学校やレストランで見かけ、楽器のなかでも身近な存在のピアノ。習い事の練習に、またインテリアとして、ピアノの購入を検討する方もいるのでは? ピアノとひと口に言ってもその種類や価格はさまざま。そこで今回は「ピアノのKAWAI」で知られる河合楽器製作所の営業担当者に、価格の違いや製品選びの際に注意すべき点、そして最新の消音装置について伺いました。

学校のピアノは約185万円!ピアノの価格が決まるポイントとは?

――ピアノの価格は、何によって決まりますか?

「最も分かりやすいのは、『大きさ』の違いです。グランドピアノであれば奥行、アップライトピアノであれば高さが基準になります。基本的にサイズが大きいほど、音を響かせる『響板(きょうばん)』が大きくなり『弦の長さ』幅が広がります。そのため、大きく豊かな響きを生み出せます」(営業担当、以下同)

※響板:ピアノの響きを生み出す、弦の下に張ってある板。アップライトピアノでは背面にあたります。
グランドピアノ(左)はハープのような形をした響板の奥行、アップライトピアノ(右)は高さがポイント。左/SK-7 ¥6,600,000、右/K-400 アンバーバーチ ¥860,000

ピアノは、木・金属・フェルト・合成樹脂など、さまざまな材料でつくられています。また、部品数はグランドピアノでおよそ10,000個、アップライトピアノでおよそ8,000個。同じ木材でも、部品によってそれぞれの働きに適した樹種や木目を選びます。

これらの素材の違いが、最終的な価格の違いとなります」

――一般的なグランドピアノだと、どのぐらいの大きさでおいくらですか?

「学校の音楽室などのグランドピアノは奥行が188cm前後のタイプが多く、185万円~が目安です。ご家庭やスタジオ、演奏会場などで幅広く使われるサイズですね」

最高峰の音に、インテリアとしても魅力のグランドピアノ。その価格は?

営業担当者によると、演奏だけでなく部屋の雰囲気やインテリアに調和する家具のひとつとして、デザインや色を最重視する人が増えているそう。例えば、アップライトピアノでは木目調のものや猫脚デザインのモデルが人気だといいます。

近年のアップライトピアノの主流はコンパクトサイズ・木目調。猫脚の曲線が華やかで人気のモデル/LD-200WF ¥578,000

一方でグランドピアノは、より本格的な音色や品質のものが人気なのだそう。今回は、Precious.jpの読者におすすめのグランドピアノを伺いました。

最高峰モデルのグランドピアノ「SK-2」

「Shigeru Kawai」シリーズでもコンパクトな「SK-2」。奥行180cm。¥2,750,000

カワイ最高峰のプレミアムグランドピアノ「Shigeru Kawai」シリーズ。二代目社長の河合滋氏が自らの名前を冠するピアノの製作を指示し、1999年に完成しました。

「ピアノの響きの源泉である響板には、一般的なグランドピアノよりはるかに長い期間をかけて天然乾燥させた木材を使用しています。響板は乾燥しているほど音がよく響き、音の伸びがいいといわれています。また、ゆっくりと長期間にわたり乾燥させることで、含水率や音の伝わる速さなどが高いレベルで安定します」

Shigeru Kawaiシリーズはアフターサービスにもこだわっています。

「ご購入いただいたShigeru Kawaiグランドピアノの調律・アフターサービスは、カワイのなかでも特別な資格(MPA/MPS)を持った選りすぐりの技術者が担当します。いわば『かかりつけの名医』のような存在です」

Shigeru Kawaiシリーズのなかでもコンパクトな「SK-2」は、その扱いやすさと本格的な音から幅広い層が使っているそう。

「ピアニストやピアノの先生だけでなく、『美しい音色に囲まれたい』というピアノ愛好家や趣味で楽しむ方、またコンクールに挑戦する未来のピアニストである子どもたちにも選ばれています」

販売は世界で2社のみ!クリスタルグランドピアノも購入できる!

透明なボディーが印象的なクリスタルグランドピアノ「CR-40A」。受注生産のみ。¥6,400,000

「聴かせる」に加え「魅せる」。カワイならではのグランドピアノも、個人で購入できます。その代表作が、ボディーが透明な「クリスタルグランドピアノ」です。

X JAPANのYOSHIKIさんが愛用していることでも有名な、圧倒的な存在感を放つクリスタルグランドピアノ。その製造・販売は現在カワイを含め世界でたった2社しかないそう。カワイの独創的な発想から誕生した、まさにアートと呼ぶにふさわしい透明なグランドピアノは、一体どのように誕生したのでしょうか?

