中華の定番メニュー「チャーハン」。ご飯と具材を炒めるだけのシンプルな料理なのに、家でつくるとなかなかお店のようにパラパラにならない難しいメニューでもあります。

そこで今回は、自宅で挑戦できる究極においしいチャーハンのつくり方を、料理家の陳 高生(ちん こうせい)先生に教わりました。陳先生はホテルの中華料理店でシェフを務めた経験があり、現在は人気の台湾料理教室を主催する中華の達人。

陳先生いわく、チャーハンのポイントは卵の溶き具合と調味料の入れ方だそう。ほんのちょっとの工夫でいつものチャーハンが驚くほどおいしくパラパラになる調理ポイントを詳しくお届け。また、炒めるときに使用するフライパンとターナースプーンの扱い方のポイントもご紹介します。

陳先生が料理教室を開いている自宅のキッチンで、実際につくっていただきました
陳先生が料理教室を開いている自宅のキッチンで、実際につくっていただきました
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中華の達人が伝授する「究極のチャーハン」のつくり方

材料(二人前)

冷やご飯 600g
ベジタブルミックス 100g
チャーシュー 150g
卵 (L玉) 2個
万能ネギ 20g
鶏がらスープの素(顆粒) 5g
塩 3g
こしょう 少々
醤油 20cc
ごま油 少々
サラダ油(炒め用) 50cc

今回は自宅で簡単につくれるよう、すぐにスーパー等で手に入る材料でそろえました。チャーシューはハムやベーコンでも代用可能。野菜やお肉は好みで変えてもいいそうです。具材を調理するときのポイントは、サイズをできるだけそろえて切ること。ご飯粒より大きめの1cm角くらいがベストです。

つくり方

■1:卵を白身が少し残るくらいに溶く

卵2玉を菜箸で溶きます
卵2玉を菜箸で溶きます
白身が少し残るくらいの溶き具合が、パラパラにするポイント!
白身が少し残るくらいの溶き具合が、パラパラにするポイント!

■2:顆粒の調味料をあらかじめご飯に混ぜる

塩、胡椒、鶏がらスープの素をあらかじめご飯に混ぜておきます
塩、胡椒、鶏がらスープの素をあらかじめご飯に混ぜておきます

調味料の塩、胡椒、鶏がらスープの素は炒めながら加えるのではなく、あらかじめご飯に混ぜておきましょう。炒めている間に手間取ってご飯が固まったり焦げ付いたりするのを防げます。

■3:フライパンを火にかけて油を敷く

フライパンを火にかけてすぐにサラダ油50ccを入れます
フライパンを火にかけてすぐにサラダ油50ccを入れます
火は最初から強火にします
火は最初から強火にします

■4:すぐに溶き卵を入れ、ターナースプーンで半熟まで炒める

卵を入れても音がせず、ひと回しすると白身が固まるくらいの温度の段階で溶き卵を入れます
卵を入れても音がせず、ひと回しすると白身が固まるくらいの温度の段階で溶き卵を入れます
ターナースプーンで手早く混ぜながら、半熟くらいまで炒めます
ターナースプーンで手早く混ぜながら、半熟くらいまで炒めます

■5:半熟卵の上にご飯を投入し、パラパラになるまで炒める

半熟の卵の上にご飯を入れます
半熟の卵の上にご飯を入れます
まずはご飯を崩しながら、卵と絡めるようにして炒めます
まずはご飯を崩しながら、卵と絡めるようにして炒めます
ご飯がほぐれてきたら、ターナースプーンの裏で軽く押し付けるようにして混ぜながら炒めます。ときどき煽ってご飯と卵を混ぜながらパラパラにしていきます
ご飯がほぐれてきたら、ターナースプーンの裏で軽く押し付けるようにして混ぜながら炒めます。ときどき煽ってご飯と卵を混ぜながらパラパラにしていきます

鍋をダイナミックに振るような難しいテクニックは必要ないそうです。ターナーでほぐしたり、返したりしながら、全体を混ぜるように炒めればOK。このとき、ターナーを強く押しつけるようにするのはNG。ご飯がつぶれて食感が悪くなってしまいます。

IHコンロの場合はフライパンを揺すれないので、ターナースプーンをふたつ使ってご飯を奥から手前に回すように混ぜるといいそう。

お米ひと粒ひと粒をサラダ油がコーティングしてツヤツヤになり、卵がほぐれてパラパラになったらOK
お米ひと粒ひと粒をサラダ油がコーティングしてツヤツヤになり、卵がほぐれてパラパラになったらOK

■6:チャーシュー、ミックスベジタブルを投入し手早く炒める

パラパラになったご飯にチャーシューとミックスベジタブルを投入
パラパラになったご飯にチャーシューとミックスベジタブルを投入
具が全体に均等になるように手早く混ぜながら、具が温まるまで炒めます
具が全体に均等になるように手早く混ぜながら、具が温まるまで炒めます

■7:万能ネギを投入する

万能ネギはあらかじめ小口切りにしておく
万能ネギはあらかじめ小口切りにしておく
ネギも全体に渡るように混ぜながら炒めます。炒めすぎないように注意!
ネギも全体に渡るように混ぜながら炒めます。炒めすぎないように注意!

