年齢を重ねると同時に、増えてくる白髪。白髪染めをする場合、どうしても髪全体を暗めの色味にしないとキレイに染まらない、そう思っていませんか?
実際、色を均一に艶やかに染めるには、白髪染めを活用して、やや重めの色味で染めるのが有効的です。しかし、「髪色を明るく保ったまま、キレイに白髪を染めたい」と考えている人も多いはず。
そこで今回は、青山の美容室「サンバレー」の代表を務める美容師の渋谷謙太郎さんに、明るさを残したまま白髪を上手に染める方法を、実際に見せていただきました。20年以上、8万人以上の女性の髪を手がけた渋谷さんによる、現段階での最良の「白髪対策」とは?
白髪染めで「明るい色」は出しづらい?
--渋谷さん、今回もよろしくお願いいたします! 前回記事では「白髪染めで明るい色を出すのは難しい」、というお話がありましたよね。
【前回記事:カリスマ美容師に教わる「白髪染めへの切り替えタイミング」とキレイな染め方のコツとは?】
渋谷謙太郎さん(以下、渋谷)「よろしくお願いします! そうですね。特にベージュなどの寒色系は顕著です。
写真AとBを見てもらうとわかりやすいのですが、どちらも『寒色系の白髪染め』で染めたものです。上の写真Aがやや暗め、下の写真Bがより明るめのトーンで染めたものですね。
暗めのトーンだと、白髪はキレイに隠れるものの、多くの人がイメージする明るめのベージュが出づらく、暗く沈んだ印象になってしまい、明るいトーンだと、明るさは出るものの、今度は白髪が浮いてしまうんですよね」
--多くの人が、ファッションカラー(白髪用でない髪色染め)から白髪染めに切り替えるのにやや躊躇してしまうのは、明るい色にできない、というところが大きいですよね。
渋谷「どうしても白髪染めだけでキレイに染めようとすると、重めの色になってしまいますからね。ただ、明るさをキレイに残しつつ、寒色系の色味に染める方法もあります。今回は、実際にウィッグを使ってその方法を紹介しますね」
白髪を上手に明るく!その方法とは?
今回用意したのは髪全体の50%が白髪のウィッグ。何も施さない状態だと、かなり白髪が目立つ状態です。
渋谷「髪色を明るく、なおかつ白髪を上手に浮かせない状態で艶っぽく仕上げるために、ブリーチとヘアマニキュアを使用します。
今回は違いがわかりやすいよう、ヘアマニキュアのみで染めたパターンもお見せしますね」
ブリーチ剤でハイライトを入れる
まず、等間隔に細い毛束を取り、ブリーチでハイライトを入れていきます。
渋谷「まずは、地毛の明るさをブリーチで調整していきます。こうすることで、地毛と白髪の色味をなじませます。
ブリーチ剤で頭皮が荒れてしまうことを懸念する人も多いと思いますが、ハイライトの場合は根元を数ミリ浮かせた状態で薬剤を乗せていくので、肌が弱い人にもおすすめの方法ですね」
洗い流すとハイライト部分と白髪部分の色がなじむ
ブリーチ剤を湿布し、十数分おいたのち洗い流した状態がこちら。
一番始めの何もしていない状態に比べると、ハイライトの部分と白髪の部分の色がなじみ、白髪が浮いているような違和感がなくなっています。
寒色系のヘアマニュキアを塗布
ハイライトを入れたら、次は全体に寒色系の色味のヘアマニキュアを乗せていきます。
渋谷「地毛と白髪を事前になじませることで、キレイに寒色系の色が入るようになります。ここで通常のアルカリや酸性のヘアカラーを使用することもできますが、一旦ブリーチでハイライトを入れているため、髪の傷みが気になる人はヘアマニキュアがおすすめですね。
ヘアマニキュアは髪の色を抜かずに色を入れるだけなので、傷みが抑えてツヤを出すことができます」
ヘアマニュキアを洗い流すと、髪色に立体感が出る
ヘアマニキュアを洗い流すと、白髪と地毛の部分が違和感なくキレイに仕上がり、髪色に立体感も出ています。
横の染めていない部分と比べると歴然の差ですね。
ブリーチでハイライトを入れず、寒色系のヘアマニュキアのみで染めると白髪が浮いて見える
一方、これはハイライトを入れず、白髪の混じった髪を寒色系のヘアマニキュアのみで染めたもの。
地毛の部分はキレイに寒色系の色味が出ていますが、全体的に地毛の部分がベタッとした印象になり、白髪が浮いて見えてしまいます。
特に毛先の部分を比べてみると、その差は歴然。
上の写真Cの先にハイライトを入れたものは、ほとんど白髪が目立たず華やかな印象であるのに対し、下の写真Dのヘアマニキュアのみのものは、毛先に行くほど白髪が目立ち、ややくたびれた印象になってしまっています。
白髪を染めるとなると、一色で髪全体を染めるというイメージがありますが、このテクニックを使うことで、本来白髪染めでは難しい明るさを出したり、立体感を出したりすることが可能なのですね。
この方法を美容室でオーダーするにはどう伝えればいい?
--白髪染めを使用せず、白髪を上手に染める方法があるのは意外でした! 実際に、この方法を美容院でオーダーする場合、伝えるべきポイントはありますか?
渋谷「この方法は頭皮や髪をできるだけ傷めず、白髪を明るくキレイに染める方法です。
まず、『肌が弱く頭皮をできるだけ傷めたくない、だけど明るくしたい!』という要望を伝えてほしいですね。ただそれだけだと、ヘアマニキュアのみを使用される場合があるので、同時に『ヘアマニキュアだけだと白髪が浮いてしまうのが心配』という部分についても、しっかり伝えてください」
--施術自体も良い意味で手間がかかっていますよね。オーダーの方法もしっかりと工夫して伝えることが大切なのですね。
渋谷「そうですね。ただ、この方法は毎回ハイライトを入れる必要はなく、一度入れてしまえば、しばらくはヘアマニキュアで色を乗せるだけで問題ありません。2回目以降は施術も時間が短くなりますよ」
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一度白髪染めをしてしまったら、なかなか明るい色にできない! そういった理由で白髪染めを躊躇していた人も少なからずいるはず。
しかし、ハイライトを上手に使うことで白髪染めを使うことなく、キレイに白髪を隠し、なおかつ髪全体に立体感も出せる方法があるのですね。
明るさと華やかさを残しつつ白髪を染めたい、という方は是非、取り入れてみてはいかがでしょうか?
まとめ
- 白髪染めだけでは明るい色が出しづらい
- ヘアマニキュアだけでは白髪浮きが気になってしまう
- ハイライト+ヘアマニキュアで明るさと立体感アップ!
次回は、今回出てきたヘアマニキュアを含め、髪に優しいとされる「オーガニックカラー」や「ヘナカラー」で白髪を染めた場合について、渋谷さんに教わります。
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- EDIT&WRITING :
- 渋谷謙太郎