「昭和40年代、ピアノの新たなバリエーションはないかと考えていたころ、人目を引く美しいピアノが製作できないだろうかと開発が始まりました」

本体は木ではなくアクリルを使って透明なピアノを実現しています。

「クリスタルグランドピアノの製作には難しい点がいくつかありました。まず、アクリルという素材の特性。アクリルは熱で変化しやすいので、理想の形状に加工してその形を保つには高い技術力が必要です。そして、透明な美しさを損なわないようにすること。パーツ同士を接合する際の接着にも気泡が入らないようにするなど細心の注意を要します」

素材が異なると、気になるのがその音色。

「通常のグランドピアノとは違う音色ですが、クリスタルグランドピアノにあったベストな音に調整しています」

クリスタルグランドピアノは直営店であるカワイ表参道などに置いていることもあるとのこと。Shigeru Kawaiシリーズなどと弾き比べてみることもできるそうです。気になる方は実際に足を運んで姿と音を体感してみては?

ピアノ購入のポイントと、日ごろのメンテナンスは?

実際にピアノを購入するときは、どんなことに気をつけたらいいのでしょうか? 購入時のポイントと、日ごろのメンテナンスについて伺いました。

ピアノを長く使うためのポイントは?

――ピアノを購入する時は、どんな点に気をつけたらいいですか?

「まず、ピアノを購入する目的を明確にすることが大切です。初心者の方、音大受験を目指す方、趣味として楽しむ方、インテリアにマッチするものを探している方など、目的によって合う製品は異なります。

また、カタログだけでピアノ選びをするのではなく、ぜひ店頭で試弾してください。ピアノは部品点数も多く、生産過程で手作り工程を多く残しているので、同じモデルでも一台一台に『個性』があります。実際に音や鍵盤タッチが自分のイメージしているものに近いかどうかを確認しましょう。店員にアドバイスを受けながら選ぶと安心です。習っている先生に同行してもらうのもいいと思います」

――日ごろのお手入れでは、どんなポイントがありますか?

「木材を多用しているアコースティックピアノは、湿度や温度の急激な変化が苦手です。ピアノに適した環境は室温15~25℃・湿度50~70%。密閉しがちなピアノですが、お天気の良い日など、ときには屋根や鍵盤蓋を開けて深呼吸させてあげてください。また、外装や鍵盤は専用のクリーナーとやわらかい布で磨いてあげましょう」

――日ごろのお手入れのほかに必要なメンテナンスを教えてください。

「調律師による定期的な調律です。新しく購入してから約5年間は環境変化を受けやすいため6か月に1度、それ以降は12か月に1度の定期調律をおすすめしております」

時間も近隣も気にしない! 消音システムで新たなピアノの楽しみ方を

営業担当者によると「ピアノの音が近隣に響くことが気になってなかなか購入に踏み切れない……」という悩みに対応する製品も好評を得ているそう。

「消音装置(AnyTime X)を取り付けると、アコースティックピアノもヘッドフォンで演奏を楽しめます。弦を叩いて音を出すハンマーをストッパーで止め、光センサーで読み取った動きを元に、ヘッドフォンからデジタル音源を流します。カワイのフルコンサートピアノの音色をはじめ、オルガンやハープシコードなどさまざまな音色での演奏もできます。消音装置はご自宅にあるピアノの多くにも取り付けできます」

写真はアップライトピアノ用の消音装置ATX3(2018年10月5日発売)¥250,000。グランドピアノ用はATX2-f(¥550,000)などがあります

さらに、アコースティックピアノでありながら新たな機能が楽しめるハイブリッドアップライトピアノ「AURES(オーレス)」が2018年10月5日に発売。従来の消音機能のみでなく、響板を振動させることで、ピアノがスピーカーになります。スマートフォンに収めた音楽を、木の響板ならではの温もりがあり全方位に広がる響きで楽しめるそう。

オーディオメーカー・オンキヨー製の加振器を貼り付けて響板を振動させることで、スピーカーのように音を響かせます/AURES ¥310,000(別途アップライトピアノ本体代がかかります)

テクノロジーを駆使した新たなピアノの楽しみ方が広がっています。


「弾いて楽しむ」というイメージが強かったピアノですが、「インテリア」や「スピーカー」など、その楽しみ方はどんどん進化しています。どのようにピアノを楽しみたいのかを明確にすれば、よりよい一台に出合えるでしょう。

カワイのWEBサイトには製品比較ができるページ もあります。購入を考えている方は参考に見比べてみて、ピアノのある生活のイメージを膨らませてみてください。

※掲載した商品はすべて税抜です。

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WRITING :
田代祐子
EDIT :
廣瀬 翼(東京通信社)