砂糖は、どのご家庭でも常備されている調味料のひとつ。購入後、長い期間保存している方も多いのではないでしょうか。工場で精製された砂糖は不純物をほとんど含まず、比較的品質が安定しています。とはいえ、間違った保存方法では、砂糖も劣化します。
そこで今回はより品質を保つ砂糖の保存方法について、精糖工業会館の佐藤 仁さんに伺いました。一般的な家庭で使用されている上白糖を例に解説いただきます!
砂糖が劣化する5つのNG行動
■1:冷蔵庫の中で保存するのはNG
食品を長期保存するときは、冷蔵庫に入れておいたほうが品質を保てる気がしませんか? ですが、砂糖の場合はNG! 上白糖は、温度が下がることで結晶同士が固着しやすくなり、固まってしまうことがあるんです。
砂糖は固まっても味が変化することはありませんが、固まった砂糖は適量を取れず扱いにくいもの。そのため、常温で保存しましょう。
■2:容器をコンロの側に置くのは NG
調理中に出た湿気を吸いすぎると、砂糖がベタつくことがあります。このような状態は、カビが生えやすくなるため、砂糖を入れた容器をコンロの近くに置くのはNGです。
味付けのときにパッと使えて便利ですが、砂糖の保存場所としては不向き。開封後、容器に移し替えた砂糖は冷暗所に保存しましょう。
■3:香りの強い洗剤や食材と一緒の場所に保存するのはNG
シンクの下や戸棚などの冷暗所にしまうとき、気をつけたいのが匂い移りです。砂糖は匂いを吸着しやすい性質をもつため、香りの強い洗剤や食材などの側に置いておくと、匂いが移ってしまいます。
開封前でも、匂い移りがしやすい場所での保存は避けること。前述した冷蔵庫での保存も他の食材の匂いが移ってしまいます。
■4:砂糖を入れた容器に乾燥剤を入れるのはNG
保管しているうちに湿気で砂糖がカチカチに固まってしまった…なんていうことはよくありますよね。砂糖が固まるのを防ぐために、乾燥剤を入れたくなりますが、それはNG。砂糖は湿気だけでなく乾燥により固まることがあります。
それは、砂糖は空気中の温度や湿度の変化に伴って、表面の水分量も増減しているから。乾燥が進むと水分量が減り、結晶表面にごく微細な結晶がつくられます。そして、結晶同士が結びつくことで固着しやすい状態になるんです。
■5:購入時の袋のまま保存するのはNG
砂糖は輸送時の衝撃等に耐えうる丈夫な袋で販売されています。強度があるため開封した後もそのまま使いたくなりますが、長期の保存には適していません。この袋には、わずかに通気性があり、湿気や匂いを通します。
砂糖を使いはじめたらタッパーのような蓋付きの密閉容器に移しましょう。虫の侵入も防ぐこともできますよ。
【まとめ/砂糖が劣化する5つのNG行動】
1:冷蔵庫の中で保存
2:容器をコンロの側に置く
3:香りの強い洗剤や食材と一緒の場所に保存する
4:砂糖を入れた容器に乾燥剤を入れる
5:購入時の袋のまま保存する
砂糖はできるだけ温度や湿度の影響を受けにくい場所に保管すること。煮物によく使われる三温糖や、水分量が比較的多い和三盆や黒砂糖も、同様の保存方法がよいそうです。
砂糖はすき焼きの肉をやわらかくしたり、卵焼きをふんわりさせたり、煮魚の照りを出したりと、料理をおいしくする影の立役者。さらに、砂糖に含まれるブドウ糖は、脳に必要な栄養源でもありストレスを軽減させる大切な栄養素のひとつです。正しい保存方法を身につけ、食事にうまく取り入れて活用しましょう。
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- TEXT :
- Precious.jp編集部
- WRITING :
- 石水典子
- EDIT :
- 高橋優海(東京通信社)