを使用すると、硫黄の香りなど温泉の雰囲気を損ないかねません。

それから、温泉に併設する洗面所での注意点ですが、メイク用品の持ち込みは、化粧水と乳液程度にとどめましょう。洗面所でフルメイクしようとすると、椅子を占領することになって、他の利用者の迷惑になる恐れがあるからです。

洗面所でのメイクは手早く済ませて、仕上げは自分のお部屋でやるのがよいかと思います」(尾形さん)

温泉は自宅とは異なるパブリックな空間であるという点をふまえて、持ち込み品には注意しましょう。

■2:長い髪をまとめない

長い髪はまとめよう

衛生上、温泉の湯船にタオルを浸けてはいけない、というルールはよく知られていますが、それと同様に、髪の毛も湯に浸けてはいけません。髪の長い人は、ゴムなどで結ぶか、タオルキャップをかぶるなどして、髪が湯に入らないようにしましょう。

■3:「湯口」から浴槽に入る

湯船にはどこから入るのが正解?

湯船へは、どこでも好きなところから入っていいわけではないことを、ご存知でしょうか?

湯船に向かって湯が出ている部分を“湯口”といい、そこから一番離れて湯船から湯があふれ出ているところを“湯尻”といいます。湯船に入る際は、湯尻のほうから入るのが正解です。新鮮な湯が沸いている湯口は、いわば温泉の上座のようなもので、いきなりそこから入るのは、先に入ってる人たちに対して失礼に当たるおそれがあります。

まずは下座的な湯尻のほうから入り、徐々に湯口に近づくようにしましょう。なお、湯尻は湯口よりも温度が低いため、仮に先客が誰もいない場合でも、体を慣らすという意味で、湯尻から入るほうが適しているようです。

■4:周囲の状況を考えずに頭や体を勢いよく洗う

シャワーの向きに要注意!

洗い場では、周囲の状況にくれぐれも注意しましょう。自宅でお風呂に入っているときと同じ感覚で頭や体を洗うと、水しぶきをかけるなど、知らず知らずのうちに周囲に迷惑をかけてしまう恐れがあります。

「シャワーの向きを考えずに勢いよく湯を出して、他人にかけてしまったり、自分の頭やからだを洗った泡が他人のほうにどんどん流れているのに気づかなかったりする人が、最近、増えているような気がします。

一昔前、まだ自宅にお風呂がなかった時代の人たちは、日常的に公衆浴場を使うことで、洗い場での適切な距離感やふるまいを自然に身につけていたのではないでしょうか。

ところが、今は旅行など特別な機会でなければ、他人と一斉にお風呂に入るということがありませんので、自分のふるまいが周りにどう影響するのかについて、無頓着になっているのかもしれません」(尾形さん)

自宅のお風呂では他人の存在を意識せず、好き放題にふるまうことができますが、温泉では自分以外の人と場を共有しているのだ、という感覚を常に忘れないようにしましょう。

■5:使用済みの椅子や桶を洗わない

洗い場では、自分が使用した椅子や桶の扱いにも注意しましょう。使ったものを使いっぱなしという有様では、だらしがないことこのうえありません。

「椅子や桶はみんなで共有するものですから、使った後は軽く洗って元の場所に戻しましょう。また、桶は水が入らないように、上向きでなく伏せておくのがマナーです」(尾形さん)

その他、洗い場で自分の持ち物を置いて場所取りするのも厳禁です。繰り返しになりますが、パプリックな空間たる温泉では自分勝手は許されません。譲り合いの精神を大切にしましょう。

■6:ずぶ濡れのままサウナに入る

サウナでのマナーとは?

温泉では、ただ湯に浸かるだけでなく、サウナで汗を流すのも醍醐味ですよね。サウナもみんなで共有するものですから、快適な環境を保つために、サウナ室に入る前に、からだを軽く拭くようにしましょう。

ずぶ濡れのままでは、サウナ室を水浸しにして周囲にとっても迷惑ですし、また発汗の妨げになるという点で、自分のためにもなりません。さらに、サウナを出た後は、必ず汗を流してから水風呂に入るようにしましょう。

■7:自分の脱いだ服をきちんとたたまない

このマナー違反は、周囲に迷惑をかけるという類のものではありませんが、該当すると恥ずかしいものだといえます。

「脱衣所で、服をぐちゃぐちゃの状態で、カゴに放り込んでいる人をよく見かけますが、『あぁ、この人は一時が万事この調子なのかな』と、粗雑で残念な印象を受けます。自分が脱いだ服はきちんとたたんで、さらに、その上にタオルをかけて人目につかないようにしましょう」(尾形さん)

こういうさりげない所作にこそ、その人の品性は現れます。早く温泉に入りたいからといって、自分の服を雑に扱わないようにしましょう。

■8:自分の抜け毛を放置する

抜け毛は自分で処理しよう

洗い場で洗髪したり、洗面所で髪をセットしたりする場合はもちろんのこと、そうでない場合も、温泉の利用において、自然と髪の毛が抜け落ちることはあるでしょう。

その際、「どうせ掃除の人がやってくれるから」と抜け毛を放置するのは、品格ある大人の女性としてふさわしくありません。他者への気配りの一環として、自分で気づく限りのものは、拾い集めて捨てるようにしましょう。

ビギナーだけでなく、ある程度、温泉に慣れ親しんでいる人でも「これやってた!」とドキッとするものがあったのでは? 心身ともリラックスできる温泉を誰もが快適に利用できるように、今回ご紹介したマナー違反のなかで心当たりがあるものは是非、この機会に改善していきましょう。

尾形圭子さん
株式会社ヒューマンディスカバリー代表取締役、戦略的マナー講師/僧侶
(おがたけいこ)航空会社で研修やOJTのノウハウ、接遇の精神と技術を学び身につける。その後、大手書店、外資系化粧品会社などで、接客や人材育成に携わる。2000年に独立。2005年に会社設立。ショッピングセンターから百貨店、不動産会社や病院、官公庁など多様な業種で、ビジネスマナーを始めとして、電話応対・クレーム対応などの研修を行っている。著書は『会社では教えてもらえない 結果を出す人のビジネスマナーのキホン』など30冊以上。ラジオ・テレビ出演、雑誌などへの寄稿も多数。
株式会社ヒューマンディスカバリー
この記事の執筆者
TEXT :
Precious.jp編集部 
2018.10.23 更新
Precious.jp編集部は、使える実用的なラグジュアリー情報をお届けするデジタル&エディトリアル集団です。ファッション、美容、お出かけ、ライフスタイル、カルチャー、ブランドなどの厳選された情報を、ていねいな解説と上質で美しいビジュアルでお伝えします。
WRITING :
中田綾美