秋の結婚式シーズンやクリスマスパーティー、年末年始の忘年会、新年会など、これからどんどん宴席の機会が増えていきます。そんなときは、素敵な会話をしてその場の空気を盛り上げたり、和ませたりして、できるだけ楽しい場にしたいものですよね。

しかし、食事中の会話にはちょっとしたマナーの心得が必要。そこで今回は、宴席の食事の真っ最中に会話をするときのNGマナーや話題の選び方、素敵な行動について、接遇マナーインストラクターの野村明未さんに教わります。

パーティー・宴席中の基本的な会話の心得

まず、野村さんは、パーティーや宴席中の会話について、基本的な心得を次のように話します。

パーティー・宴席中の基本的な会話の心得
パーティー・宴席中の基本的な会話の心得

「パーティーや宴席は、『食事を楽しみ、会話を楽しむ場所(空間)』です。食事をつくってくださる方、サービススタッフの方は最高においしい状態で召し上がっていただきたいと思って心を込めて提供してくださっています。温かいものは温かいうちなど、おいしくいただくことは大切なことです。つくり手に感謝、食材に感謝。そして、共に食事を楽しむ、同席者にも感謝しましょう。笑顔で会話を楽しみ、交流を深め、食事、会話を楽しみましょう!」

パーティーや宴席の食事中、何を話せばいいか迷ったら?

パーティーや宴席の食事中、何を話せばいいのかわからないときにはどのような話題がいいのでしょうか? 野村さんによると、一般には、「木戸に立てかけし衣食住」が良い話題とのこと。

木(き)→季節
戸(ど)→道楽(趣味)
に→ニュース(時事ネタ)
立(た)→旅(旅行や観光)
て→天気、テレビ
か→家族
け→健康
し→仕事
衣→ファッション
食→グルメ
住→住まい、出身地

「お酌をきっかけにし、まずはイエス、ノーで答えられる質問から入るとよいでしょう。例えば『○○はお好きですか?』など。相手が好きなものが分かれば、その話題を振るといいですね。聞き役にまわることを心がけるとよいと思います。相槌や共感など、話しやすい雰囲気を心がけましょう」

食事中、こんな話題はNG!

パーティーや宴席の食事中、NGな話題にはどのようなものがあるのでしょか?

食事中、こんな話題はNG!
食事中、こんな話題はNG!

「一般的に公共の場でNGとされる話題は3点あります。1.政治、2.宗教、3.スポーツです。他にも論争になるかもしれない話題は注意が必要です。そして自慢話や武勇伝、ネガティブな話題、悪口、噂話、愚痴などもNGですね。食事を楽しみ、会話を楽しむ基本を思い出してください。自分の自慢や人の悪口ではなく、相手の良いところを見つけて褒めるとよいです。良い言葉は空気を良くします。どんどん発しましょう」

パーティーや宴席の食事中にやってはいけない4つの振る舞い

次に野村さんに、パーティーや宴席の食事中にやってはいけない話し方を挙げていただきました。

パーティーや宴席の食事中にやってはいけない4つの話し方
パーティーや宴席の食事中にやってはいけない4つの話し方

■1:口に食べ物を入れたまま話す

「食事のマナーとして、同席者に不快感を与えないことは基本です。口に食べ物を入れた状態で話すのは当然よくありません」

■2:踊り箸

「お箸のマナーで、話しながらやりがちなのは『踊り箸』。踊り箸とは、箸をふりまわしたり、人やモノを指したりすることです」

■3:下品な話題

「食事中にふさわしくない下品な話題ももちろんNGです」

■4:一方的に話す

「食事中に限ったことではありませんが、会話はキャッチボールです。一方的に話すということなく、相手との会話を楽しみましょう。ちなみに正面で相対すると緊張するので、斜め前や横の位置のほうが会話も弾みます」

パーティーや宴席中の素敵な振る舞い4つ

野村さんは、パーティーや宴席中には、次のようなことを意識して話すと、素敵だと話します。

パーティーや宴席中の素敵な話し方
パーティーや宴席中の素敵な話し方

「ポイントは、目配り、気配り、心配り。自分自身も食事や会話を楽しみ、まわりの方に気配りができると素晴らしいですね」

■1:食事や会話を心から楽しむ

「食事の場面はおいしく食事をいただき、同席者と交流を深めることが大切です。食事や会話を心から楽しむこと!」

■2:美しく見える所作を心がける

「人を不快にしないことは当たり前ですが、プラス、自分をより印象が良いと思ってもらうようにすることで、まわりの方もとても心地の良い空間になります。美しく見える所作は素敵です。食事の仕方で人柄までもが見えます。ヨーロッパでは、食事をするだけでその人自身が分かるといわれ、日本ではお里が知れるという言葉もあります」

■3:誰かの粗相には恥をかかせないような気遣いを

「誰かが粗相をしたら、そっと対応すること。恥をかかせないような気遣いが必要です。人の失敗を許容する寛容な精神と対応は素敵です」

■4:積極的に、配慮を持って話しかける

「大勢が参加するパーティーなどで、ひとりでいる人を見つけたときは『今日はおひとりですか?』など、積極的に話しかけるといったように全体を見てまわりの方に心配りのできる方は素敵です」

素敵な話し方と所作の背景には、目配り、気配り、心配りがあったようです。パーティー・宴席中の話し方、次回はちょっとだけ意識してみませんか?

野村明未氏
野村明未さん
(のむら あきみ)接遇マナーインストラクター、医療介護福祉接遇インストラクター、ウェディングコンサルタント。アンフリージェ代表、一般社団法人マナー教育クリエーション協会代表理事。ビジネスマナー他、冠婚葬祭やテーブルマナー等、テレビ、ラジオ出演のオファーもある。ランチ本マナーページの監修も手がけている。
 

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この記事の執筆者
Precious.jp編集部は、使える実用的なラグジュアリー情報をお届けするデジタル&エディトリアル集団です。ファッション、美容、お出かけ、ライフスタイル、カルチャー、ブランドなどの厳選された情報を、ていねいな解説と上質で美しいビジュアルでお伝えします。
WRITING :
石原亜香利