朝食や定食、おせち料理やお祝いの席のお寿司でも欠かせない「玉子焼き」。でも、自宅で玉子焼きをつくると、ペタンとしてしまったり、巻いた卵が一枚一枚バラバラになってしまったり……。存在感のある厚みにフワっとした食感でしっとりと舌に馴染むできあがりにはなかなかなりません。

そこで今回は、自宅でできる黄金色のふんわり&しっとりした本格玉子焼きのつくり方を、寿司屋の大将に伺いました。教えていただいたのは、有名作家も足しげく通うという神保町の寿司屋「ひげ勘」の大将、加藤さん。

ポイントは、卵に火が通り過ぎてしまわないようにすること。夜は一見様お断りで営業している「ひげ勘」。その貴重な「玉子」の味と食感を生み出す調理のポイントを詳しくお伝えします。

「ひげ勘」の大将・加藤さんに、特別にお店の厨房でつくっていただきました
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寿司屋の大将が伝授する「究極の玉子焼き」のつくり方

材料

卵(L玉) 9個
だし汁 100cc
砂糖 50g
酒 小さじ2杯
みりん 小さじ1杯
醤油 数滴
塩 ひとつまみ
サラダ油(玉子焼き器に敷く用) 適量

今回は、寿司屋で玉子焼きをつくるときの分量で教わりました。寿司にすると20貫にあたるそう。長さ約20cm、厚さ約3cmの食べ応えある玉子焼きは、切り分けて家族と一緒に食べるのもおすすめです。

つくり方

■1:だし汁と調味料をあらかじめ混ぜ合わせる

だし汁、砂糖、酒、みりん、醤油、塩を大きめのボールであらかじめ混ぜ合わせます

ふだん玉子焼きをつくるときは卵を割ってから調味料を入れがちですが、実は先に調味料を混ぜ合わせておくことがポイント。後から調味料を加えると、砂糖が溶けきらず味に偏りが生まれ、ザラリとした舌触りが残ることがあります。あらかじめ、砂糖と塩をだし汁にしっかり溶かしておけば、味付けのムラがなくなり、滑らかな食感を生み出します。

■2:玉子9個を割り入れる

卵を1個ずつお玉や別の容器に割り、殻が入っていないか、傷んでいないか確認。使える卵のみボールへ入れます

卵をたくさん使うときのポイントは、ボールへ直接割り入れずに1個ずつ殻が入っていないか、傷んでいないか確認すること。もし傷んだ卵があっても、こうすれば他の卵を破棄せずに使えます。

9個すべてボールに入れます

■3:菜箸で白身を切るようにして卵を溶く

菜箸を使って、左右に白身を切るようにして卵を溶きます
卵が大きく波打って自然と空気を含むくらいの力強さとスピードで、卵とだし汁を混ぜ合わせます

白身を切るように菜箸を動かし、卵を溶きすぎないことがポイント。卵は溶きすぎると全体にコシがなくなってしまうので注意しましょう。だし汁となじみながら、所々に小さな白身が残っているくらいが目処です。

全体に馴染みながら、所々に白身が残っているくらいがベスト

■4:玉子焼き器を中火にかけて油を敷く

玉子焼き器を中火にかけて温め、油を染み込ませたキッチンペーパーで玉子焼き器の全体に薄く油を敷きます

フッ素加工のされている玉子焼き器の場合は、中火にかけてある程度温まったら、すぐにキッチンペーパーで油を敷きましょう。

銅製の玉子焼き器ではキッチンペーパーで油を敷く前に、玉子焼き器ヒタヒタまで油を注いで火にかけ「油馴らし」を行います。油馴らしにより表面に油膜がつくられ、卵の焦げ付きを防げます。

■5:玉子焼き器にといた卵液を流し込み広げる

油を敷いた玉子焼き器に卵液を流し入れます

玉子焼き器の温度は、卵液を流し入れたときに「ジュワー」と音がなるくらい充分熱されている状態がベスト。卵液は、玉子焼き器を傾けて回さなくてもすぐに8割程度広がる量を流し入れます。

玉子焼き器を傾けて、卵液を全体に均一になるように伸ばします
表面全体に卵液が薄く残る半熟の状態が目安

■6:3分の1の幅で卵を巻く

奥から手前に、1/3の幅で折り返します

巻き出すタイミングは、卵の端に熱が通り固まってきたころ。表面にはまだうっすら卵液が残っている半熟の状態です。このタイミングならば、卵が硬くならず、巻いた卵同士がくっつきやすくなります。また玉子焼きの色も綺麗な黄金色に。

