「香りは個性に導かれ、やがてその女性(ひと)のものになる」

衣食住のすべてにおいて、心地よさが優先されるようになり、本来とても私的で親密な存在だった香りへの考え方も、ライフスタイルに寄り添い、人生そのものを彩るものへと形を変えつつあります。

そんな時代の空気を先取りするように生まれたのが『メゾン クリスチャン ディオール』コレクション。

大切な人とその日の気分でフレグランスを選んだり、自由に共有できるように、キャンドルやバスラインも加わり、20種類を超える豊富なラインナップの香水がそろっています。

今月から、四季の香りを巡って、Preciousゆかりの人々が香りの幸福な記憶をひもときながら、お気に入りのコレクションを紹介する連載が始まります。

初回はモデルで女優の知花くららさんによる、ローズの香りのお話から…。


美しい人の身支度は、夢の続きへと誘うローズの香りに包まれて

『メゾン クリスチャン ディオール』オードゥ パルファン 40mL ¥11,500・125mL ¥26,000・250mL ¥36,500・ミッツァ スカーフタロット『パペス』¥23,000(パルファン・クリスチャン・ディオール)ドレッサー¥546,000・椅子¥59,000(ロッシュボボア トーキョー) チュールのスカート¥920,000・チョーカー¥110,000・リング¥62,000(クリスチャン ディオール) フォトフレーム¥44,500(クリスチャン ディオール〈ディオール メゾン〉) その他/私物

美しい人の朝。ドレッサーに並んだいくつかの『メゾン クリスチャンディオール』のボトルのなかから、身支度の仕上げに、今日の気分にフィットするローズの香りを選んだ。心地よい香りに包まれて、幸福な一日が始まる。

「洗練されたニュアンスカラーのドレスのように、ほのかに曇った薔薇(ローズ)の香りが好き」

『メゾン クリスチャン ディオール』オー ドゥパルファン 40mL ¥11,500~(パルファン・クリスチャン・ディオール)

メゾン クリスチャン ディオール ローズ カブキ

日本の伝統文化「歌舞伎」がフレンチエレガンスを象徴する「ローズ」をまとった美しく印象的な香り。ディオールの専属調香師、フランソワ・ドゥマシーの心を捉えた歌舞伎役者の白塗り化粧。「白いコットンのようにパウダリーなムスクに包まれた繊細なローズの香りを創りたい」と思ったことから誕生した。ジュース(=液体)の色もスモーキーなピンクで、ミステリアスな雰囲気を醸し出す。 

こんこんと眠るあなたの耳たぶは
野薔薇の匂ひした春月夜(はるづくよ)
―知花くらら

光を透かして澄み渡るクリアなジュース。その彩り豊かな22本のフレグランスボトルを手に取り、ひとつひとつ香りに思いを巡らせたあと、知花さんが選び取ったのは『ローズ カブキ』だった。

幼いころから、香りには思い入れがあった。ブーゲンビリアやハイビスカスといった南国の花の香りに包まれて沖縄で生まれ育ち、学校帰りには花の蜜を吸いながら歩いた。香りの記憶は花だけではない。ムーチー(お餅)を包んで蒸した、サンニンと呼ばれる月桃(げっとう)の葉の香り、そして明るい太陽の匂い。エキゾチックな景色とともに、香りに対する感覚を育みながら、小学生のころには、フレグランスへの憧れも芽生えた。

「モデルをしていた叔母をはじめ、周りには素敵な大人の女性がたくさんいました。なにより大人がおしゃれを楽しんでいることが、眩しく見えたのです。ある日、鏡台に香水のミニボトルを見つけて、こっそりつけてみたのが始まりでした」

小さな女の子が母親の化粧品に興味をもつように、憧れの女性たちと同じ香りをまとうことで、あの楽しげな大人の仲間入りができる気がした。そして初めて知った香水は、沖縄では気候的に育ちにくいとされる薔薇のような繊細な花々の香りがした。知花さんにとって薔薇は、そうした幸せな記憶に深く刻まれた香りのひとつなのである。

そして、いつしか知花さん自身がモデルとして、女優として、かつて憧れていた大人の女性のおしゃれをリードする存在になっている。昨年の春に開かれた結婚披露宴では、会場にお気に入りのローズのキャンドルが焚かれていた。

大切なパートナーと暮らす今は、ライフスタイルに寄り添う、さらりとしたユニセックスなフレグランスが自分らしいと感じている。その一方で女らしいローズの香りにも、より複雑なニュアンスを求めるようになった。

「ローズはそれだけでも華やかですが、ほかの香りを重ねても、喧嘩することなく、自然に調和してくれるのが魅力です。バニラの香りを重ねることもありました。でも甘すぎるのも、優しすぎるのも今の気分ではありません。手に取ると新鮮な驚きがあって、奥深く、香りの移ろいを予感させてくれるものに惹かれます」

その言葉どおり、知花さんが選んだ『ローズ カブキ』は、優美なローズに歌舞伎役者のおしろいを思わせるパウダリーなムスクを添えた繊細さを孕はらんでいる。

さらに爽やかなカシスがみずみずしいグリーンのアクセントを添えて、時が経つとまた陽気なローズが匂い立つ。ひとつのフレグランスのなかに現れる、さまざまな表情の移ろいもまた官能的だ。

「同じ香りでも、身につける人によって、まったく違った印象になります。肌の湿度や温もりはもちろん、日々の暮らしや生き方まですべてを含めて、香りはまとう人の"個性"に導かれるのだと思う。だからこそ、自分らしい香りを見つけて、魅力的に"私"を香らせる大人の女性になりたいのです」

「ローズの香りを重ねる至福。雨の日には匂い立ち、夕刻には体温になじむ…香りの移ろいを想いながら」

『メゾン クリスチャン ディオール』オードゥ パルファン 40mL ¥11,500・125mL ¥26,000・250mL ¥36,500。香りの新しいまとい方として、シルクのスカーフに香りを忍ばせ、手首や首元に巻いて、ほんのり香らせるのもおすすめ。ミッツァ スカーフタロット『パペス』¥23,000(パルファン・クリスチャン・ディオール)

目にも癒しのローズフレグランスは、こんなにも表情豊か

『ローズ カブキ』のほかにも、ムッシュ・ディオールゆかりの地に咲くローズ ドゥ メを贅沢にあしらった『ラ コル ノワール』からセンシュアルな『スフレ ドゥ ソワ』、グリーンな『ローズ ジプシー』、オリエンタルな『ウード イスパハン』など、ローズの香りのラインナップは豊富。ジュースのピンクの色味もさまざまで見ているだけでうっとり。それぞれ3つのサイズがあり、小さめのボトルでそろえて、その日の気分で選んだり、重ねたりするのも楽しい。

知花くららさん
モデル
(ちばな くらら)1982年、沖縄県生まれ。大学卒業後、「ミス・ユニバース・ジャパン」に選出され、2006年の世界大会で総合2位に輝く。モデル、タレント、女優として活躍するほか国連WFPの日本大使も務めるなどボランティア活動にも熱心。語学が得意で、最近では短歌もたしなみ、2017年角川短歌賞で佳作を受賞。知花くらら公式Instagram

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※掲載した商品の価格はすべて税抜です。

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PHOTO :
Fumito Shibasak(i DONNA)
STYLIST :
小倉真希
EDIT&WRITING :
藤田由美、五十嵐享子(Precious)
RECONSTRUCT :
安念美和子