■8:醤油を鍋肌から回し入れる

直接ご飯にかけないように注意して、鍋肌から回し入れます
直接ご飯にかけないように注意して、鍋肌から回し入れます
全体に馴染むように、醤油の焦げた香ばしい香りがするくらいまで手早く混ぜながら軽く炒めます
全体に馴染むように、醤油の焦げた香ばしい香りがするくらいまで手早く混ぜながら軽く炒めます

■9:ごま油を鍋肌から回し入れる

ご飯に直接当てないように注意。ごま油の香りがふわりとするくらいまで混ぜながら炒めます
ご飯に直接当てないように注意。ごま油の香りがふわりとするくらいまで混ぜながら炒めます
お皿に盛り付けて完成。卵を溶きはじめてから完成まで、10分足らず!
お皿に盛り付けて完成。卵を溶きはじめてから完成まで、10分足らず!

■10:できあがり

中華の達人直伝、家庭でできる本格パラパラチャーハン
中華の達人直伝、家庭でできる本格パラパラチャーハン

パラパラなのにお米ひと粒ひと粒がしっかりふわっとした「究極のチャーハン」の完成。できたてだけでなく、冷めてもパラパラです。10分足らずで手早くできるのに本格的な食感と味に、きっと驚くはず!

チャーハンをパラパラにする5つのコツ

チャーハンをパラパラにするカギは「火力」と思いがちですが、実は「水分」が重要。ご飯に余計な水分が加わらないようにすることで、家庭でもお店のようなチャーハンをつくれます。パラパラに仕上げるために、特に押さえておきたいポイントを教わりました。

■1:ご飯は硬め。よりパラパラを目指すなら、ひと晩冷蔵庫に

ご飯は冷やご飯がおすすめ。冷めたご飯の方が、炊きたてのご飯よりも水分や硬さが安定しているため、炒めやすくよりパラパラになるそうです。また、パサパサになるからNGと思われがちなご飯の冷蔵庫保存ですが、実はひと晩冷蔵庫に入れておいたほうが、よりパラパラのチャーハンがつくれるそうです。

もし炊きたてのご飯を使う場合は、硬めに炊いて少し冷ましてから使うといいそう。

■2:水分の出る具材は先に火を通す

エビなど火を通すと水分が出やすい具材を使うときは、あらかじめ油で炒めて火を通しておきましょう。火の通りにくい具材も同様に、あらかじめ火を通します。また、今回のミックスベジタブルのように冷凍の食材を使う場合は、常温にて解凍し、解凍したときに出た水分はキッチンペーパーで取りましょう。

■3:卵は溶きすぎず、白身が残るくらいに

卵を溶きすぎて黄身と白身を完全に混ぜきると、卵のコシがなくなり凝固する力が弱くなってしまうそう。そのため、炒めたときに卵がバラバラになり、食感や見た目も悪くなります。卵は、少し白身の部分が残るくらいに溶きましょう。

■4:炒めすぎない

具材を入れてからは炒めすぎないのがポイント。軽く熱を通す程度に抑えることで、具から出る余分な水分によりベタッとなることを防ぎ、彩りも鮮やかになります。

■5:液体の調味料は直接ご飯にかけない

味のアクセントと香り付けに入れる醤油とごま油は、直接ご飯にかけないようにするのがポイント。直接、醤油やごま油が当たると、せっかくパラパラになったご飯が水分でベタッとなってしまいます。ご飯にかけないように気を付けながら、鍋肌から回し入れます。

道具選びと扱い方のポイント

チャーハンといえば中華鍋でつくるイメージが強いですが、家庭にある普通の鍋で十分だそう。今回使ったのは、フッ素コートの深めのフライパン。扱い方のポイントを伺いました。

■1:フッ素コートのフライパンは熱しすぎないよう注意

焦げ付けにくく便利なフッ素コートのフライパン
焦げ付けにくく便利なフッ素コートのフライパン

フッ素コートのフライパンの注意点は、熱しすぎないこと。具材を入れる前に熱して空焚きの状態になるとコーティングが剥がれてしまい、フライパンが焦げ付きやすくなるのみでなく、剥がれたフッ素がチャーハンに混ざってしまいます。フッ素コートのフライパンでチャーハンをつくるときは熱しすぎる前に溶き卵を入れましょう。

■2:シリコン製のターナースプーンが便利!

おたまとしても使えるゆるいカーブがついたターナースプーン
おたまとしても使えるゆるいカーブがついたターナースプーン
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炒めるときに使うと便利なのが、シリコン製のターナースプーン。フライ返しのように使えて、おたまのようにすくうこともできるので便利です。さらに、程よい弾力性でご飯や具材を押し潰しすぎないのもポイント。

もしターナースプーンがない場合は木製のヘラを使い、フライパンに傷を付けやすい金属のフライ返しは避けましょう。

台湾家庭の優しい味、味付けは「薄味かな?」くらいがちょうどいい

最後に、陳先生は味付けのポイントを教えてくれました。

「このレシピでつくりながら味見をすると、物足りなく感じるかもしれません。でも、そこで塩・胡椒や鶏がらスープの素を増やさないでください。もし足してしまうと味が濃くなってしまい、食べているうちにしょっぱくなってしまいます。最初は『ちょっと薄いかな?』と思うくらいが、二口、三口と食べていくうちにどんどんちょうどよくなり、最後までおいしく食べられますよ」(陳先生)

本格的なパラパラ感を楽しめるだけでなく、食べる人のことを想った優しい台湾家庭の味付け。ご自宅でぜひ試してみてくださいね。

陳 高生さん
料理家
(ちん こうせい)台湾・高雄出身。ホテルの中華部門で長年シェフを務めた後、来日。池袋で台湾料理店を営む。引退後は自宅にて台湾料理教室を開始。これまでに6,000人以上の生徒がレッスンを受講し、今では予約でいっぱいの人気教室に。
池袋の台湾料理教室

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この記事の執筆者
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EDIT&WRITING :
廣瀬 翼(東京通信社)