もう一度手前に折り返します

自宅でつくるときはフライ返しを使うと、簡単に綺麗に巻けます。

■7:「6」を繰り返す

巻いた玉子焼きを奥に戻し、手前部分に卵液を流し入れます
玉子焼きを持ち上げて、玉子焼きの奥・下まで卵液を伸ばします
菜箸で玉子焼きを押さえながら玉子焼き器を回すと、形が崩れません

■8:4回目からは、2分の1の幅で卵を巻く

2~3回に1度、油を敷き直します
気泡ができたら菜箸でつついて潰します。また、卵液が熱されるのを待つ間に玉子焼きに菜箸を数か所刺して空気を抜きます
奥から手前に1/2の幅で巻き、玉子焼きを玉子焼き器の側面にそろえて横も焼きます。また、奥にも2~3回で油を敷き直します

■9:最後の2〜3巻は蓋を使って形を整える

1/2幅で手前に巻いた玉子焼きの上から蓋を当てます

平らな蓋がない場合は、まな板や大き目のお皿で代用します。

蓋を当てたまま玉子焼き器ごと逆さに返し、滑らせるようにして玉子焼きを手前から奥に移動します
卵焼き器の側面と蓋を使って形を整えます

玉子焼き器の角を使って、整った長方形をつくります。

■10:できあがり

寿司屋の大将直伝、家庭でできる本格玉子焼き

寿司屋の本格的な玉子焼きのできあがり。巻く回数は玉子焼き器のサイズによって変わりますが、6〜8回程度。卵を溶き出してから15分足らずで完成です。存在感ある大きさは、親戚や家族で集まる年末年始にもオススメです。

切り分ければ、中まで卵の黄金色

加藤さんによると、温かいうちの方が卵の香りとふわふわした食感がより楽しめるそう。もちろん、冷めてもおいしくいただけます。冷めると寿司の玉子のように、よりしっとりと馴染んだ味と食感になります。

究極の玉子焼きのつくり方6つのコツ

■1:だし汁と調味料はあらかじめ混ぜ合わせておく

卵を割った上から調味料を加えると、砂糖や塩が溶けきらず、味にムラが生まれたりザラリとした舌触りが残ったりすることがあります。あらかじめだし汁と調味料を混ぜ合わせ、砂糖をしっかり溶きましょう。

■2:卵は白身を切るようにして混ぜ、溶きすぎない

卵の黄身と白身を完全に溶き合わせると、卵のコシがなくなり、ペタンとしぼんだ玉子焼きになってしまいます。卵は白身を切るように溶き、白身の部分が所々に残っているくらいにしましょう。

■3:火は常に中火。熱しすぎたら玉子焼き器を火から外す

火加減は常に中火に固定。玉子焼き器の温度調整は、火元ではなく、玉子焼き器を動かして行いましょう。熱すぎるときは火から外して温度を下げ、冷めてきたらコンロに戻します。こうすることで、火元の調整に手間取り、卵に火が通り過ぎてしまうのを防ぎます。

■4:気泡は菜箸で潰し、空気が入らないようにする

空洞が少ない方が、より舌触り滑らかで卵の1枚1枚が密着した玉子焼きになります。焼いている間に気泡が生じたときは菜箸で潰し、玉子焼きにも菜箸を刺して空気を抜きましょう。

■5:1/3を3回、その後は1/2。巻く幅をあらかじめ決めておく

卵を巻く幅はあらかじめ決めておきましょう。「次は何回巻こうかな…」と考えている間に火が通りすぎたり、または迷って中途半端に折ってしまい卵がヨレてしまったりするのを防ぎます。

■6:玉子焼き器の角と蓋で、熱いうちに形を整える

玉子焼きは熱いうちに整えると、きれいに形がつくそう。巻き上がったら玉子焼き器の側面や角と蓋を使い、側面に火を通すとともに熱いうちに形を整えます。

食べる場面を考えて「寿司」に合わせた味付けに

神保町駅から徒歩2分。筆字で書かれた「ひげ勘」の文字が目印です
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最後に、加藤さんは味付けのこだわりを教えてくださいました。

「寿司屋の玉子焼きは、お酢の香りがするシャリと一緒に食べるもの。醤油をつけて召し上がる方も多いです。そのため、寿司として食べるときに完成した味になるよう塩や醤油は少なめにし、卵の風味を生かしています。ご家庭で召し上がるときも、大根おろしと醤油を添えたりお味噌汁と一緒に召し上がったりすると、このぐらいの味付けがちょうどいいと感じられると思いますよ」(加藤さん)

子どもから大人まで楽しめ、めでたい黄金色の玉子焼き。食卓を飾る一品に、ご自宅でぜひ試してみてください。

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EDIT&WRITING :
廣瀬 翼(東京通信社)